2 国際交流の増大


(1) 国際交通博覧会への参加

  また,61年5月から10月までの間,カナダのバンクーバー市において国際交通博覧会(The 1986 World Exposition on Transportation)が開催されるが,日本政府としては,環太平洋国家である日加両国の友好関係の増進の意義が大きく,かつ,我が国の交通事情や高度な交通技術を紹介することは交通技術先進国としての国際的責任であるとともに,我が国の国情理解や国際協力の推進に役立つこと等の意義を有することから,60年1月の閣議了解により公式参加を決定した。日本からは,日本政府館の出展に加え,航海訓練所の帆船日本丸をバンクーバー市での帆船パレード等へ参加させるほか,海上保安庁の巡視船の派遣も検討しており,さらに,日本航空が開発中の常電導磁気浮上方式鉄道(HSST)についても,民間資金の協力を得て出展することとしており,現在,鋭意準備を進めている。

(2) 増大するハイレベルの交流

  我が国の運輸政策は,外航海運政策,国際航空政策のように国際的に調整を行うことが不可欠な分野を含んでいるうえ,鉄道,自動車をはじめとする国内輸送,港湾,空港等の運輸施設整備,観光等の各分野における政策についても諸外国が大きな関係を有している。
  このため,従来から米国,中国等との間で事務レベルでの定期交流が行われてきたが,特にこの1年間に大臣,次官クラスの訪日が,我が国周辺のアジア諸国からは頻繁に,また,米国,英国,伊等のOECD諸国からは数多くなされており,有益な意見交換が行われている。60年8月に米国のドール運輸長官が,60年10月に英国のリドレー運輸大臣が来日した際には,運輸大臣との間で海運政策,航空政策,自動車の基準認証制度等の調整のための有意義な意見交換が行われた。
  また,60年5月には欧州運輸大臣会議に運輸政務次官が出席し,各国の運輸関係要人との間で運輸政策に関し積極的な意見交換が行われたほか,60年3月には運輸事務次官が渡米し,日本貨物航空の米国乗入れ問題について米国運輸副長官との間でハイレベルの意見調整が行われた。
  さらに,中国,韓国との間にみられるように,運輸政策を担当する高級事務レベルでの意見交換についての要望も多く,59年12月の運輸事務次官の訪中をはじめとして高級事務レベルでの交流が進んでいる。


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