海岸

4. 高潮について知るには?

4-1 高潮情報について

 行政から発表される高潮情報については、主に以下のようなものがあります。

●気象庁が発表する気象情報

=台風情報=

台風の中心位置、気圧、最大風速、進路予想、高潮など、台風の状況に関する情報です。

 

=高潮注意報・警報=

①高潮注意報:台風や低気圧等による異常な海面の上昇により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。

②高潮警報:台風や低気圧等による異常な海面の上昇により重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。

③高潮特別警報:数十年に一度の台風や同程度の温帯低気圧により高潮になると予想される場合に発表します。

(参考:気象庁HP)

●都道府県が発表する水位周知情報(高潮に係る水位情報の通知及び周知)

高潮氾濫発生情報(警戒レベル5相当情報[高潮]):高潮により相当な損害を生ずるおそれがある海岸として、水位周知海岸に指定された海岸において、基準観測所の潮位が高潮特別警戒水位(高潮による災害の発生を特に警戒すべき水位)に達したとき、発表されるもの。また、水位周知海岸に指定された海岸において、高潮による氾濫もしくは高波による越波により浸水が発生したとき又は氾濫したものと推測されるときに発表されるもの。

 

●市町村等が発表する避難情報

①警戒レベル3 高齢者等避難

状況: 災害のおそれあり

〇警戒レベル3高齢者等避難は、災害が発生するおそれがある状況、即ち災害リスクのある区域等の高齢者等が危険な場所から避難するべき状況において、市町村長から必要な地域の居住者等に対し発令される情報です。

〇避難に時間を要する高齢者等はこの時点で避難することにより、災害が発生する前までに指定緊急避難場所等への立退き避難を完了すること(高齢者等のリードタイムの確保)が期待できます。

行動: 危険な場所から高齢者等は避難

〇市町村長から警戒レベル3高齢者等避難が発令された際には、高齢者等は危険な場所から避難する必要があります。

〇高齢者等の「等」には、障害のある人等の避難に時間を要する人や避難支援者等が含まれることに留意してください。

〇具体的にとるべき避難行動は、「立退き避難」を基本とし、ハザードマップ等により屋内で身の安全を確保できるか等を確認したうえで自らの判断で「屋内安全確保」することも可能です。

〇本情報は高齢者等のためだけの情報ではありません。高齢者等以外の人も必要に応じ、出勤等の外出を控えるなど普段の行動を見合わせ始めたり、避難の準備をしたり、自主的に避難するタイミングです。例えば、地域の状況に応じ、早めの避難が望ましい場所の居住者等は、このタイミングで自主的に避難することが望ましいでしょう。

 

➁警戒レベル4 避難指示

状況: 災害のおそれ高い

〇警戒レベル4避難指示は、災害が発生するおそれが高い状況、即ち災害リスクのある区域等の居住者等が危険な場所から避難するべき状況において、市町村長から必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し発令される情報です。

〇居住者等はこの時点で避難することにより、災害が発生する前までに指定緊急避難場所等への立退き避難を完了すること(居住者等のリードタイムの確保)が期待できます。

行動: 危険な場所から全員避難

〇市町村長から警戒レベル4避難指示が発令された際には、居住者等は危険な場所から全員避難する必要があります。

〇具体的にとるべき避難行動は、「立退き避難」を基本とし、ハザードマップ等により屋内で身の安全を確保できるか等を確認したうえで、居住者等の自らの判断で「屋内安全確保」することも可能です。

 

➂警戒レベル5 緊急安全確保

状況: 災害発生又は切迫

〇警戒レベル5緊急安全確保は、災害が発生又は切迫している状況、即ち居住者等が身の安全を確保するために立退き避難することがかえって危険であると考えられる状況において、いまだ危険な場所にいる居住者等に対し、指定緊急避難場所等への 「立退き避難」を中心とした避難行動から、「緊急安全確保」を中心とした行動へと行動変容するよう市町村長が特に促したい場合に、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し発令される情報です。

〇ただし、災害が発生・切迫※している状況において、その状況を市町村が必ず把握することができるとは限らないこと等から、本情報は市町村長から必ず発令される情報ではありません。また、住居の構造・立地、周囲の状況等が個々に異なるため、緊急時においては、市町村は可能な範囲で具体的な行動例を示しつつも、最終的には住民自らの判断に委ねざるを得ません。したがって、市町村は平時から居住者等にハザードマップ等を確認し災害リスクととるべき行動を確認するよう促すとともに、緊急安全確保は必ずしも発令されるとは限らないことを周知しつつ、緊急安全確保を発令する状況やその際に考えられる行動例を居住者等と共有しておくことが重要です。

※切迫・・・災害が発生直前、または未確認だが既に発生している蓋然性が高い状況

行動: 命の危険 直ちに安全確保!

〇市町村長から警戒レベル5緊急安全確保が発令された際には、居住者等は命の危険があることから直ちに安全確保する必要があります。

〇具体的にとるべき避難行動は、「緊急安全確保」です。

〇ただし、本行動は、災害が発生・切迫した段階での行動であり、本来は「立退き避難」をすべきであったが避難し遅れた居住者等がとる次善の行動であるため、本行動を安全にとることができるとは限らず、また本行動をとったとしても身の安全を確保できるとは限りません。さらに、本行動を促す情報が市町村長から発令されるとは限りません。

 

4-2 高潮ハザードマップ

 予め、過去の災害を知り、自宅や勤務地周辺の危険性を把握しておくことは重要です。高潮ハザードマップは、万が一高潮による浸水被害が発生した場合に、どのような状況が予想されるかについて把握することができます。

 国土交通省ハザードマップポータルサイトでは、様々な種類の全国の市町村のハザードマップを閲覧できます。

リンク:ハザードマップポータルサイト

http://disaportal.gsi.go.jp/

4-3 水防法の取り組み

 高潮に対する避難体制等の充実・強化を図るため、平成27年に水防法が改正され、想定し得る最大規模の高潮に係る浸水想定区域を公表する制度、高潮による氾濫に対して、市町村の避難勧告発令判断や住民の避難判断に資するよう、水位周知海岸制度が創設されました。


 浸水区域に係る制度では、都道府県が相当な被害が想定される海岸において、最大規模の高潮が発生した場合の高潮浸水想定区域を指定し、それに基づいて市町村が地域防災計画やハザードマップを作成・活用することが義務づけられました。

 今後、同法に基づくハザードマップの策定が進められる予定です。


高潮浸水想定区域のイメージ


 水位周知海岸に係る制度では、指定された海岸で高潮特別警戒水位を設定し、その水位に到達した時、「高潮氾濫発生情報」として、発表されます。発表された場合は、高潮氾濫が発生又は切迫(切迫とは、災害が発生直前、又は 未確認だが既に発生している蓋然性が高い状況)している状況であるため、命の危険から身の安全を可能な限り確保(その時点でいる場所よりも相対的に安全である場所へ直ちに移動等すること)して下さい。

 

図 高潮氾濫危険情報

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