3 貨物自動車運送事業の中小企業対策


  貨物自動車運送事業ば,その98%強が中小零細事業者によって占められているが,その零細性を克服することを主たる目的として,48年度から中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業を実施してきた。
  55年度までの実績は,協同組合701,協業組合5等739件の集約化(参加事業者約1万1,000業者)が実現し,また,車両,荷役機械を含む土地,施設等に対する総投資額は5,594億円に達しており,このうち高度化資金によるものが322億円となっている。
  なお,この間,高度化資金による物流拠点施設は全国で95か所の新設をみており,その内訳は集団化事業(トラック団地の形成等複数のトラック運送事業者が協同組合を形成して物流拠点施設を営業の本拠地として運営する事業をいう)31,共同施設事業(複数のトラック運送事業者が協同組合を形成して荷さばき施設・車庫等の物流拠点施設を共同建設運営する事業をいう)64となっている。
  しかし,貨物自動車運送事業をとりまく環境は,引き続き厳しい状況にあるため,56年度からは従来から実施してきた生産方式,経営規模の適正化など企業集約化に,輸送情報のシステム化,人材教育など知識集約化を加えた総合型構造改善事業を実施することとして,近代化計画を策定し,56年6月25日にその要旨を告示した。近代化計画では,61年度末における近代化の目標として,@実車率を2.4ポイント引き上げる,A輸送原価については上昇を極力抑制するように努める,B輸送トンキロの見通しは1,300億トンキロ〜1,500億トンキロとする,としている。また,これらの近代化の目標を達成するために必要な事項としては,先に述べた返路貨物の斡旋,融通配車等を行う輸送情報ネットワークシステムの形成のほか,経営管理業務及び経営診断体制のシステム化及び教育,実習等の新商品・新技術の開発に関する事項を掲げており,今後これらの事業を柱として構造改善事業を強力に推進することとしている。


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