第3章 新たな航空の発展をめざして

 ○ 利用者利便の向上のため,航空企業間の競争を促進することとし,国際線の複数社化及び国内線のダブル・トリプルトラック化の推進を図ってきており,導入路線の輸送実績は確実に増大している。
  また,自主的かつ責任ある経営体制の確立及び航空企業間の競争条件の均等化を図るため,11月18日,日本航空株式会社を完全民営化した。
 ○ 航空運賃問題については,国内運賃の南北格差及び国際運賃の方向別格差の解消,割引運賃の拡大等の課題に対し,北海道方面の運賃の値下げ,太平洋線の日本発普通往復運賃の値下げ及び単身赴任者割引の導入等,航空運賃の適正化・弾力化を進めている。
 ○ 関西国際空港の整備新東京国際空港の整備及び東京国際空港の沖合展開の3大プロジェクト及び一般空港の整備を進め,国際及び国内航空需要の増大に対応していく。
 ○ 現在,各地で導入の気運が高まっているコミューター航空をはじめとする地域航空システムについては,採算の確保の問題があること等からその実現を図るためには,それぞれの地域の特性に応じた航空輸送について,それぞれの地域の関係者及びコミュータ航空事業者が自ら工夫し,検討していくことが必要であるが,運輸省としても航空の新たな可能性を拓くものとして地域航空のあり方等について十分調査し方策を検討しているところである。
 第3章の要旨
  我が国の航空輸送は,国民の高速性志向等を背景として,旅客・貨物ともに急速な発展を遂げ,今日では,遠距離輸送の主要な担い手として位置付けられるに至っており,今後とも,国際化の一層の進展等により頂調な伸びが予想される。
 1. このような急速な伸びに対応した新たな航空政策の推進の方向が昭和61年の運輸政策審議会答申で示され,運輸省は,この答申の趣旨に沿って,日本航空の完全民営化をはじめ,国際線の複数社化,国内線のダブル・トリプルトラッキング化等,航空企業間の競争促進を通じた利用者利便の向上に努めてきている。なお,円高に伴う国際航空運賃の方向別格差,国内航空運賃の南北格差,割引運賃のあり方等の運賃問題にも柔軟に対処していくこととしている。
  また,我が国は,機会均等という航空協定の基本原則のもとに,輸送需要に適合した輸送力の供給を確保することを航空交渉の基本目標にしており,上記の運政審答申を踏まえ,各国との交渉を推進している。
 2. 空港整備については、我が国の航空輸送需要は新東京国際空港,東京国際空港,大阪国際空港の三基幹空港に集中しており,三空港の処理能力は限界に達しているため,関西国際空港の整備,新東京国際空港の整備及び東京国際空港の沖合展開事業の3大プロジェクトの推進が急務となっている。このため,第5次空港整備五箇年計画では,3大プロジェクトを最重点課題として推進するとともに,引き続き,一般空港の整備,環境対策及び航空保安施設の整備を計画的に進めていくこととしている。
 3. 一方,最近,高速性志向の一層の高まり等を背景として,コミューター航空に対する期待感が全国的に高まりをみせているが,このような動きを踏まえ,運輸省は,航空審議会に「地域航空輸送問題小委員会」を設置し,同委員会での審議を踏まえ,コミューター航空をはじめとする地域航空の導入方策をとりまとめ,その導入に取り組んでいくこととしている。


第1節 進展する航空の活性化

第2節 進展する空港整備

第3節 地域航空システムの導入