2 海上交通に関する情報の充実


  海上保安庁は,各種の航海用海図,特殊図等を作成し,水路通報や航行警報で補完する等,航海安全のための諸情報の提供を行うとともに,このために必要となる水路測量,海象観測,天文・測地観測等の海洋調査を行っている。
  54年度には,海図等82版を新改版したほか,281図の補正図を発行するとともに,海図に表現できない気象・海象,航路標識の状況等については水路誌,燈台表等として刊行した。
  海図は,船舶の航行安全の基礎をなすものであり,常に最新に維持され,迅速に伝達される必要があるが,その一部は港湾整備等の進展に対応し切れず,現状から相当遅れた状態となっており,調査測量体制の強化を図るとともに,民間測量機関の活用等業務体制を一層総合的,効率的に運用していくことによりその整備を図っていく必要がある。
  このほか,船舶交通の安全にかかわる情報を水路通報,航行警報等により海事関係者に伝達している。特に,航行警報の実施体制を世界的な規模で調整し,改善を図ることを目的として世界航行警報システムの整備が進められ,海上保安庁は,第XI区域(太平洋西部及び東南アジア海域)の調整機関として,55年4月からその運用を開始した。
  その他,ランドサット等人工衛星データ利用による海流の変動状況の研究のような数年先の水路業務に対する先行的研究開発を進めるとともに,国際水路機関等を通じた国際協力やマラッカ・シンガポール海峡等に関する水路業務への技術協力を行った。


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