「路上工事の縮減」トップはこちら 
 
1.道路工事の現状

(1)道路利用者等の道路工事に対する評価
道路工事に対しては、「予算消化のため無駄な道路工事が年度末に集中」という論調が、マスコミの報道において共通してみられる。また、道路利用者に対する満足度調査(平成15年度国土交通省実施)において、道路工事のやり方に対する不満の高さが道路施策の中で第2位に位置するなど、道路工事に対しては依然として批判の声が多い。

ここで「道路工事」とは、道路上で行われている工事全般を指しており、その中身は『企業工事』と『補修工事』とに二分される。『企業工事』は主に公益事業者(電気、通信、ガス、上下水道等)が自らの公益事業のために行う工事で、『補修工事』は道路管理者が行う舗装の補修工事など道路の維持管理のための工事である。


道路工事に対する論調の例(毎日新聞(H15.2.7)より)


道路工事の内訳

(2)道路工事の現状

(1)道路工事が生じる理由
道路工事が生じる理由としては、既に設置している施設の補修や取換えが必要になることと、経済社会活動等に伴って、新たな施設の設置が必要になることが挙げられる。

また、道路工事には、老朽化した舗装の打換えや下水道等の補修、地下鉄の新設等、比較的大規模な工事で計画的に実施しているものと、交通事故に繋がる車道上に空いた穴の補修、壊れたガス管の補修、新築住宅への水道管の引き込み等、比較的小規模な工事で緊急的又は突発的に発生するものがある。


道路の地下に収容されるライフライン(イメージ)

(2)東京23区における道路工事実施状況
1) 種類別実施状況
東京23区内の一般国道および都道で行われている道路工事の内訳は、『企業工事』が約8 割、道路の『補修工事』が約2割となっている。
東京23区内における道路利用者を対象としたアンケート調査結果によると、道路工事には「企業工事」と「補修工事」という種類があるということを知っている人は全体の約4割にとどまっている。
2) 過去10年間の経年変化および近年の月別変化
東京23区の一般国道および都道で行われた道路工事件数は、この10 年間で半減している。しかし近年、道路工事の縮減割合は鈍化傾向にあり、従来の取組みだけでは限界に来ていることを示している。
3) 実施主体(企業)別に見た道路工事実施状況
工事件数を実施主体(企業)別に見ると、水道や電力の工事が多いことが分かる。また、高度情報化社会を背景に情報通信関連の工事も多くなっている。いわゆる車線規制を伴う道路工事の日数(以下、工事日数と呼ぶ)についてみると、上・下水道や電力工事の占める割合が多い。
「その他」の中には、工事期間が長い地下鉄や首都高速道路の工事が含まれている。これらの工事は実施期間が長いので、工事件数に比べて工事日数が大きくなる傾向にある。


東京23 区の道路工事内容の内訳(平成13 年度実績)


東京23 区の道路工事件数の推移(国道と都道の集計)


東京23 区の事業者別企業工事件数および企業工事日数(国道と都道の集計)

4) 道路別に見た道路工事の件数
一般国道・都道別に工事件数を見ると、都道での企業工事が全体の約7割と最も大きい割合を占めていることが分かる。
さらに、月別に推移を見ると、年末から年度末にかけての企業工事件数は他の月と比べて低く抑えられている傾向がみられるものの、都道で行われている補修工事が年度末に向けて増加していることが分かる。
5) 区道での道路工事の実施状況
東京23 区における道路延長は、一般国道・都道合わせた延長が1,093km に対し、区道は10,197km と大きな割合を占めている。道路調整会議での調整対象となる車線規制を伴うような比較的大きな規模の道路工事件数については約2万9千件のうち、区道の工事は約1万2千件と約4割を占めている。
一方、調整対象とならない軽微な工事(引き込み工事など)まで含めた総件数については、占用許可申請件数から推測すると、区道で行われる工事件数は非常に多いものと考えられる。


東京23区における道路別道路工事件数


道路管理者別に見た道路延長、道路工事調整件数および占用許可申請件数

(3)道路工事縮減に対する従来からの取組み
(1) 道路工事調整協議会での工事実施調整
道路管理者や企業者は、各々の工事予定について路線ごとに場所、 内容、時期の調整を行い、同一箇所の工事を、複数の占用企業者が工事実施時期を合わせて施工する「共同施工」の実施等、効率的な道路工事の実施に取り組んでいる。
(2) 道路使用・占用許可の柔軟運用
道路使用・占用許可の運用を弾力的なものとすることで、道路工事に伴う交通渋滞の総量の縮減を図っている。
(3) 非開削工法の導入促進
歩道部等に設けられたマンホール等から資機材を導入し、車道上の掘り返し部分をできるだけ少なくして、道路交通に与える影響を小さくする工法(非開削工法)の導入が促進されている。
(4) 共同溝の整備
電気・通信・ガス・上下水道等のライフラインをまとめて収容し、道路の掘り返しを抜本的に縮減する共同溝の整備が進められている。




非開削工法のイメージ図(上段:推進工法 下段:シールド工法)


共同溝の整備イメージ

(5)道路工事に関するこれまでの情報提供状況(東京23 区の例)
1) ホームページでの情報提供
国土交通省東京国道事務所および東京都では、インターネットを利用し、道路工事に関する情報をホームページで提供している。
2) 新聞による情報提供
東京都道路工事調整協議会では、新聞を活用した東京23区内の道路工事情報提供を試験的に行った。
3) 道路利用者が求める道路工事情報
道路利用者を対象としたアンケート調査結果によると、今後欲しい情報としては「工事を行っている場所」という回答が最も多く、次いで「渋滞予測」や「規制開始時刻」となっており、工事の実施状況およびこれに関連する渋滞情報等への関心が高いことが伺える。


ホームページにおける道路工事情報提供(画面例)


新聞による道路工事情報提供(例)


道路工事に関するアンケート調査結果(平成14 年12 月国土交通省調べ)


<<前のページへ 目次へ戻る >>次のページへ