審議会は、移転先候補地の選定に当たり、客観性と公正さを重視した方法によることを基本方針とし、調査審議に努めた。
第一段階では、調査会報告に示された選定基準に従い、広く概括的な調査検討を行い、詳細な調査を行うべき調査対象地域として、「北東地域」、「東海地域」及び「三重・畿央地域」を設定した(注)。
(注)「北東地域」とは、宮城県南部から福島県を経て、栃木県中北部、茨城県中北部に至る東北新幹線等の交通軸の周辺に幅広く広がる地域をいう。
「東海地域」とは、岐阜県南東部から愛知県西三河地域を経て静岡県西部に至る地域を中心とする地域をいう。
「三重・畿央地域」とは、三重県伊勢平野中央部から三重、滋賀、京都、奈良の府県境に至る地域を中心とする地域をいう。
第二段階では、調査対象地域について、16の分野に関し、多数の専門家による詳細な調査を行うとともに、関係府県からの意見聴取、審議会委員による現地調査及び全国9カ所における公聴会を実施した。
第三段階では、移転先候補地の選定作業を更に詳細に進めるため、3つの調査対象地域の中から、利用する空港の位置や道路、鉄道等の交通体系の整備状況、関係府県の意向等を勘案し、府県にまたがる地域については、歴史や文化、地理的条件、さらには相互の交流の状況等にも配慮して、首都機能の移転先となる新都市(以下「新都市」という。)を建設し得る一体の地域として、以下のとおり、10の総合評価の対象地域(注)を設定した。
(注)10の総合評価の対象地域は、以下のとおりである。
また、第二段階の分野ごとの詳細な調査の結果に基づき、一部の分野については分割又は統合を行い総合評価のための評価項目として、16の項目(注)を設定し、併行して、3つの調査対象地域ごとの移転の特徴についての整理を行った。
各対象地域の総合評価に当たっては、客観性に留意しながら複数の手法を検討した。その上で、審議会委員の大局的な判断と、各評価項目ごとの多数の専門家による評価とを合わせ評価し、しかも、その結果に至る過程が明瞭である「重みづけ手法」を採用した。
総合評価では、公正さを重視して、16の評価項目についての地域ごとの優劣は、それぞれ関係分野の専門家が数値で評価し、評価項目間の重みづけ(各評価項目の重要度の設定)は審議会委員が個々に行い、両者の作業を総合することで、10の総合評価の対象地域ごとに数値化された評価結果を算出した。
審議会は、この総合評価の結果をもとに、更に多面的、多角的な検討を加え、移転先候補地の選定作業を行った。
(注)16の評価項目は、以下のとおりである。