3 航空輸送の発展を支える技術革新


  この10年間の航空輸送の順調な発展は,機材の大型化,ローカル線のジェット化の進展に負うところが大きいが,これを可能にした要因として航空技術の着実な進歩があった。
  45年に導入されたB-747を初めとする大型ジェット機は,従来のDC-8,B-727クラスのジェット機と比べても倍以上の輸送力を持つものであるが,このような機材の大型化を可能としたのは高出力ジェット・エンジンが開発されたことによるものである。また,これらの大型ジェット機には,高バイパス比ファン・ジェット・エンジンの採用等,騒音の低減,排ガスの無煙化その他低公害化のための最新技術が盛り込まれおり,環境に対する大きな配慮を要することとなった時代を背景として,これら大型ジェット機の普及が促進された。
  更に,エレクトロニクス技術の進歩は機上電子機器の改良を促し,慣性航法装置の開発,対地接近警報システムの普及等を通じて日常運航の安全性及び信頼性の向上に貢献している。
  一方,このような大型化,ジェット化の進む中で,運航の安全確保の直接の担い手である乗員の養成については,エレクトロニクス技術の進歩に伴い実機を忠実に模擬することができるようになった視覚装置付模擬飛行装置を有効に活用すること等により訓練の質の向上が図られた。また,54年には我が国で初めてのジェット機の訓練飛行場である下地島空港を供用開始して,我が国において本格的な実機訓練を行うことによって航空会社による一貫した訓練を行うことを可能にし,大型ジェット機による大量高速輸送時代にふさわしい乗員の養成に努めているところである。


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