日時 : |
平成18年6月19日(金) 10時00分〜12時00分 |
場所 : |
国土交通省中央合同庁舎2号館低層棟共用会議室1 |
出席者(敬称略): |
※五十音順
〈委員〉
井出多加子、岩沙弘道、金本良嗣、平井宜雄
〈臨時委員〉
石澤卓志、伊藤和博、岩原紳作、渋谷正雄、櫻川昌哉、田村幸太郎、土田あつ子、福士正 |
議事概要: |
(1) |
福士委員よりプレゼンテーション |
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(2) |
これまでの部会の議論を踏まえた課題整理について |
- 配布資料【PDF形式】:
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主な発言内容:
(1) 福士委員プレゼンテーションについての質疑応答
- 現在の管理業の中では、管理業者としての外部の専門家に対するチェック機能があるのか。仮に管理業を法制化する場合にはチェック機能も内包させるという考えか。
- 最近、鑑定価格等の正当性に疑念を示す意見が出てきている。専門家の存在自体の信憑性の問題もあり、信頼関係が崩れかかっているのではないか。外部の専門家を含めた包括的なチェック体制が必要でないか。
- 委託者がファンドである場合と株式会社である場合との違いがなくなりつつあり、株式会社の要求が短期の収益や利回り重視というようにファンドの要求のようになっていることから、証券化云々というよりは、投資期間の短期か長期かによる相違が出ているのではないかと考えている。
- 大手企業が保有する(手がける)物件においてはさほど心配していないが、バルク物件のファンド等での管理等についてはひどい状況である。
- 証券化物件の受注はいかほどあるのか。短期で売却するわけだから、売却価格が下落すると困るわけで、メンテナンス等もしっかり行うのではないか。
- PM業について、信託銀行からの委託割合はどのくらいあるのか。仮に委託による間接的規制がない場合に、法制化による重責化については覚悟されているのか。
- まだまだいわゆる大家さんの代行というものが多いが、自主規制の念は持っている。
- 法制化によって、入居者の安全も担保されるのか。
- 大手の物件については大丈夫だと認識しているが、私募ファンド物件についてはきびしいと認識している。PMを管理できる、不動産に精通したAMがいないのが問題。
- PM業の管理業務の中で仕様の統一化を進める動きがあるのか。
- 各社はマニュアルの作成に入っており、共通のものも作成しようという機運があるが実施には至っていない。
(2) 事務局説明(たたき台)についての質疑応答
- 資料−1
p.2「不動産商品の販売」とあるが、「売って終わり」ではなく、販売後の管理が非常に重要である。販売時にER等最低限レポートを作成することを規制するだけではなく、今まで作成されたER等履歴情報を残して伝えていく仕組みを進める方がよいのではないか。
- 管理の視点を踏まえて対応する予定。各資料が伝達される仕組みについて検討を加えていく所存。
- 信託の仕組みを活用した新たな方法等が活用されると、不動産特定共同事業法がますます使われなくなるのではないか。
- スキームは市場で選ばれるものである。不動産特定共同事業のパーツが今後の投資スキームの中で生かされる要素があると考えており検討を加えていく予定。
- 年金による不動産投資が進まない理由として、「一任投資の仕組みがない」ということのみを挙げるのは行きすぎである。情報開示、トラックレコードやインデックスなど市場整備を進めることが重要。
- 自己信託は使い方に慎重でなければならない。事業信託についても信託はパススルー税制であることとの整合性について検討する必要がある。
- 「地方の不動産投資市場の育成」とあるが、全体として2%の地価上昇ということを考えると、地方物件への投資は相当増えているのではないか。また、京都の町家の証券化の事例については、多分にボランティア的な側面が大きいことに留意が必要。
- 資料−1
のp.4の運用会社が運用責任を果たすという部分と資料−1
のp.16の下から7行目の部分の論理が不整合である。
- YKTKの箱が責任を負うかについては、一義的には運用を行うAM会社であるが、YKTKスキームの捉え方によるものである。
- 少なくとも投資家に対する関係では、ERの内容を含む責任を持ったディスクロージャーを行い、これを法制上のディスクロージャーの制度の上に乗せて、違反した場合には開示者の責任を追及していくといった仕組みを考えていく必要がある。
- 信託法が改正されると、かつて小口化商品といわれたものやYKTKスキームを信託宣言を使って組成することが可能となる。その際、不特定多数の投資家に渡る形のスキームは業規制等がかかってくるが、機関投資家だけを相手にするような場合には業規制にもかからず行うことができる。
- 証券化スキームとは、もともと責任を担っている人が担い切れなくなって外に出したというスキームである。運用責任には、利回り保証ではなくそれ以上の瑕疵や詐欺などが主体であり、その辺りの議論を整理すべきである。
- YKTKスキームのように、当初はそれほど使われると思っていなかったものがマーケットに受け入れられる一方で、入念な調査により制度設計されたスキームが使われていなかったこと等についてしっかり認識した上で議論する必要がある。安定、安心を求める人に対して、それが制度的に担保されているスキームがあってもよいが、無規制型のスキームが欲しいという人について、どの程度の規制をかけていくことについては慎重に検討する必要がある。
- 年金基金の信任を受けるような不動産投資市場の整備を進めていくことに賛同する。一律の規制は最小限にして、実効性の高いプロ・アマ区分などメリハリをきかせた規制でよいと考えている。スキームがハイブリッド化する中において、説明責任、開示規制等の整備を考えると、投資家の属性に応じたルールという点をはっきりさせるべきである。
- 例えばリートにおいては、ERや鑑定等を様々に行う運用者はそこに瑕疵があっても責任を負わないと思われる。むしろ責任を限定することによって成り立つスキームであり、責任が限定されていることを開示することこそが重要。不動産特定共同事業法の回避については、不良商品の組成等を抑止する効果があるという意味で見えない効果があったが、今後は自己信託などでその可能性がある。金融商品取引業が第1種・第2種・運用業など様々にあるように、不動産取引業にも共同事業、PM、AMや自己信託など様々あり、それらを統一的に考えることが重要。
- 開発リスクを負うリートやファンドの場合、通常のルール規制でよいかも検討すべきである。
- 不動産証券化市場について、急激に成長しすぎることにも問題がある。マーケットは早いスピードで成長するとヘッジファンドに狙われたり、急な売り等のショックですぐ崩れていくことがある。長い目で見た上で、地道に細々と10〜20年かけて育てていくことが肝要。米国のGDP比5%だから日本もそれをめざすというのは、あまりに短絡的である。そもそも、日本にプレイヤーがいるのか、その育成はどうするのかという視点等も含めた上で議論すべきである。
- 不動産管理の現場は人命にかかわる最低限のインフラなど目先の利益を追求する投資家から嫌がられるリアルな世界がある。リアルな分野に入った上で、金融市場の話を進めないといけない。
- マーケットにいる投資家は、リアルな世界を無視すれば損をするから、そのようなインセンティブはないはず。
- 悪いことが起きた時にそれを法規制をすればよいというのは短絡的。良いプレーヤーが、言ったことを信じてもらえるスキームなど報われる仕組みにすることが必要。
(注)議事録については、後日、ホームページ上で公開されます。
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