3 関西国際空港


(1) 航空審議会答申

  関西国際空港については,40年代の初め頃から関西地区における航空輸送需要の増加に対処するため,その建設が必要と考えられた。このため,43年度から調査を行ってきたが,46年10月,運輸大臣は航空審議会に対して,「関西国際空港の規模と位置」について諮問した。同審議会は,大阪国際空港の騒音問題の抜本的な解決を図るとともに,関西地区の航空輸送需要の増加に対処するため,新室港の建設が必要であるとし,49年8月次のような答申を行った。
  「関西国際空港は,大阪国際空港の廃止を前提として,その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上出し,当面の規模を海上の国際空港として最小の単位となる長さ4,00脚の滑走路1組(少なくとも300mを隔てた2本の平行な滑走路)に長さ3,200m以上の補助の滑走路1本を加えたものとすることが望ましい。ただし,空港の精確な位置は,現地を詳細に調査したうえで決定されるべきである。」

(2) 新空港の調査の状況

  運輸省は,この答申の趣旨を尊重し,泉州沖候補地について,公害がなく地域社会と調和のとれた新空港計画を策定するための調査に着手すべく地域社会へ積極的なアプローチを図ることとした。
  45年から49年にかけて,関係地方公共団体の議会はそのほとんどが新空港の建設に反対の意志表明を行ったため,運輸省は,51年9月「関西国際空港の計画に係る調査の実施方針について」を定め今後の調査に取り組む基本的な姿勢を明らかにするとともに,52年2月には「関西国際空港調査の全体計画」を作成して調査の全貌を公表した。
  52年11月には,関係府県(大阪府,兵庫県及び和歌山県)の副知事と航空局長からなる「関西国際空港連絡会議」が発足し,調査の円滑な実施と新空港建設の合意形成を図るため,卒直な意見の交換を行っている。
  このような情勢のもとで運輸省は,関係地方公共団体等の協力を得ながら,現地調査を実施するための努力を重ねてきた。
  まず,53年1月,気象,海象観測施設が完成し,同施設による観測を開始するとともに,2月,8月,11月,54年5月には大阪湾及びその周辺において気象,海象,騒音及び大気汚染に関する大規模な現地調査を実施し,7月からは候補地一帯の海域でボーリング調査を開始した。さらに,これらの現地調査の他にも調査の全体計画に基づいて諸般の調査を実施しており,54年2月には関西国際空港調査の実施状況を公表し,54年6月には浮体工法調査結果の概要を公表した。また,54年5月及び10月には騒音影響等の環境アセスメントの基礎データを得るための実機飛行調査を行った。

(3) 地元の動き

  現在,諸般の調査は順調に進んでおり,関係地域においては,運輸省の環境アセスメント等の調査結果をまって空港立地の是非を評価しようとする動きがみられ,54年9月には泉南市議会が新空港建設反対決議(45年5月)を白紙撤回する決議を行った。


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