5.首都機能移転による国土構造改編の方向等
首都機能が3地域のいずれかに移転した場合、3地域の国土構造上の位置などの特性に応じて、円滑な首都機能移転のために必要な大都市の高次都市機能との連携や、交通ネットワークの形成によってもたらされる国土構造改編の方向等はそれぞれ次のように要約される。
(1)北東地域への首都機能移転
1) 現在の国土構造上の位置
大都市圏の外にあり、21世紀のフロンティアとしての可能性をもつ豊かな自然環境に恵まれている。
北東地域は東京に相対的に近く、一方、仙台に近接する地域も含まれている。
2) 新都市及び都市圏の姿
周辺の中小都市等と連携して、分散型国土のモデルとなるネットワーク型の都市圏が形成される。
3) 首都機能を支える母都市等
国際政治機能は、移転プロセスの初期段階では主として東京に依存する。
成熟段階では新都市と東京が適切に機能分担し、仙台が補完する。
首都機能を支える諸機能(国際的研究機能、安全管理、国際交流等)やこれに誘発される新たな情報サービス産業等が、東京〜新都市〜仙台を結ぶ軸上に展開する。
4) 国土構造改編の方向
- (a)太平洋ベルト地帯から離れた地域に新都市を形成し、アジア・太平洋地域や北方圏との交流を深めていく北東国土軸の形成が促進される。
- (b)東京は世界都市であり、かつ、我が国の経済・文化の中心としての位置を保ち、首都機能移転の過程を通じて、新都市との密接な連携の下に国際機能を分担する。
- (c)関西圏及び名古屋圏は、首都機能を分離し新たな発展を目指す東京と連携し、世界的規模の大都市圏として機能分担する。
- (d)大規模災害に対する首都機能の安全管理体制を早期に確立することができるようになる。
- (e)首都機能を支える新たな全国的交通ネットワークの形成が促進されるが、その際、既存交通体系が積極的に活用されることとなる。
- (f)新都市近傍の空港の国際航空路線を充実するとともに、東京、関西、名古屋、仙台等をゲートウェイとして活用する国際的ネットワークが形成される。
5) 移転先地としての特性
高度な都市機能を集積し、世界都市としての地位を占める東京を母都市としつつ、政治・行政の中枢機能を東京圏外に移転しようとするものである。
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