道路

2-1.幹線道路における交通事故対策

交通事故を減少させるためには、交通事故の実態や要因を科学的かつ総合的に解明し、これを踏まえた効果的な交通安全対策を立案、実施することが不可欠です。全国の幹線道路(国道・都道府県道)を約71万区間に分割し、平成19年~平成22年の事故データと平成22年の交通量データを基に、各区間の死傷事故率を算出した結果、死傷事故の69%が全体の20%の区間に集中していることが分かります。

事故危険箇所

全国の国道・都道府県道における交通事故が特定の箇所に集中して発生しているという特徴を踏まえ、幹線道路において集中的な交通事故対策を実施することを目的に、警察庁と国土交通省が合同で、死傷事故率が高く、又は死傷事故が多発している交差点や単路部を「事故危険箇所」として指定(平成25年7月)し、都道府県公安委員会と道路管理者が連携した対策を実施しています。

<事故危険箇所の指定>

平成25年7月に下記の抽出箇所から対策必要箇所を3,490箇所選定しました。

事故危険箇所の選定の考え方

◆平成19年~平成22年における平均的な交通事故発生状況について以下の条件を全て満たす箇所。

  • 死傷事故率が100件/億台キロ以上
  • 重大事故率が10件/億台キロ以上
  • 死亡事故率が1件/億台キロ以上

◆ETC2.0のビッグデータを活用した潜在的な危険箇所等、地域の課題や特徴を踏まえ、特に緊急的、集中的な対策が必要な箇所。

<事故危険箇所の目標>

事故危険箇所における対策は、平成27年9月に定めた社会資本整備重点計画において、「平成32年度末までに対策実施箇所における死傷事故件数について約3割抑止」という目標を掲げて取り組んでいます。

<事故危険箇所における対策の概要>

「事故危険箇所」においては、都道府県公安委員会と道路管理者が連携して、道路改良、交通安全施設の設置、信号機の設置・改良等の集中的な交通事故対策を講じています。

(1)道路改良

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【右折レーンの延伸】

右折レーン長不足により直進車線まで延びた右折待ち車両の列に、直進車が追突する事故を防止するため、右折レーンを延伸し、十分な右折レーン長を確保しています。

【歩道の整備】

安全・安心な歩行空間を確保するため、歩道を整備しています。

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【導流路半径縮小】

左折時の走行速度が高くなり横断歩行者又は横断自転車を見落とし衝突する事故を防ぐため、導流路半径の縮小により、左折時の走行速度を抑制しています。

【最高速度規制】

往復の交通流を分離することにより、対向車線への逸走による正面衝突等の重大事故を防止しています。

(2)交通安全施設の設置

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【防護柵の設置】

車両の路外への逸脱を防止し乗員及び第三者への被害を防止するため、防護柵を設置しています。

【導流標示の設置】

右折時の走行位置が不明確であるため、歩行者や対向車への注意が行き届かなくなり衝突する事故を防ぐため、交差点に導流標示を設置し走行位置を明確化しています。

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【注意喚起表示(LED表示版)の設置】

事故の危険性がある箇所や急カーブ箇所等でドライバーに注意を促すための注意喚起標示を設置しています。

【視線誘導標の設置】

線形が把握しにくいカーブ区間において車線逸脱による事故を防止するため、視線誘導標を設置して線形を把握しやすいようにしています。

(3)ビッグデータを活用した対策事例

事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)

厳しい財政状況の中で、必要な道路整備を進めていくためには、限られた予算を効率的・効果的に執行し、成果を上げていくことが重要です。このため、データ 等に基づく「成果を上げるマネジメント」の取組みを導入し、交通安全分野における「成果を上げるマネジメント」を『事故ゼロプラン(事故危険区間解消作戦)』として展開しています。

『事故ゼロプラン』では、「選択と集中」、「市民参加・市民との協働」をキーワードとして、事故データや地方公共団体・地域住民からの指摘等に基づき交通事故の危険性が高い区間(事故危険区間)を選定し、地域住民への注意喚起や事故要因に即した対策を重点的・集中的に講じることにより効率的・効果的な交通事故対策を推進するとともに、完了後はその効果を計測・評価しマネジメントサイクルにより逐次改善を図ることとしています。

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(1)事故の危険性が高い区間の明確化

事故危険区間については、都道府県毎に、①事故データに基づく区間、②潜在的な危険区間を抽出し、学識経験者・関係者等からなる委員会から意見を聴取した上で、全国で13,494区間を選定しています(平成27年1月現在の直轄国道)。

(2)情報の共有化

利用者に危険箇所を認識してもらうことで事故削減にも期待できることから、市民との情報共有にも積極的に行うこととしており、①代表的な事故危険区間の公表、②注意喚起看板の設置、③地域住民・関係機関等との合同現地点検等を実施しています。

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2-2.生活道路における交通事故対策

日本の交通事故死者数は、現在約4千人(H27)で、ピーク時の約1/4にまで減少し、特に自動車乗車中の死者数は、G7の中で最も少なくなっています。
しかし、歩行中・自転車乗車中の死者数は、G7で最下位となっています。歩行中・自転車乗車中の死者数は、全交通事故死者数の約半数を占めており、そのうち約半数は、自宅から500m以内の身近な道路で発生しています。
このため、国土交通省では、生産性革命プロジェクトとして、ビッグデータを活用して、生活道路における速度超過箇所や急ブレーキ多発箇所等の急所を事前に特定し、効果的な速度低減策である凸部(ハンプ)や狭窄などの設置の推進に取り組むことで、生活道路を歩車混在から歩行者中心の空間へ転換します。


<交通事故の現状>

【G7国別・状態別の人口10万人あたり交通事故死者数】

グラフ:G7国別・状態別の人口10万人あたり交通事故死者数

【自宅からの距離別死者数(歩行者・自転車)】

グラフ:自宅からの距離別死者数(歩行者・自転車)

<生活道路の対策エリアの取組フロー>

■生活道路の対策エリアの取組フロー

生活道路の対策エリアの取組フロー

■死傷事故に関するメッシュデータ

死傷事故に関するメッシュデータ

■地域協働による推進体制の構築
(通学路の交通安全確保の推進体制等の活用)

<生活道路エリアの分析事例>

[これまで]

[今後]

■事故発生箇所に対する
対症療法型対策

速度超過、急ブレーキ多発、抜け道等の
急所を事前に特定

生活道路エリアの分析事例

 

<生活道路の対策イメージ>

【暮らしのみちを安全にする対策】

暮らしのみちを安全にする対策

【ハンプの速度抑制効果】

標準的なハンプをななめから見た図、ハンプ通過後の速度

【エリア対策のイメージ】

<国による技術支援>

対策エリアにおける取組を推進するため、国土交通省では、ビッグデータにより対策エリアにおける速度超過箇所・急ブレーキ多発箇所等の分析結果の提供や現地診断など技術的助言が可能な有識者等の紹介など、技術的支援を行います。

①ビッグデータによるエリア分析のイメージ(国)

<事故・急減速位置図>

事故・急減速位置図

<30km/h速度超過割合図>

30km/h速度超過割合図

②有識者等による技術的助言

対策エリアについて、市町村からの要請に応じ、有識者等を紹介

有識者等による技術的助言

◇交通安全診断の試行

現地診断の試行状況
(H27.8 岡山市内)
現地診断の試行状況

<仕様の標準化>

対策エリアの計画検討・立案を推進するため、生活道路の交通安全確保に関連する技術基準や事例集を作成しています。

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