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パネルディスカッション

(5)国民合意について

齋藤 氏

次に、国民の合意は得られるかということに、話を持っていきたいと思います。要は、来年の5月を目処に、国会は、首都機能移転について結論を出すと言っているわけであります。その場合に、国民の論議がなくして、あるいは合意なくして、首都機能移転というのが本当に決まっていいのかという問題があるわけです。そこで、国民的関心を高めるためには、今何が必要なのか。私達はどう関わればいいのか。その辺について、ちょっと議論を深めていきたいなと思います。ケント・ギルバートさんはどうお考えですか?

ギルバート 氏

今、世論調査で賛成、反対はどのくらいになっています?無関心層が半数程度で、賛成は?

齋藤 氏

世論調査、最新のがあるのですか?

舩橋 氏

私どものものとしては、最近はないです。

ギルバート 氏

最近行っていない。やってしまえば、国民が別に立ち上がるわけではないと思いますし、やってしまっても、僕自身もそんなに怒りはしませんけれど。国民が無関心だということが、一番の問題じゃないですか。無関心ということは、反対なんですよね。無関心の時は、大体反対なんです。私、サマータイムを推進する会にも入っていますけれども、サマータイムを理解しない人ほど反対なんですよね。理解し始めれば、賛成し始めるんですけれども。これに関しては、もしかして逆で、理解するほど反対するかもしれません。

齋藤 氏

ケント・ギルバートさん、こういう21世紀の国家像と言うのか、国づくりと言うのか、そういうものについて無関心であるというのは、これは日本人の特性とお考えですか。

ギルバート 氏

無関心なのか、諦めているのか、うんざりしているのか、明らかに今から日本がどういう方向に進んでいくのか、明らかなビジョンを示してくれる方はいないんですよね。だから、小泉さんはこんなに人気があるかと思いますよ。彼は、とにかく明確にはっきりとしたことを言う。今と違うことを言う。もしかして良くなるかもしれないと、皆希望を持つようになるんですよね。彼が推進していることは、いいかどうかは別問題として、そういう21世紀の日本がどうあるべきかということが全くないんですよ。全くと言っていいくらい、ないような気がします。ただ、国民が自分自身の人生を設計しようと思っても、ちょっと迷うんじゃないでしょうかね。とりあえず安全な選択として、東京にいないと駄目だということになっちゃうんですよね。そういうような気がしますので。だから、何のためにやるのか。一極集中だからと言ったって、一極集中するんですよ、世界中。半分以上の人達が都市部に住むようになったんですからね、数年前から。そういう動きですから。あるいは災害のためにと言ったって、どこに行ったって、危ないんだから、日本は。もうちょっと21世紀の日本のビジョンと結び付けていれば、国民がもしかして非常に盛り上がるかもしれないですね。そういうのが欲しいです。

齋藤 氏

はい、ありがとうございます。石井さん、如何ですか。

石井 氏

私も、二つあると思うんです。一つは、今異常な状態と言いますか、歓迎すべきことなんだろうと思いますが、非常に小泉首相の人気が高い。また一方、石原都知事の人気も非常に高い。インターネットに、国土交通省の首都機能移転のサイトで、小泉首相と石原都知事とそれに田中外相、3人あたりが加わって、このことを議論してもらったら、おそらくそれにアクセスして見る人は、ものすごい数がいるだろう。そういうちょっとテレビのワイドショー的な感覚で、国民の関心を引きつける。それには、大いにテレビも協力していただくことだろうと思いますけれども、そういった何しろ大勢の人達に知らせるということですね。それが一つと、もう一つは、やはりこれまでもずいぶん各地でやってこられましたけれども、やはりもっと小人数の地元ならびに地方での各地の集会を開いて、このことについて一生懸命地道に、真面目に討議するという、その二つではないかなと思います。

齋藤 氏

はい、ありがとうございます。小泉さんと石原さんと田中さんに、この問題について議論してもらえば、関心が高まる。なるほどそうかもしれません。舩橋さん、可能性はあるんでしょうか。

舩橋 氏

実は、国会等では、既にそういう審議が行われております。先般の参議院の予算委員会でも、小泉総理に対して、「あなたは、首都機能移転問題についてどう考えるんですか」という質問も出ております。国会中継も今視聴率が高いですから、ご覧になられた方もいらっしゃると思いますけれども。現在の小泉総理のお答えは、「非常に大事な問題だけれども、現時点での今いろいろ小泉の改革と言われているようなものの議論ではないんだ」という趣旨のお答えでございました。先程のお話から何度も出ておりますけれども、来年の5月までに場所を絞り込んで、そしてするのかしないのか。そういうことを決めようというそういう時期に立ち至っていますから、おそらく私は、これから大詰めの時期を迎えているので、国というのは、国会も政府もですけれども、そういう形での議論が喚起されるだろうというふうに考えております。

齋藤 氏

ケント・ギルバートさん、どうぞ。

ギルバート 氏

石原都知事の意見はどうなっているんですか?

