2.スマートウェイの機能と要件(スマートウェイの機能と具備すべき条件)
 
(1) スマートウェイの有する機能
<1>  スマートウェイには、二つの社会インフラとしての機能を有することが必要である。第一は、スマートカーやスマートゲートウェイと一体となって、安全で円滑な道路交通、良好な環境を提供するITSを統合的に実現するインフラとしての機能である。
<2>  第二は、社会に新たな価値を生み出すプラットフォーム(共通基盤)としての機能である。スマートウェイは、多様で本格的なITSが実現した社会にふさわしい各種情報の自由なやりとりを支えるオープンなプラットフォームとして、幅広く提供されるべきものである。これにより、自由な発想による効率的かつ拡張性のあるシステムの開発や新しいサービスの実現が可能となる。
 
(2) スマートウェイの要件
 
 1) 社会や利用者のニーズに対応した人間本位のシステムづくり
<1>  スマートウェイの展開にあたって、技術本位に陥らず、社会や利用者のニーズを満足させるサービスを実現することが前提となる。今後、快適なライフスタイルの創出、新たな価値の創造に資するシステム開発にあたっても、幅広い分野の潜在的なニーズの把握に努めることが必要である。
<2>  スマートウェイが、21世紀の高齢化時代における新しい交通システムとして国民に受け入れられ、社会に定着するためにも、高齢者等交通弱者を含め、あらゆる人にとってやさしく、使いやすい、人間本位のシステムづくりを心がける必要がある。このため、ヒューマンインターフェイスの研究開発を始め、利用者の受容性を十分に考慮したシステム開発が重要である。
 
 2) シンプルな単体型からフルスペック型まで様々なレベルを設定
<1>  スマートウェイの整備に際しては、全国各地の多種多様な道路交通状況などを踏まえ、早期かつ効果的に行っていくことが必要である。
<2>  このため、スマートウェイの設計条件を検討するにあたっては、シンプルな単体型から多様な機能を搭載したフルスペック型まで、ネットワークや道路交通特性、地域特性を考慮して多様なレベルを設定していくことが必要である。
<3>  また、各レベルの設定においては、平成8年7月に出された高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想に示されたITSの9つの開発分野を初め、関連するサービスをどの程度実現すべきかについて、それぞれの導入による効果を踏まえながら早急に検討する必要がある。
 
 3) 将来ニーズへの的確な対応と拡張性の確保
<1>  スマートウェイは、インフラとしての特性から長期間にわたって機能を発揮することが求められている。一方、利用者のスマートウェイに対するニーズは日々、多様化、高度化していくと考えられる。したがって、スマートウェイが、使用期間中にわたりITSを統合的に実現するインフラとしての機能を発揮するためには、スマートウェイの構築にあたって将来のニーズを予測しこれを反映させる必要がある。
<2>  一方、情報通信技術の進化は急速であり、これらの将来像を長期的に明確に見通すことは困難でもある。このため、こうした変化とそれに伴う新しい高度なニーズに対し最小限の改変で柔軟に対応できるよう、当初より拡張性を考慮したシステムとすることも重要である。これによって、先進的な技術を導入する際の手戻りと利用者の不利益や不便を回避することが可能となる。例えば、全体システムの設計を行う際に、システムの共通的な基盤については標準化を行い汎用性をもたせる等の工夫を行う必要がある。
 
 4) システムの危機管理への対応
<1>  スマートウェイの危機管理として、システムの一部に障害が発生した場合にも、直ちにシステム全体が使用不能に陥ることなく、代替的に機能が補完される仕組み(フェイルセーフの思想)を取り入れる必要がある。例えば、通信機能に関しては専用回線と公衆回線が相互に機能を補完する方法も考えられる。
<2>  また、万が一システムが機能しなくなった場合にも、適切な対処が可能となるよう、緊急時における対処方針を定めるなど、リスク管理を徹底させるべきである。

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