3 トランクルーム


  (増加しつつあるトランクルーム)
  近年,保管需要の伸び悩みもあって,倉庫業者の中には経営の多角化を図る等の観点から一般消費者やオフィスを対象とした小口物品の保管業務に進出するものが増加している。
  これらの新たな保管業務は,一般には「トランクルーム」と呼ばれており,当初は個人の保有する美術品,骨董品や衣裳等を定温,定湿の下で保管するものであったが,その後「トランクルーム」が普及するに伴い,取扱貨物の対象も広がり,一般の家財や毛皮等をも保管するようになった。さらに,最近においては,法人の保有する磁気テープや書類等をも取扱うようになるなど・サービスの多様化がみられる。「トランクルーム」サービスの概況は,次のとおりである。
  @ 58年7月現在で行った調査によれば「トランクルーム」営業を行っている倉庫業者は27社,営業所は77か所であり,所管面積は約10万平方メートルとなっている。
  地域別分布をみると,3大都市圏に集中しているが,特に首都圏が多く,所管面積で全国の80%を占めている。
  A 主な取扱物品は,美術品,衣類,毛皮,貴金属,ピアノ,家財,マイクロフィルム,磁気テープ等となっている。
  B 倉庫における保管方法としては,キャビネット詰,コンテナ詰,スチール棚,ラック棚,衣裳箱,パレット積,ロッカー,ハンガー吊,金庫室等さまざまな方法が用いられている。
  C 施設面からみたサービスの形態については,美術品,衣類,毛皮,家財等を自動温湿度調整装置を有する倉庫において保管するものが代表的なものであるが,その他マイクロフィルム,磁気テープ,書類等を自動温湿度調整装置のみならず,高度な防犯システム等を備えた耐震,耐火構造の倉庫において保管するものから,一般倉庫において常温で保管するものまでさまざまなものがある。
  同サービスは,最近の住宅事情,海外赴任の増加,オフィススペースの高価格化等に伴い,今後徐々に増加することが予想されるが,その適正な育成と消費者保護の充実を図っていく必要がある。


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