舩橋 氏

これは、国会に特別委員会がございますので、時期はわかりませんけれども、そういう場で石原都知事の意見を聴く機会が設けられることになるかも知れません。かなりそういう形で、マスコミへの露出度が高まってくれば、国民もやっぱり自分の問題として考えないといけないなという、そういう気運になってこようかと思います。私ども、国家百年の問題でございますので国民が納得して決めていくということが、非常に大事だと思います。

月尾 氏

石原知事は、知事に就任してすぐに、首都機能移転断固反対の1万人集会というのを開きまして、明確にしています。全く反対だということです。

ギルバート 氏

それは、東京が駄目になるからですか?それとも以前から。

月尾 氏

彼が言っているのは、文化というものがこれからの社会に重要だから、そういう時に、文化を否定するような首都機能移転をやるべきではないという考え方です。

ギルバート 氏

文化人の意見ですね。

齋藤 氏

白石さん。

白石 氏

数年前の調査では、移転に対する無関心層が半数程度、すごく悲しい事実だと思いますけれども。既に議論が国会の場に移っていて、私を含め、一般の人の中には、まだこういう議論があったのという認識が大方ではないかと思います。現段階では、候補地の選定に入っているようでございますが、私は、是非ここをもう一度見なおしていただいて、その是非論について議論を喚起するようなPR活動をしていただきたいと思います。いきなり国民投票とかになってしまいますと、やはり財政負担の面で、反対する人も多いし、正しい結果も得られないであろう。この12兆円というお金をかけて、どういった便益が得られるのかということを明確にし、この移転した後に、財政面など私達がどういう痛みを持つのかとか、さらに移転後の東京の姿や生活がどうなるのかという情報公開をまずしていただくことが、重要ではないかなと思います。

齋藤 氏

寺島さん、いわゆる公聴会とか、いろいろやっていると思いますけれども。ホームページも開かれている。我々NHKでも、何回となく放送を出している。しかし、一向に盛り上がらない。では、国民の合意とか、関心を高めるには、何が必要なのでしょうか。

寺島 氏

僕は二点あると思います。一つは、同じく合意形成にはどうしたらいいと思いますかという質問が、国会の特別委員会に僕が出た時にも、聞かれたんですよ。その時、私が答えたのは、「リーダーの意志が、何よりも大事なんだ」と。いつかメディアが盛り上げていけば、国民が高めるでしょうという問題じゃなくて、まさに自分は、リーダーとして、これが実現することによって、こういう日本を作るんだということを明確に説明しなかったら、誰がそんなものに関心を持つかという話で、要するに僕は、リーダーの意志というのが、こういうものにはものすごく重要だと思っています。演繹法、帰納法的な社会科学的なアプローチで、甲論乙駁して、どういうメリットがあるか、どういうデメリットがあるかなんてことを積み上げたって、めでたく結論に到達するという話じゃないんですよ。これは、一種の仮説法なんだから。ある仮説を立てて、日本をどういうふうに変えてみようと思うのかという所で、その仮説を懸命に説明する意志を持った中心になる人がいなくてどうするかという話だと思うんですね。関東大震災の後に、後藤新平が昭和通りを作るということを決意した。どうしても東京の将来のためには、昭和通りのような太い道路が、震災のためには要るんだということで、何も国民投票をやったわけでもなければ、誰々の意見を聞いて歩いたわけではないですね。やっぱりリーダーとして、強い意志のもとに引っ張っていく。そういうものがなかったら、こういうものは実現しないでしょうということが一つ。

二つ目は、フランクリン・ルーズベルトがニューディールをやった時に、若い人達を参加させる仕組みというのをいろいろ工夫しているわけですね。こういう公共政策に。たとえば僕は、大学を出て就職が難しいといわれている若い女性達に、1000人でも2000人でもいいですから、首都機能移転に関わるあるプロジェクトチームを作って、そこに若いエネルギーを吸収して、人間の顔をした新首都機能移転をやるとしたらどうするのかとか、そもそもやらない方がいいと思うのかという話を、しっかり参画させてみるくらいのことをやれば、俄然若い人達の関心とか、問題意識も高まってくる。そういう知恵が要るんだろうと、僕は思いますよ。

齋藤 氏

月尾さんは、どうしたらいいと思いますか?

国民投票を早くやった方がいいと思います。国会等移転調査会の報告書で、国民投票は憲法の制度でできないと書いてあるのですが、首相公選制も憲法でできないけれども、小泉さんはやると言っているわけで、政治家がやると決めれば、首都機能移転を国民投票にすることは問題ない。費用は大体800億円かかります。800億円は大変なようだけれども、7月の参議院選挙にも800億円かかるのですから、その時に一緒にやってもいいし、準備不足なら、次の選挙の時に一緒にやってもいい。それが、最も国民が関心を持つ方法だと思う。自分が投票するなら勉強するけれども、公聴会を開いて、言いたい放題で終わりというのであれば、誰も勉強する気がしない。だから、800億円かけて、これから1年後に国民投票をやりますと言えば、はっきり結論が出る。それで国民も納得すると思う。800億は巨額かもわかりませんが、8兆円の100分の1だから、8兆円の工事費の1%増すだけだから、大したことはない。それで、止めるということになれば、税金が8兆円助かる。いずれにせよ国民投票をやると決めて、そのために国民が関心を持って勉強する手段を、国土交通省がお考えいただくというのが、一番簡潔明瞭だと思います。

