3 空港問題と航空交渉


  (航空交渉上の立場を弱める空港使用上の制約)
  航空交渉の場において,自国空港の物理的制約を理由として相手国の増便等の要求を拒否し続けることは,相手国との航空関係ひいては外交関係を害するだけでなく,協定違反の主張を招来するおそれもあり,我が国の交渉上の立場を弱め,代償としての権益を相手国に付与したり,我が国が獲得し得るはずの権益を放棄することを余儀なくされる等の状況をもたらすことにもなる。
  昭和51年以降の日米航空交渉における大阪国際空港の使用制限問題がその1例である。米側の一貫した主張は,「協定付表上の権利として大阪を日本国内地点として獲得している以上,大阪国際空港への完全なアクセスが保障されるべきであり,仮にこれに制限が課されるならば,交換として日本側に付与している航空権益の一部を返還してもらうか,制限に見合う補償措置が講じられて然るべきである」というものであった。このような論理に基づき,米側は,交渉のつど,代替空港の提供,大阪国際空港発着枠の外国企業への優先配分,日本航空に対する米国内空港での使用制限賦課等を主張した経緯がある。
  国際航空路線の開設は,相互の自国内地点を機会均等の下に開放することにより行われるべきものであり,開放される空港は,国際的標準に即した条件の下に運営される必要がある。今後の各国との航空交渉において,日本が相手国と対等の立場で航空権益の交換を行い得るようにするため,また,空港問題のために適切な輸送力を確保することに支障を来たさないためにも,世界の主要空港に比べて遜色のないレベルの空港へとその整備を推進していく必要がある。


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