第5章 旅客交通体系の整備

 ○ 高速交通機関へのアクセスの改善や幹線交通網の整備・充実により一日交通圏の拡大を図る。
 ○ 都市部においては,地下鉄,大手民鉄等の都市鉄道の整備を推進するとともに,車両の冷房化等を進めている。また,バス・タクシーについても情報システムの導入等サービスの高度化を図っている。
 ○ 地方においては,自家用乗用車の一層の普及がみられる一方,公共交通機関を利用せざるを得ない人の足の確保が重要な課題となっており,中小民鉄,地方バス及び離島航路の維持・整備を図っている。
 第5章の要旨
 1. 新幹線の整備,地方空港のジェット化,高速道路網の供用延長及びこれに伴う高速バスの伸長等高速交通網の整備は着実に進んでおり,高速交通機関のサービスを享受できない空白地帯も徐々に解消されつつある。また,人々の行動圏の拡大にみられるように,交通需要は今後も増加傾向にあると予想される。
  今後の長期的な目標としては,高速交通サービスの地域間格差を解消し,全国土にわたってできるかぎり一日交通圏を拡大するという観点から,おおむね1時間以内で麺方都市から複数の高速交通機関へアクセス可能となるよう,また,地域間の相互依存関係拡大に伴い,交通網の安定性・利便性の向上等が確保されるよう,幹線交通網の整備・充実を図る必要がある。
 2. 都市部においては,運輸政策審議会,地方交通審議会の答申等に沿って,信頼性,利便性の高い効率的な公共交通機関網の整備を図っており,旅客会社(JR),地下鉄ニュータウン鉄道,大手民鉄線等の都市鉄道の整備を着実に進めるとともに,車両の冷房化,相互直通乗り入れ等の鉄道輸送サービスの向上に努めている。また,都市新バスシステムの導入等により都市バスの活性化を進めるとともに,深夜バスの運行等深夜輸送力の確保を図っている。さらに,タクシーについても,無線化の推進等によりサービスの高度化を図っている。
 3. 地方においては,公共交通機関の利用者の減少,経営の悪化が続いている。このため,公共交通機関を利用せざるを得ない人の足の確保が重要な課題となっており,運輸省としては,中小民鉄,地方バス,離島航路等の維持,経営改善に努めている。国鉄特定地方交通線から転換したバス,鉄道については,赤字経営から脱却できないものが多く,今後とも一層の経営努力と地元関係者の積極的な協力が求められている。


第1節 幹線交通体系の整備

第2節 地域交通の改善