国土交通省
 国土交通省公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画
 の平成14年度の実施状況について

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平成15年9月18日
<問い合わせ先>
大臣官房技術調査課

(内線22353)

 公共事業調査室

(内線24296)

TEL:03-5253-8111(代表)


 

 平成12年9月に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議において、平成12年度以降の政府の新たな「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」が策定され、国土交通省においても平成13年3月に新行動指針を踏まえた「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」を策定しました。
 新行動指針では、「実施状況については、具体的施策の着実な推進を図る観点から、適切にフォローアップし、その結果を公表する。」こととしており、今回、平成14年度の実施状況をとりまとめ、報告するものです。
 総合的なコスト縮減の視点に立って様々な施策を実施した結果、国土交通省・関係公団等の平成14年度の工事コストは、平成8年度と比較して、13.6%の低減となりました。また、卸売物価、労務費等の下落を考慮した実際の工事コストは、平成8年度と比較して、21.3%の低減となりました。
 なお、平成15年3月には、新行動指針及び新行動計画に加え実施すべき施策をとりまとめた「国土交通省公共事業コスト構造改革プログラム」を策定し、1事業のスピードアップ、2計画・設計から管理までの各段階における最適化、3調達の最適化を見直しのポイントとし、コストの観点から公共事業のすべてを見直す「コスト構造改革」に取り組んでいるところです。
 コスト構造改革の数値目標として、従来の工事コストの縮減に加え、1規格の見直しによる工事コストの縮減、2事業のスピードアップによる事業便益の早期発現、3将来の維持管理費の縮減をも評価する「総合コスト縮減率」を設定し、平成15年度から5年間で、平成14年度と比較して、15%の総合コスト縮減率を達成することとしており、今後は、施策の実施状況と数値目標の達成状況についてフォローアップしていくこととしています。

  1. これまでの経緯
     公共工事コスト縮減対策については、平成9年4月4日に策定された「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」に基づき、同行動指針の対象期間である平成9年度から11年度までの3年間、各省庁が一致協力して施策を推進し、一定の成果を得てきました。
     しかしながら、依然として、厳しい財政事情の下で引き続き社会資本整備を着実に進めていくことが要請されており、また、これまで実施してきたコスト縮減施策の定着を図ることや新たなコスト縮減施策を進めていくことが重要な課題となっています。
     そこで、これまでの取り組みにおける課題も踏まえ、平成12年9月1日に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議において、平成12年度以降の新たな「公共工事コスト縮減対策に関する新行動指針」が策定され、これを踏まえ、公共工事担当省庁において新行動計画を策定しました。
     また、平成13年1月6日の省庁再編に伴い、運輸省、建設省及び北海道開発庁において策定した新行動計画を統合し、平成13年3月30日に国土交通省におけるコスト縮減のための具体的施策を盛り込んだ新行動計画を策定しました。
     さらに、平成15年3月31日には、新行動指針及び新行動計画に加え実施すべき施策をとりまとめた「国土交通省公共事業コスト構造改革プログラム」を策定し、1事業のスピードアップ、2計画・設計から管理までの各段階における最適化、3調達の最適化を見直しのポイントとし、コストの観点から公共事業のすべてを見直す「コスト構造改革」に取り組んでいるところです。

    • 平成 9年1月17日 公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議設置
    • 平成 9年4月 4日 関係閣僚会議において行動指針を決定
                    〜 行動指針を踏まえ、公共工事担当省庁16省庁が行動計画を策定
    • 平成10年4月24日 平成9年度の成果を発表
    • 平成11年4月27日 平成10年度の成果を発表
    • 平成12年9月 1日 平成9年度から11年度の取り組みの成果を発表
                    関係閣僚会議において新行動指針を決定
                    〜 新行動指針を踏まえ、公共工事担当省庁16省庁が新行動計画を策定
                  
    • 平成13年3月30日 国土交通省における新行動計画を策定
    • 平成13年8月21日 平成12年度の成果を発表
    • 平成14年9月 5日 平成13年度の成果を発表
    • 平成15年3月31日 国土交通省公共事業コスト構造改革プログラムを策定
    • 平成15年9月18日 平成14年度の成果を発表

  2. 公共工事コスト縮減の取り組みの成果
    (1)公共工事コスト縮減実績のフォローアップ方法
     公共工事コスト縮減対策関係省庁連絡会議において、コスト縮減実績の平成14年度のフォローアップ方法を作成し、全府省を通じて共通的な考え方のもとでフォローアップを実施しています。

