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はじめに

国土交通省と警察庁は、これまで相互に連携して、交通渋滞の緩和等を図るための諸施策を推進してきました。また、道路管理者と都道府県警察、および占用企業者等も同様に、連絡調整協議会等を開催し、毎年度の道路工事を縮減するための計画を策定して工事の集中化等の諸対策を推進してきました。

しかしながら、道路工事については依然として批判の声が多く、「予算消化のための無駄な道路工事が年度末に集中」といった論調が新聞等で見受けられたり、道路利用者に対する満足度調査(平成15年度国土交通省実施)において、道路工事のやり方に対する不満の高さが道路施策の中で第2位に位置するなど、縮減の効果も実感されていないように思われます。その理由としては、(1)道路工事件数の縮減がまだ十分でない、(2)道路工事に伴う渋滞等の影響を軽減する努力が十分でない、(3)道路工事に対して道路利用者の理解が十分得られていない、という大きな3つの問題があるように思われます。

このような背景から、道路利用者の立場に立った施策を一層推進するために、国土交通省と警察庁からの呼びかけに応え、道路工事問題を改善すべく、道路利用者の代表から直接意見を伺い、行政への提言をまとめるために、本委員会が設置されることになりました。

ここに、本委員会の審議結果を施策提言としてとりまとめました。なお、本施策提言とりまとめに当たっては、委員会のホームページに寄せられた道路利用者の方々の意見も参考にさせていただいております。

関係機関においては相互に連携を図りつつ、この提言を踏まえた施策を推進されることを期待します。

平成15年10月7日
ユーザーの視点に立った道路工事マネジメントの改善委員会 委員長 家田 仁
■「ユーザーの視点に立った道路工事マネジメントの改善委員会」

委員長:家田仁(東京大学教授)
委 員:赤羽弘和(千葉工業大学教授)
委 員:出光ケイ(キャスター)
委 員:岩越和紀(JAF−MATE社社長)
委 員:西川りゅうじん(マーケティングコンサルタント)
委 員:松村みち子(タウンクリエイター主宰)
委 員:宮下孝之((社)東京乗用旅客自動車協会常任理事)

(委員は五十音順)
提言要旨

道路工事には、「予算消化のための無駄な道路工事が年度末に集中」といった論調が新聞等で見受けられたり、道路利用者に対する満足度調査において、道路工事のやり方に対する不満の高さが道路施策の中で第2位に位置するなど、依然として批判の声が多い。その理由としては、(1)道路工事件数の縮減がまだ十分でない、(2)道路工事に伴う渋滞等の影響を軽減する努力が十分でない、(3)道路工事に対して道路利用者の理解が十分得られていない、という大きな3 つの問題があるものと考えられる。

これらの問題を解決するためには、従来の関係者間による「内部調整型」の縮減施策から、利用者とのコミュニケーションを充実させることで、利用者が評価・監視し、かつ工事実施主体自らが縮減する「外部評価型」マネジメントへ転換を図ることが必要である。

具体的には以下の5つの方向性に沿って施策を講じるべきである。

I.協働の枠組みの構築
これまで道路工事の実施主体を中心に運営されてきた道路工事調整協議会の合理性・透明性をより高めるとともに、この枠組みを活用して道路工事マネジメントを全国展開する必要がある。

(具体的施策)
(1): 道路工事の実施主体に交通工学の専門家を加えた「道路工事マネジメント改善会議」の設置
(2): 「道路工事マネジメント改善会議」による住民・利用者への情報提供と意見聴取および沿道の大規模開発を含めたマネジメントの実施
(3): 「道路工事マネジメント改善会議」の全国展開

II. マネジメントの強化による道路工事の縮減と交通への影響の軽減
道路工事の縮減及び道路工事による交通への影響の軽減を図るため、従来の道路工事マネジメントに加えて、利用者が道路工事の縮減・改善を実感できる新たなマネジメントや技術開発を推進する必要がある。

(具体的施策)
(1): 集中工事、共同施工、共同溝整備の促進
(2): 工事総時間を指標としたマネジメント
(3): 掘り返し対策重点エリアの推進とエリアの明示
(4): 技術的工夫および技術開発の推進
(5): 交通容量確保のためのソフト施策

III.占用企業者への縮減インセンティブの付与
道路工事による渋滞コストや道路利用者への情報提供コストを占用企業者が負担する仕組みを構築するなど、占用企業者へのインセンティブ/チャージを導入することにより、占用企業者の主体的・積極的な工事縮減への取組みを促進する必要がある。

(具体的施策)
(1): 工事渋滞軽減度に応じたインセンティブ/チャージの検討
(2): 企業者別の工事渋滞の縮減貢献度の公表
(3): 占用企業者による主体的な道路工事広報等の実施

IV.利用者への情報提供と監視強化
道路利用者への工事情報の提供を充実させるとともに、道路利用者が積極的に道路工事縮減への取組みや個別の道路工事に関与・参画できる仕組みを構築する必要がある。

(具体的施策)
(1): リアルタイム路上工事情報提供システムの構築
(2): 道路利用者の路上工事監視による工事の改善
(3): 企業者名と工事理由が一目で分かる工事看板の設置

V.道路管理者自らの縮減強化
占用企業者に縮減を求めるだけでなく、道路管理者自ら工事縮減のために一層努力をする必要がある。

(具体的施策)
(1): 年度末の使い切り型予算制度の見直し
(2): 渋滞コスト最小の者が受注できる落札方式の促進
(3): 補修工事を計画的に集中して実施するエリアの設定

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