第1章 21世紀社会に向けて

 この章のポイント
 ○ この四半世紀の間の世の移り変わりと運輸の関係を振り返ると,運輸は時代時代を映し,陸,海,空の広範囲にわたって輸送力の増強をはじめとして着実な歩みを続け,経済社会の発展を支えるとともに,新幹線や大型ジェット機の導入が日本人のライフスタイルを変化させる等,国民生活の向上に実り多い貢献をしてきた。
 ○ 運輸は,今後とも人々の暮らしとの係わりをますます深め,これからのライフスタイルの変化の方向に沿ったきめ細かいサービスが求められると同時に,日本人の新しいライフスタイルの形成を支援し,その選択範囲の拡大を通じて豊かな生活の達成と経済の活力ある発展に資することが期待されている。
 ○ 21世紀社会に向けて真に豊かでゆとりある国民生活の実現をめざして,大都市問題,特に東京プロブレムについては,大深度地下鉄道,宅地開発と一体となった鉄道の整備等により通勤・通学環境の改善を図るとともに,道路混雑の解消,東京湾臨海部空間の高度利用,24時間都市化への対応等各種施策を推進していく。
 ○ 地域振興については,航空,鉄道等の高速交通ネットワークやコミューター航空等地域交通ネットワークの整備を進めるとともに,魅力ある地域づくりを図るため,観光の振興,ターミナルを活用した地域づくり等の各種施策を推進していく。
 ○ 国民の自由時間の増大に対応して,海外旅行倍増計画,90年代観光振興行動計画,Marine'99(マリン・ナインテイ・ナイン)計画等を推進する。
 ○ 国際社会に対する積極的貢献は,我が国の重要な責務であり,開発途上国の経済社会発展にとって極めて重要な運輸分野の国際協力を積極的に推進する。
 ○ 運輸のニューフロンティアとして,運輸事業の新たな展開を推進するとともに,マリーナの整備,ウォーターフロントの魅力増進,外航クルーズの促進,臨海部の再開発等高度利用の推進,海上浮体施設,ウォーターフロント船の整備,沖合人工島の整備等を図る。
 ○ 未来への挑戦としてリニアモターカー(磁気浮上式鉄道)の実用化等運輸技術の開発を推進する。
 ○ 情報化の進展に対応して,予約の容易化,プリペイドカードの普及,移動時間の有効活用のための施策を推進するとともに,運輸関係施設の多角的利用を図り,首都圏においては,運輸関係事業者の持つ広域的情報ネットワークを活用して多様なサービスを提供する「Tネット構想」を推進する。


第1節 運輸は何をもたらしてきたか

第2節 ゆとりある社会と運輸

第3節 運輸のニューフロンティアへの展開