    (2)平成14年度コスト縮減実績
     総合的なコスト縮減の視点に立って様々な施策を実施しました。(詳細は別紙−1)
    平成14年度コスト縮減実績概要

    (3)平成14年度コスト縮減取り組み内容
     1)工事コストの低減(詳細は別紙−2)
     〜平成14年度の工事コストは、平成8年度と比較して、国土交通省・関係公団等合計で13.6%、政府全体(全府省・全公団等)で12.9%の低減となりました。また、卸売物価、労務費等の下落を考慮した実際の工事コストは、平成8年度と比較して、国土交通省・関係公団等合計で21.3%、政府全体(全府省・全公団等)で20.6%の低減となりました。

    • 国土交通省・関係公団等の平成14年度実績
          H9年度 H10年度 H11年度 H12年度 H13年度 H14年度
      縮減率 実際の工事コスト 3.5% 6.7% 11.9% 15.9% 18.4% 21.3%
        施策効果部分 3.2% 5.9% 9.9% 10.5% 11.7% 13.6%

      平成14年度
       実際の工事コスト:縮減率:21.3% 縮減額:1兆0,800億円
       施策効果部分  :縮減率:13.6% 縮減額: 6,901億円

    • 全府省・全公団等の平成14年度実績
          H9年度 H10年度 H11年度 H12年度 H13年度 H14年度
      縮減率 実際の工事コスト 3.3% 6.5% 11.6% 15.6% 17.9% 20.6%
        施策効果部分 3.0% 5.7% 9.6% 10.2% 11.2% 12.9%

      平成14年度
       実際の工事コスト:縮減率:20.6% 縮減額:1兆3,391億円
       施策効果部分  :縮減率:12.9% 縮減額:8,397億円
       注)コスト縮減実績は、全省庁が共通の考え方で算定作業を実施しており、平成8年度における標準的な公共工事のコストと比較しています。
       なお、これらの縮減額は、行動指針の本来の目的に準拠し、社会資本整備の推進に充当し、公共事業全体の進捗を図っています。

    <実施内容>

    • 計画手法の見直し(施策番号1
      • 夜間工事などの実施による効率的な施工により、約370億円の工事コストを縮減。(関西国際空港用地造成(株))
      • 非常用電話に汎用部品等を採用し、約40%の工事コストを縮減。(日本道路公団)
      • 移動式汚泥処理施設(移動脱水車)の導入により、下水処理施設に設置する汚泥処理施設が不要となり、約9%の整備コストを縮減。維持管理コストの縮減。(日本下水道事業団)
    • 技術基準等の見直し(施策番号2
      • 換気設備改修工事において、トンネル換気量を見直すことにより必要換気量が減少し、工事コストを約22%縮減
    • 設計手法の見直し(施策番号3
      • 建築工事において、基礎免震構造から中間層免震構造に変えることにより、耐震安全性の確保とともに約8%の工事コストを縮減。
      • 分水施設建設工事において、分流をオリフィス方式を採用することで簡素な構造による建設費の縮減、水理現象を利用した維持管理費の低減が図れ、工事コストを約43%縮減
      • 防堰堤工事において、自立式残存型枠使用により、型枠撤去・処分費及び足場工費用が不要になり、約10%の工事コストを縮減。
      • 波力を利用した半没水上部斜面ケーソン堤を導入し、約11%の工事コストを縮減。
      • 樋門改良工事において、函体部のプレキャストボックスの採用により工期が短縮され、約5,200万円の工事コスト縮減。
      • 地盤改良時の敷砂材料に使用する海砂の一部に安価なセレクト材を使用することにより、約13億円のコストを縮減。(関西国際空港用地造成(株))
    • 技術開発の推進(施策番号4
      • シールドトンネル工事において、新素材コンクリートを用いて地盤改良を行うことなくシールドマシンを発進・到達させる(NOMST工法)ことにより地盤改良工事費を約79%縮減。
      • 防波堤の上部工にNAクリート(材料の大半がリサイクル材料)を採用することにより、通常のコンクリートをミキサー船で打設する場合に比べ、約8%のコストを縮減。
      • スラブ鋼製沈錘(くず鉄で製造)により、従来の工法に比べ、約24.8%の工事コストを縮減。
      • 車両基地における検査修繕の際に使用する車体昇降移動装置の開発により、約23%の検修設備コストを縮減。(日本鉄道建設公団)
      • PC箱桁橋に波形鋼鈑ウェブを採用して上部工を軽量化することで、コンクリート量の縮減、施工の効率化、PC鋼材の縮減が可能となり、工事コストを約3%縮減。(日本道路公団)
    • 建設機械の有効利用(施策番号13
      • 除雪トラックの大型化による除雪の効率化により、約30%の工事コストを縮減。
    • 建設副産物対策(施策番号17
      • 伐採材を活用したウッドチップ舗装を採用することで、建設副産物の発生を抑制する事により、約26%の工事コストを縮減。
      • 空港ターミナル拡張事業での用地造成工事において、他事業により発生する土砂を盛土材として有効利用し、土砂購入費を削減することにより、コスト縮減。
      • 処分すべき砂礫をダムのフィルタ材やコンクリート骨材に使用すると共に、フィルタ材採取のための工事用道路の削減を図って、約2,000百万円(全体)のコスト縮減。(水資源開発公団)

