4 航空企業の運営体制の整備


  航空輸送の発展を期するためには,時代の要請に対応した適切な航空運営体制の確立が図られなければならない。45年には,旅客需要の大幅な増加と航空企業の収益の改善を背景として,それまでの運営体制の基本となった41年5月の閣議了解「航空企業の経営基盤強化について」を再検討する必要が生じた。このような新たな航空事情に対処すべく,同年5月「航空企業の運営体制について」閣議了解がなされ,国内航空における航空機のジェット化・大型化の推進,日本国内航空株式会社と東亜航空株式会社の合併,ローカル路線の二社運営(ダブルトラッキング化)等を内容とする運営体制についての方針が示された。46年には,この方針を受けて日本国内航空と東亜航空とが合併し東亜国内航空株式会社が設立され,ローカル線を運営した。
  その後,47年,運輸大臣は,閣議了解(45年11月)に基づき航空企業の運営体制を具体化する通達を行った。同通達のうち,幹線に関する部分では,(1)国内幹線の路線運営については日本航空及び全日本空輸の2社体制を基本とし,東亜国内航空の幹線乗り入れについては将来国内幹線のジェット機による自主運航を認めるものとし,その運営開始の時期は49年度を目途とする。(2)国内幹線への大型ジェット機の投入は,49年以降とする。ただし,沖縄線については47年から大型ジェット機を投入しうるものとすること等が示された。この通達により,国内幹線運営の大枠が明らかにされ,以後の航空輸送需要の増大に対処し,安全運航の確立の下に大量輸送を確保する定期航空企業体制が整備されたのである。
  このほか,49年にはそれまで定期航空路線から取り残されていた離島辺地における航空輸送の担い手として日本近距離航空株式会社が設立される一方,沖縄関係路線については本土復帰後も引き続き在来の南西航空株式会社が運航を続け,また,50年には再開された日台路線に就航する日本アジア航空株式会社が設立される等,新たな要請に対応する航空企業体制の整備が逐次進められた。
  このように,定期航空企業の基本的な運営体制は,45年から50年にかけて整備され,現在に至っているが,離島辺地路線の採算問題等部分的には順調とはいい難い面もあり,また,エネルギー,騒音問題等の制約要因の強まり等航空企業をとりまく環境も変化してきている。
  したがって,これらの環境の変化等に対応するとともに,空港整備の進展とも歩調をあわせつつ,今後とも利用者のニーズに適合したサービス供給体制の確保を図っていく必要がある。


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