3 生産性の動向


  最近10年間の輸送機関別物的労働生産性(従業員一人当たりの輸送量)をみると, 〔9−3−4図〕のとおりである。国鉄は,55年度以降輸送量は減少傾向にあるものの人員の合理化が進み,61年度も生産性は上昇を続けている。民鉄は,輸送量の着実な増加と人員の合理化努力により,61年度も生産性は順調に上向いている。乗合バスは,合理化が着実に進んでいるものの,輸送量の減少により59年度において4年ぶりに上向いた生産性は,60年度に再び下降した。ハイヤー・タクシーは,輸送量,従業員数とも大幅な変動はなく,60年度においては若干の上昇にとどまった。内航海運は,61年度においても輸送量が減少し,生産性は59年度からの下降を続けている。航空運送は,輸送量の伸び率が従業員の伸び率を上回ったため,61年度の生産性は再び上昇した。

  また,付加価値ベースによる労働生産性(従業員一人当たりの付加価値額)を大蔵省「法人企業統計年報」でみると, 〔9−3−5図〕のように推移しており,運輸・通信業全体としては全産業にほぼ一致した動きをみせている。陸運業においては,付加価値が着実に増加し,人員の合理化が進んでいるため,生産性は安定した上昇を続けているものの,水運業においては55年度をピークに生産性は下降傾向にあり,人員の合理化の効果が付加価値の減少速度に追いついていない。

  一方,業種別の輸送原油(単位輸送量当たりの営業費用)の推移をみると, 〔9−3−6図〕のように上昇の続いていた国鉄が,営業費用の減少により低下し,航空も再び低下した。一方,乗合バス,ハイヤー・タクシー,民鉄は,営業費用が着実に増加しているのに対し,輸送量は減少もしくは若干の増加にとどまっており,輸送減価は上昇を続けている。


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