[1]国内的な影響力
国内的な影響としては、新都市は新たな集中を呼ぶようなフルセット型都市ではないので、東京等既存の大都市が国内にもつ影響力は依然として大きいと思われるが、現状の東京中心の意識・心理面での社会構造を再編し、全国の都市が地域ごとに豊かな個性をもち、国全体としても多様性を創造することにつながるのではないかと予想される。
これにより、我が国の各地域は環境に配慮したまちづくり、地域産業を重視したまちづくり、歴史・文化を尊重したまちづくり等様々なコンセプトの都市を出現させていくことになるだろう。
[2]国際的な影響力
国際的な影響としては、世界各国に向けて、例えば「モノ」よりも「こころ」、「量」よりも「質」を重視したコンセプトに裏付けられた新都市を建設することにより、日本が今後どのような国になろうとしているのかをシンボリックにアピールすることとなり、顔の見える日本の姿を形づくることになろう。
また、日本と同様に、あるいはより深刻なレベルで、一極集中問題に悩んでいる世界各国、とりわけアジア地域における諸国に対して、問題解決のためのモデルを具体的に提示することで、日本がこの分野における国際的な評価を得ることにもつながるだろう。
さらには、機能面で特に国際交流・外交機能を強く備える場合には、ODAや地球環境問題等日本の得意分野を中心に、国際的に影響力や発言力を持つようになることが期待される。
いずれにしても、こうした文化的影響力については、新都市の具体的な姿が明らかになる過程で、改めて検討していくことが望まれる。