齋藤 氏

ケントさんどうぞ。

ギルバート 氏

国民投票は、極めて危ないことです。州民投票で、カリフォルニアは元気がなくなったんですよね。勉強しない人達が、感情で投票するわけですから。ですから、もしも国民投票をやるのであれば、相当の情報をちゃんと提供してあげないと、間違った結論が出る可能性があります。

齋藤 氏

須田さん、如何ですか?

須田 氏

やはり今見ますと、まず一つ一番関心があるのは、候補地を持っている所なんですね。これは、かなりの程度関心があります。次に、東京都に関心がある。先程の石原知事がいろいろ言われることがあったり、そういうことがあったりすることと、やっぱり反対というような意向が、むしろ東京には強いために、東京の人には割合関心がある。それ以外の人は、ほとんど私は残念ながら無関心だと思います。これでは、国会が世論に沿って結論を出そうとしたって、世論がこういうことでは決められないわけですから、ある程度世論を盛り上げて、やはり議論が動いていかなければ、国会は結論を出せないだろうと思うんですね。そういう意味で、一番大事なことは、やっぱり世論を盛り上げることだなという感じがいたします。したがって、私はここで大事なことは、先程おっしゃったけれども、若い人がこの問題に関心を持つということが、私も非常に大事だと思います。そのためには、最近流行りのインターネットにそういう情報を出すこともいいでしょうし、一番端的な方法は、公立大学の入学試験に、首都機能移転の論文テストを出すと言えば、全員が勉強いたしますから、一番手っ取り早いんですが、そんなことはできないにしても、やっぱり学校の授業とか、そういう所でも、やはり本件をどんどん取り上げていく。そして、やはりいろんな所で本件についての正しい理解を得る必要があると思います。さっきのいろいろ誤解があった上で、土建行政と混乱したままで、世論が盛り上がられても、何ら前進はしませんから、正しい首都機能移転というのはこういう議論なんだよということを、やはり世に示す必要がある。

私、二つ方法があると思うんですが、一つは、まず国会に折角付託してあるわけでありますから、国会での議論がまだ不充分だと思います、とにかく。たまに集まって、いろいろ言っておられるような気はするけれども、新聞に出るなんてことは、本当に1年に1回か2回しかない。毎週やるくらいのつもりで、それこそここにおられた方をお呼びするなり、石原都知事を呼ぶなり、何でもいいですから、とにかくいろんなことをやって、国会の特別委員会が毎日テレビに出るようにする。そういうことを国会もおやりにならなきゃいけない。まずそれをやっていただく。そして、その情報がどんどん流れていく。国土交通省も、それに応じて、適時適切に情報を開示していくということだと思うんですね。そういうことをやっていけば、否が応でもやはり国民的関心は高まると思います。その極めつきは、東京都との比較考量と、法律に書いてありますから、必ずおやりになるに違いない。この暮れか来年の春に。そして、東京都知事はさっきのまた文化論を言うでしょう。東京の文化を守るのがいいのか、日本国中全体の文化のレベルを考えるのがいいのか、そこら辺の議論だって私はあると思うんですね。東京の文化だけが日本の文化じゃありませんから。そういう議論だって起こると思います。まず、その比較考量の時に、世論が高まるチャンスが1回ありますから、そこに至るまでに、国会での論議を大いに高めると同時に、やはりいろいろそういう情報を開示したり、いろんな議論を高めて、その比較考量の時に、国民的な世論が、場合によれば国論を二分するような議論になるとか、そういうふうになれば、選挙の争点にもなると思います。そういうことで、やっぱり盛り上げを図らなきゃ、どうにもならないということを、私は申し上げたい。一言だけ皆さんに知っていただきたいのは、候補地を持っている岐阜県の例ですけれども、ご婦人だけが丁度これくらい集まって、首都機能移転の議論をする場に私は呼ばれたことがあります。国土交通省からも、女性の課長補佐がおられましたので、聞いていただきましたけれども、その方々は、首都機能移転の候補地に自分達の所がなった。そのために、我々が何をしたらいいのかということを議論しようということで、いろんな人の意見を聞いたり、ご婦人同士、全員ご婦人でした。300人はおられたと思います。そういう方々の真摯な議論があったということだけ、ちょっと皆さんに申し上げておきます。やり様によっては、そうなるんであります。そうならないのは、やはり私はまだそこに情報の開示が足りない。まだ関心の度合いが足りないということは、情報の露出度が少ないということだと思いますので、まず国会の議論、政府の啓蒙、そしていろんな意味で、この議論を持ち上げる国民的努力、こういうのが緊急の課題だと思います。

齋藤 氏

ありがとうございました。

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