     2)工事の時間的コストの低減(施策番号2
     〜集中投資や新技術の活用により工事期間を短縮しました。

    <実施内容>

    • 撤去した桟橋上部コンクリートを魚礁材として再利用し、また桟橋上部工をプレキャスト化し工期短縮をはかり、約27%の工事コストを縮減。

     3)ライフサイクルコストの低減(施設の品質の向上)
     〜より耐用年数の長い施設、省資源・省エネルギー化に資する施設、環境と調和する施設等の整備を推進するなど、施設の品質の向上を図ることにより、ライフサイクルを通じてのコストの低減及び環境負荷の低減を図りました。

    <実施内容>

    • 施設の耐久性の向上(長寿命化)(施策番号31
      • 庁舎等における省エネルギーを実現する緑の断熱材(屋上をセダムにて緑化)を採用することで、ライフサイクルコストを低減。
      • 公団型スケルトン・インフィル住宅を導入することで、建物の長寿命化および多様なライフスタイルやワークスタイルの変化に対応した建物の長期耐用化が可能となり、ライフサイクルコストを低減するとともに環境負荷を低減。(都市基盤整備公団)
    • 環境と調和した施設への転換(施策番号33
      • 自然環境にやさしい湖水の熱を利用したロードヒーティング(路面融雪設備)で、ライフサイクルにおける環境負荷を低減。
      • ケーソン下部に堤外・内の海水交換を可能にする透過部を有した下部透過式スリットケーソンを採用することにより、湾内の水質悪化の軽減、生態系への影響の抑制、海洋生物育成の場としての機能を図る。

     4)工事における社会的コストの低減
     〜リサイクルの推進、環境対策及び安全対策を通じて、資源の有効利用、環境負荷の低減、人的損失の低減を図りました。

    <実施内容>

    • 工事におけるリサイクルの推進(施策番号41
      • 建設汚泥を現場内で処理し盛土材として再利用(オデッサシステムによる再生処理)することにより、リサイクルを推進し、汚泥処理費のコストを約12%縮減。
      • 鋳物廃砂を安定処理し、リサイクルをはかって高速道路の盛土に活用。(日本道路公団)
      • 団地建替工事等において、既存樹木の保存・移植・リサイクル(グリーン・バンク・システム)を活用することで、リサイクル利活用効果によるコストの縮減。また、従来の廃棄処分に対し環境負荷を軽減し、都市における緑のネットワークや、地域コミュニティの形成に寄与。(都市基盤整備公団)
    • 工事における環境改善(施策番号42
      • 伸縮継手補修工事において、コンクリートブレーカーを使用しない低騒音工法を開発〔カット・ジャッキ工法、ジョイントスライス工法〕(阪神高速道路公団)

     5)工事の効率性向上による長期的コストの低減
     〜工事情報の電子化や電子交換等の実施により、工事の効率化を図りました。

    <実施内容>

    • 工事情報の電子化(施策番号52
      • 工事の実施に伴って発生する各種情報について、「紙媒体による提出」から「インターネットによる情報交換」とし、継続的なデータ利用を可能とすることで、情報の伝達・蓄積コストを低減。(日本道路公団)
    • 工事における新技術の活用(施策番号53
      • 舗装工事に性能発注方式を導入することにより、舗装に関する技術開発が促進され、建設業の生産性向上を促し長期的コストを低減。


(参考)

新行動指針・新行動計画の施策番号一覧

(1)工事コストの低減
1計画手法の見直し
2技術基準等の見直し
3設計手法の見直し
4技術開発の推進
5積算の合理化
6公共工事の平準化
7適正な発注ロットの設定
8入札・契約制度検討
9諸手続の電子化
10資材の生産・流通の合理化、効率化
11資材調達の諸環境の整備
12優良な労働力の確保
13建設機械の有効利用
14労働安全対策
15交通安全対策
16環境対策
17建設副産物対策
18埋蔵文化財調査
19消防基準、建築基準等

(2)工事の時間的コストの低減(2

(3)ライフサイクルコストの低減(施設の品質の向上)
31施設の耐久性の向上(長寿命化)
32施設の省資源・省エネルギー化(運用、維持管理費の低減)
33環境と調和した施設への転換

(4)工事における社会的コストの低減
41工事におけるリサイクルの推進
42工事における環境改善
43工事中の交通渋滞緩和対策
44工事中の安全対策

(5)工事の効率性向上による長期的コストの低減
51工事における規制改革
52工事情報の電子化
53工事における新技術の活用


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