1.趣旨 |
(1)将来の航空交通システムの必要性
・ 我が国における航空交通システムについては、1990年代にICAOで策定された将来の航空航法システム(FANS構想)を受けて、航空審議会諮問第23号答申(平成6年)に基づき、航空衛星システムの整備、航空交通管理(ATM)の導入、広域航法(RNAV)の導入等を進めてきたところである。
・ しかしながら、大都市圏拠点空港の整備やアジア諸国の経済発展等により、長期的には航空交通量の増加が見込まれており、加えて、運航者や航空利用者の多様化するニーズや地球環境問題への対応が必要となっている。
・ 一方、現行のシステムでは、空港や空域の処理容量を超過した交通量による遅延の発生、空域や経路の固定的運用による航空機の運航への制約、管制官やパイロットの業務負荷の増大等の課題が顕在化しつつある。
・ また、ICAOにおいては、航空機の安全かつ効率的な運航を支援するため、2025年及びそれ以降を見据えた統合的でシームレスかつ相互運用性のある全世界的な航空保安サービスに関する概念(ATM運用概念)をとりまとめた。これに基づき、欧米においては、地域に即した長期ビジョン(欧州:SESAR、米国:NextGen)が策定され、今後、これらの世界的な調和を図ることが必要となっている。
・ したがって、我が国の航空交通量の増大や様々なニーズに対応し、かつ、世界的にシームレスで円滑な航空交通を実現するため、欧米等諸外国の動向を踏まえつつ、我が国における将来の航空交通システムについて検討する必要がある。
(2)長期ビジョンの策定
・ 将来の航空交通システムの構築にあたっては、以下の理由から長期ビジョンを策定し、計画的に整備を推進する必要がある。
[1] 航空交通システムの構築は、事業規模が大きく長期間を要することから、長期にわたって計画的に推進する必要があること
[2] 地上施設だけではなく、機上側の設備の整備も必要となり、かつ、今後両者の統合的な運用がますます重要になってくることから、管制実施機関だけでなく、航空会社、航空関連製造者、研究機関等の関係者の協働が不可欠であるため、将来の方向性に関して共通認識を持ち各関係者が協調的にその役割を果たす必要があること
[3] 機上及び地上システムの将来の技術動向を見通し、手戻りのないよう、順次導入を行う必要があること
[4] 世界的に協調した航空交通システムを構築し、円滑な航空交通を実現するために、欧米等諸外国の動向を踏まえ、必要に応じ関係各国・機関と連携を図る必要があること
(3)研究会の必要性
・ 長期ビジョンの策定にあたっては、利用者や社会のニーズ、航空会社の意向、地上と機上の技術動向等を的確に把握した上で検討していく必要があることから、学識経験者、研究機関、航空会社等の産学官で連携し検討するため、本研究会を設立する。
2.委員名簿(PDF形式) |
3.開催状況 |
将来の航空交通システムに関する長期ビジョン(CARATS)概要 Long-term Vision for the Future Air Traffic Systems(CARATS) |