資料2-3
ETC普及促進策について(案) 参考資料

5. 各施策の概要

(1) 導入段階における対策

  1. 期間限定上限付割引の実施(主に一般ユーザー等を対象)
     
    • 導入段階に限っての時限措置(1〜2年)として、利用者のETCによる通行1回ごとに定額又は定率による割引きを実施。
    • 割引額の累積額が上限額に到達すれば割引終了。
    • 有料道路事業の採算に与える影響等に配慮する必要。

      (参考)実施のイメージ
      実施のイメージ
       
  2. 車載器購入等に対する支援(主に道路運送事業者等の大口ユーザーを対象)
     
    • 道路運送事業者団体等が、傘下事業者に対しETC車載器の貸し出し又はETC車載器の設置に要する費用の助成を実施する場合、当該団体等に対し、その事業に要する費用の全部又は一部を支援。
       
  3. 前納割引方式の導入
     
    • 後納方式を基本とする現在のETCシステムに、新たに前納方式を導入することにより、現在の前納型割引制度(ハイカ、回数券)が適用可能なシステムに改善。

      (実施方法)
      • 現在のETCシステムに前納方式を導入
      • 利用者は前もって公団等に一定額を前納
      • 公団は利用者の前納額に応じたプレミアム分を加え通行可能額を設定
      • 利用者は設定通行可能額まで、新たに料金を支払うことなく通行可能
         
    • 前納方式の導入に向けて、その導入コストやランニングコスト、利用者の利便性の確保等を課題に踏まえ、早急に具体的内容を検討する必要。

      (参考)前納方式のイメージ(5万円で(5万円+α)分の通行の例)
      前納方式のイメージ
       
  4. ETCを活用した料金施策
     ETCを活用して、環境対策等特定の政策目的の実現、既存ストックの有効活用、さらには利用者ニーズ等の観点から、弾力的で多様な料金施策について試行的実施も含め積極的に展開することにより、ETC利用にインセンティブを付与。
    (参考)ETCを活用した新たな料金施策の例
     
    • 時間帯料金
      通勤や週末における郊外からの帰宅等特定の時間の渋滞解消を目的として、渋滞時間帯及び閑散時間帯における料金格差を設定し渋滞時間帯の交通を閑散時間帯に分散させる。

      フランスにおける時間帯別料金制度の例
      道路名 A-1 A-10,11
      事業主体 SANEFフランス北東部高速道路会社 コフィルート高速道路会社
      区間 パリ〜リール パリ〜ルマントゥールズ
      ロードプライシング
      実施時期
      1992年から継続中 1996年
      3月24日〜11月24日
      料金変化 通常時 : 52FF(±0%)
      混雑時 : 赤料金

      日曜日16:30〜20:30 62FF
      (+20%)

      混雑時前後 : 緑料金

      日曜日14:30〜16:30 39FF
      20:30〜23:30 39FF
      (-25%)

      ・乗用車

      超閑散時9:00〜11:00(-35%)
      閑散時11:00〜11:00(-15%)
      0:00〜 3:00(-35%)
      混雑時17:00〜21:00(+25%)
      通常時上記以外の時間(±0%)

      ・大型車

      超閑散時0:00〜 3:00(-35%)
      混雑時17:00〜21:00(+25%)

      交通分散効果 ピーク時交通量4〜8%減少
      20:30以降に交通量の上昇がみられるが渋滞するパリ周辺の交通量が少ないので問題はない。
      ピーク時交通量約12%減
      それ以外の時間帯
      約6〜10%増 平行している道路の交通量は、週末では0.5%以下の増加
    • 交通需要調整のための料金施策
      都市高速道路等、大都市の有料道路において、住宅地等を通過する交通の湾岸部等への転換を促進するため、料金に格差を設ける。

      高速需要調整のための料金施策
      料金Bを料金Aより低く設定することにより、自動車交通の湾岸部等への転換を促進

    • 都市高速道路等における短区間割引
      現在、均一料金制を採用している都市高速道路等においては、ネットワークの拡大により、利用者間のトリップ長の差が拡大傾向にあることから、公平負担の観点から、短区間利用者について均一料金から一定額を割り引く。

