報道・広報

操縦士特有の運航環境を踏まえた乗務時間上限基準の制定
~十分な睡眠が安全運航の基本です~

令和元年7月5 日

 現在一律に定めている操縦士の乗務時間の上限基準を、乗務する時間帯や1日の飛行回数に応じた値に見直すとともに、乗務間に必要な休養時間の明確化、時差に応じた追加の休養時間等に関する基準を新たに設け、睡眠不足、長時間乗務及び時差の影響等による疲労状態での乗務、これらに伴う事故等を防止します。

1.背景
 国際民間航空機関では、操縦士の疲労による事故防止のため、平成28年11月にガイダンスを発行し、航空当局の定める乗務時間の上限や必要な休養時間に係る基準について考慮すべき事項を明らかにしました。  これを受け、我が国では平成29年4月から航空会社に対し操縦士の疲労情報の収集・分析を図る体制を義務付けるとともに、その状況を踏まえつつ、平成30年7月に有識者検討会を設置し、欧米の基準や国内航空会社における実態調査を参考に、我が国の疲労管理基準の考え方について検討を重ね、平成31年3月29日に報告書「操縦士の疲労管理について」をとりまとめました。

   (参考)http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000031.html 

  これまで、当該報告書に基づく具体の基準についてパブリックコメントを行うとともに関係者との調整を行っておりましたが、今般、操縦士の疲労管理基準を以下のとおり定めることとしましたので公表します。

2.新基準の主な内容
 (1)乗務時間の上限時間の見直し・細分化
  現行 新基準
2人乗務 国内線:8時間
国際線:12時間
勤務開始時刻 飛行回数
2回以下 3回以上
5:00~16:59 10h 9h
17:00~4:59 9h 8h
3人乗務 12時間超 15時間 ※機内に適切な仮眠設備が必要

(2)飛行勤務時間(乗務前ブリーフィングや地上待機時間も考慮)の上限基準の新設
  現行 新基準
2人乗務 無し   9~13時間の範囲内で勤務時間帯(5区分)、飛行回数(9区分)に応じた上限時間を設定
3人乗務 無し   14~17時間の範囲内で仮眠設備のレベル(3区分)、飛行回数(2区分)に応じた上限時間を設定
 
(3)乗務間・定期的な休養時間の明確化
  現行 新基準
乗務間 無し   10時間の休養(うち睡眠が取れる8時間を確保)
  深夜早朝業務後の追加休養(2~4時間の追加)
  時差のある運航後、時差の大きさに応じた、到着地及び帰還後の本拠地における追加の休養(到着地:時差の半分、本拠地:2夜~5夜)
定期 7日間で1日  ・168時間毎に2夜を含む連続36時間以上の休養が必要
 ・深夜早朝勤務が7日間で4回以上ある場合は、2回目の定期休養では60時間以上が  必要。
 
 (4)対象
  最大離陸重量5.7㌧以上の飛行機を用いた本邦航空運送事業者

3.スケジュール
 公布:令和元年7月5日
 施行:令和元年10月1日(基準に適用するために大幅なシステム改修等を要する航空運送事業者については、
                令和3年12月31日までを限度に猶予期間を設定)  
 

お問い合わせ先

国土交通省航空局安全部運航安全課 藏、小御門、中根
TEL:03-5253-8111 (内線50111,50117,50126) 直通 03-5253-8737 FAX:03-5253-1661

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