夏休み、午後3時、みどりちゃんはプール学校からの帰り道。スーッと涼しい風が吹く。思わず
みどり「気持ちがいいわ。東京にいる頃は、夜も暑かったわ。なんて言ったっけ。ヒート、ヒート・・・、」。
野美野「ヒートアイランド現象」。
と、どこでもドアを使ったかのように突然現れた環境保護局自然調査員の野美野 美田。
みどり「アッ美田のおじさん。ヒートなんていうの」
野美野「ヒートアイランド現象。みどりちゃんも東京にいたとき都心の近くにいたから夏暑かったでしょう。」
みどり「ウン。もワーッとしてた。でも、八王子のおじさんちに行くとそうでもなかったわ。」
野美野「そうだね。人間活動の活発な都市部で「島状」に気温の高い部分ができる現象のことを言うんだ。緑地や水面や地面が減り、建物も含めてコンクリートやアスファルトで覆われた部分が増えると地表面に熱が蓄積されて、気温が上昇するよね。気温が上がると、冷房をもっと使う羽目になって、その排熱が気温をもっと上昇させるよね。こうした悪循環がヒートアイランド化をさらに深刻化させているんだ。東京でもいろいろ対策を取っているけどね。」
みどり「でも美田のおじさん。どうしてこの新都市では風が吹いて気持ち良いの。」
野美野「それはね、どんな風に都市をつくったら風が気持ちよく吹くか、ちゃんと計画してつくったからだよ。」
みどり「ふーん。中国の風水師みたいな人がいるの。」
野美野「風水師っていいね。コンピュータを使った風水師かな。西洋の風水師という人もいるけど。前もって、この土地の地形や気候なんかを調べて、緑地や水辺をどう配置し建物をどう建てたら気持ち良い風が吹くとか、こういう道路や公園や緑地をつくったら風がこう吹くとか色々計算してつくったんだ。ドイツではシュツットガルトなどで随分前から実施されている(注9)のだけれど、日本ではこの新都市ではじめて大掛かりに使ってみたんだ。うまくいっているみたいなので、他の都市でも使ってみるそうだよ。」
みどり「面白そうね、私も勉強してみよっと」