海岸

2. 高潮は恐ろしいの?

2-1 高潮の被害

 高潮の被害としては、浸水による溺死や、家屋の破損・流出、船舶の損傷・衝突など、さまざまな被害が発生します。

 

●考えられる高潮被害の例

対象 被害形態の例
人的被害

溺死、

漂流物による怪我、

漂流中の異物の飲み込み等による病気  等

家屋被害

家屋の浸水・流出・破壊、

浸水による電気製品等の障害  等

防災構造物被害

洗掘による破壊・倒壊・変異、

漂着物の大外力による破損、

ブロック堤の沈下・散乱      等

交通障害

<鉄道>線路冠水、法面洗掘、道床決壊、軌道移動、鉄橋変異、臨海線埋没

<道路>越波による地崩れ、道路冠水、漂流物衝突による変位や落橋、

      橋台周辺の洗掘が原因の落橋、法面洗掘、漂流物堆積による交通閉鎖

<港湾>土砂堆積による水深低下、局所洗掘による港湾構造物の破壊、

      流出物による港口閉鎖等の機能障害、港の旅客待合室に浸水

<空港>空港冠水

ライフライン被害

<水道>漂流物衝突による消火栓・給水栓崩壊、河川よりの給水口の破壊

<電力>電柱倒壊・流出による送電停止、発電所浸水による障害や停電

<通信>電柱や架空ケーブルの被害、地下ケーブルの立ち上がり部切断、

      電話機の冠水被害

<下水道>排水溝を通じての浸水、上水道への海水進入

産業被害

<水産業>養殖筏や魚網の流出、漁船流出・破壊、漁船発火消失

<商工業>浸水による商品価値の喪失

<農業>冠水による作物被害、流入土砂による農耕地埋没、土砂または漂流物による用水路陥没

森林被害 幹折れ・倒伏・土壌洗掘などの物理的被害、浸塩水・埋砂による生理害
火事

流出家屋台所から出火、漁船機関室からの出火、漏電による発火

ガソリン保管庫への漂流物衝突による出火、スイッチボックスへの衝突による出火、

石油・毒物の流出

船の被災による油の流出、火事の火元および延焼の原因、環境汚染

地形変化

河口砂州切断、浅瀬の変化、砂浜の変形、河川内堆砂

 

2-2高潮に対して危険な地域

 高潮の規模は台風の規模や通過するコースに大きく影響されます。
 台風は、地上付近では上から見て反時計回りに強い風が吹き込んでいます(北半球にある日本の場合)。台風の進行方向に向かって右の半円では、台風の移動方向と風向きが同じであるため風が強くなります。

 

図 台風進路の東側と西側

 湾口が南側に面し、湾の軸が台風の進路と一致する場合には、高潮が生じやすくなります。

 東京湾・伊勢湾・大阪湾・有明海などは、高潮の起こりやすい条件を備え、我が国で最も危険な地域といえます。また、高潮の発生頻度は、太平洋側の湾内で圧倒的に多く、日本海側では少なくなっていますが、発生しないということではありませんので、油断は禁物です。

 

図 高潮発生しやすい地域

 高潮による海面上昇は、海底地形や海岸形状により大きく異なります。以下のようなところでは、特に高潮に対する注意が必要です。

図 ゼロメートル地帯
ゼロメートル地帯

図 湾奥部
湾奥部

図 急深な海底地形
急深な海底地形

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