3 新東京国際空港の整備


(1) 開港後5周年を迎えた新東京国際空港

  新東京国際空港は,我が国を代表する国際空港として,新東京国際空港公団(41年7月発足)により建設され,53年5月20日に開港し,本年で開港満5周年を迎えた。目下,全体計画の約2分の1の規模(面積約550ヘクタール)で,4,000メートル滑走路とこれに附帯する誘導路,エプロン,ターミナル等をもって運営されている。
  現在,日本企業2社,外国企業34社(30か国)の国際線及び日本企業2社の国内線が定期航空路線として運航されており,57年度における航空機の離着陸回数は6万4,619回(1日当たり約177回),利用旅客数915万1,385人(1日当たり約2万5,000人),輸送貨物量は52万8,432トン(1日当たり約1,400トン)である。開港以来5年間に航空機の離着陸回数32万回,利用旅客数4,200万人,輸送貨物量237万トンの実績を上げている 〔2−2−8表〕

(2) 新東京国際空港燃料パイプラインの供用開始

  新東京国際空港航空燃料パイプライン(以下「本格パイプライン」という。)は,新東京国際空港公団において鋭意工事を進めてきた結果,当面の給油需要に対応できる施設工事を終え,58年8月8日に供用開始された。新東京国際空港には,53年5月20日開港以来,1日当たり約5,500キロリットルの航空燃料が鹿島と千葉の臨海工業地区から鉄道で国鉄成田駅の近くの土屋石油基地まで輸送され,そこから延長約8キロメートルのパイプライン(以下「暫定パイプライン」という。)で空港まで輸送されてきたが,8月8日からは千葉港頭石油ターミナルから空港まで延長約47キロメートルの本格パイプラインで送油されることとなり,鉄道及び暫定パイプラインによる輸送は終了した。
  本格パイプラインは全体施設が完成すると,輸送能力は年間800万キロリットルとなるが,8月8日からはおおむね年間400万キロリットルの輸送能力を有することとなり,これまで暫定輸送による航空燃料の輸送能力が小さいこともあって需要に対して必ずしも十分な供給ができないという事情もあったが,本格パイプラインが供用開始されることによって航空燃料の十分かつ安定的な供給が実現することとなった。
  航空燃料の輸送料金を含む新東京国際航空燃料輸送規程については,58年7月20日付けで新東京国際空港公団から認可申請がなされ,8月4日付けで,料金の暫定措置について一部修正のうえ認可され,8月8日から適用された。

(3) 今後の課題

  (空港の整備拡充への努力)
  新東京国際空港の現状は,日本を代表する表玄関としては,まだ満足し得る姿ではなく,将来にわたって増大する航空需要に応えるためにも,今後,第2期工事として横風用滑走路(C滑走路3,200メートル),平行滑走路(B滑走路2,500メートル)及びこれらに附帯する空港諸施設の整備充実が急がれる。
  地元成田市議会に引き続き千葉県議会から第2期工事早期着工の意見書が提出されるなど空港早期完成を求める気運は高まりをみせているが,所要施設の整備を進めていくためには,空港と周辺地域社会とが一体となって調和のある発展を遂げていくようになることが不可欠であるので,環境対策,農業振興策等の地元対策の推進のほか,各種地元要望事項の着実かつ早急な処理を図る必要がある。現在,地元からその実現を強く要望されている主な事項としては,B,C滑走路の騒音対策の実施,航空博物館の設置がある。
  空港周辺地域における農業振興策については,53年12月「新東京国際空港周辺地域における農業振興のための基本となる考え方について」(閣議報告)が策定され,この趣旨に沿い,更に地元の意向を反映しつつ,その理解と協力を得て,農業生産基盤の整備,新東京国際空港公団所有農地の一部の貸付けなどの推進を図っているところである。
  また,環境対策については,従来から,「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき,空港周辺の学校,病院等防音工事の助成,移転補償及び民家の防音工事の助成等の施策を実施しているが,民家の全室防音工事(53年度末から実施),第一種区域の拡大(54年7月,80WECPNL以上,57年3月,75WECPNL以上)等により,航空機騒音に係る環境基準の達成に努めているところである。さらに,航空機騒音による障害を未然に防止しながら,空港と調和のとれた周辺地域の土地利用を実現するため,「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」に基づき,57年11月千葉県において策定した「周辺地域の土地利用等に関する航空機騒音対策基本方針」に沿って,所要の措置を講じていくこととしている。


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