      都市高速道路等における短区間割引
       
    • 都市高速道路等における弾力的な乗り継ぎ制
       
      1. ネットワーク補完型
        ネットワークが未完成な部分において、乗り継ぎを可能をすることにより高速道路機能の補完を図る。

        1) 未供用区間に設定(ネットワークが切離されている)
         →現在認められている乗継制度


         ネットワークが切離されている設定

        2) 未供用区間に設定(ネットワーク上はつながっている)

         ネットワーク上はつながっている設定

      2. 渋滞回避型
        ある道路が一定程度以上渋滞している場合に、その箇所をう回して再度乗り継ぎを行うことを可能とする。

        既供用区間のうち、渋滞している区間に設定

        渋滞している区間に設定
         
  5. ETC対応料金所の整備促進
    ETC路側機器整備をさらに促進することにより、ETCが一層利用しやすくなるような環境整備を図る(地方公社等への展開等)。
     
    (参考)ETC整備済料金所
      整備済料金所数(累計)
    平成12年8月現在 61
    平成12年度末 約600
    平成13年度末 約800
    平成14年度末 約900
  6. ETC専用レーンの拡大
    ETC車・非ETC車の混在レーンを極力排し、ETC専用レーンを増設し、ETC車に対するサービスの向上を図る。
  7. 車両へのビルトイン化及びカーナビとの一体化
     
    • ETC車載器の機能を当初から、車両内部に組み込んだり、カーナビと一体化することにより、取り付け・流通コストの低減が図られるだけでなく、ダッシュボード周辺に配線する必要がなくなることから美観や確実性に一層優れたETC車載器の設置が可能となる。
    • また、ETC車載器に道路情報を送信した場合、カーナビ、カーTVの画面を利用してそれを映像として見ることが可能となる。
       
  8. タクシー等における利用証明機能の付加
     
    • タクシーにおけるETC利用の利便性の向上を図るため、現在タクシーに備え付けのプリンターに接続可能な複合タイプのETC車載器の普及促進を図る。
    • また今後、別納事業者においても、業務管理のため、利用証明システムが必要となると見込まれることから、別納事業者向けの利用証明システムの開発・普及を促進する。

      (参考)複合タイプETC車載器
      複合タイプETC車載器
       
  9. 「ETCについて意見を承る会」(仮称)の開催
    ETCの利便性の一層の向上や今後の利用形態の改善等について、幅広く利用者等の意見を聴く場を設け、ETCのメリットの周知を図るとともに、今後のETCシステムの改善に資することとする。

    (参考)「ETCについて意見を承る会」(仮称)の実施イメージ
    ETCについて意見を承る会(仮称)の実施イメージ

(2) 普及段階における対策

  1. 現行割引制度の見直し
    ETCの普及状況を勘案しつつ、非ETC車に対する現行割引制度について、ETCの前納割引方式における現行割引制度に相当する割引の実施を前提に見直すことを検討。
  2. ETCを活用したスマートICの整備促進
    有料道路事業の採算性悪化を防ぎつつ、追加ICの整備を促進するためには、利用交通の少ないICについて、利用をETC車両に限定するなど、管理費の削減方策を検討することが必要。

    (参考)スマートICのイメージ

    スマートICのイメージ
  3. SA・PAにおけるETC専用ゲートの整備促進
    SA・PAにおいて、ETC車両に出入りを限定することにより、整備・管理費用を最小限度とし、有料道路の採算性を確保しつつ、一般道路への出入口の設置を促進。
  4. ETC技術の多目的利用の促進
     
      ETC関連技術について、以下のような有料道路以外の分野における利用を促進する。
       
    • ガソリンスタンド、駐車場、ドライブスルー及び路上駐車施設等での利用
      現在のETCと同様の技術で無線通信により料金課金が可能。
    • トラック、バス運行システム
      料金所等の通過時刻が一元的に把握できることから、その情報を活用して車両の運行管理を行うことが可能。
    • 磁気カードよりセキュリティレベルの高いICカードへの転換を促進
      クレジットカード会社においても偽造されにくいICカードへの転換を図るべく段階的に検討を進めているところ。
    • 電子マネー化の促進
      ICカードの普及が促進されることから、ICチップに金額情報を搭載することで「お金」としての役割を果たす「電子マネー」の普及促進が期待されるところ。
    • 自動車全体のセキュリティーアップ
      ETCが利用している高度な暗号システムが活用できれば、より盗難に対する防衛機能の向上を図ることが可能となる。

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