4 内航海運事業者の概要


(1) 事業者の概要

  55年3月31日現在の内航海運事業者数は, 〔II−(I)−13表〕に示すとおり1万1,261事業者で,その内訳は,許可事業者7,813事業者(うち運送業794事業者,貸渡業5,537事業者,取扱業1,482事業者),届出事業者3,448事業者(うち運送業2,086事業者,貸渡業1,362事業者)となっており,その事業規模は,資本金1億円未満の会社と個人経営者が全許可事業者のうち94.9%を占めている等中小零細性が強い。

(2) 企業の経営状況

  内航海運企業の経営状況は,53年度以降景気回復に伴い輸送量が順調に増大していることから,53年度の経営内容は52年度に比べ改善された。
  しかしながら,54年度について概観すると,輸送量は53年度に引き続き増加傾向にあるものの,最近における燃料油価格の高騰が,船舶経費中に占める燃料費の割合の大きい内航海運企業経営に多大な影響を及ぼしており,新たな経営の圧迫要因となっている。

(3) 燃料油問題

  内航船舶の燃料油の使用状況をみると,主としてA重油が小型船,B重油が中型・大型船,C重液が大型船において使用されており,特に,A重油とB重油の消費量が多い。
  内航海運においては,これら燃料油価格の高騰に加えて重油の高粘度化による内航船舶への影響が問題になっている。
  燃料油価格の高騰に対する燃料費の節減対策として,B重油を使用している船舶については,相対的に安価となるA,C重油の混合使用を可能にするための機関等の改造工事による対処も行われている。
  また,54年12月に重油等に関するJISが改正され,C重油等の規格が緩和されたため,従来供給されていたC重油に比べより高粘度のC重油の使用を迫られることが懸念される。その場合,内航船舶においては,現在の機関等では対応が困難なものが多いので,従来と同程度の規格のC重油の供給確保が望まれている。
  石油需給のひっ迫,燃料油価格の高騰等に対処する方策の一環として燃料油消費の節減を実現するため,省エネルギー船の開発とその実用化が要請されているところであるが,船舶整備公団においては,999総トン型油送船について細長い船型とし,大直径・低速回転のプロペラ及びその他の省エネルギー機器等を装備することにより,従来と同一の能力を有しながら既存の船舶に比べて燃料油の消費を約13%節減できるとの調査結果を得ており,その建造の具体化について検討中である。


表紙へ戻る 次へ進む