日時 : |
平成18年10月23日(月) 10時00分〜12時00分 |
場所 : |
国土交通省中央合同庁舎3号館11階特別会議室 |
出席者(敬称略): |
※五十音順
〈委員〉
井出多加子、岩沙弘道、金本良嗣、平井宜雄
〈臨時委員〉
石澤卓志、伊藤和博、岩原紳作、櫻川昌哉、渋谷正雄、杉本茂、田村幸太郎、土田あつ子、福士正 |
議事概要: |
(1) |
「不動産投資顧問業の充実に向けて」について |
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(2) |
その他 |
- 配布資料【PDF形式】:
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主な発言内容:
- 不動産投資顧問業について
(1)実物不動産と不動産関連資産の両方に跨る投資一任サービスの法制度について
- 不動産投資顧問業の整備にあたっては、不動産特定共同事業への一本化など不動産特定共同事業法との整合性を考える必要がある。
- 歴史的な経緯もあって、実物不動産と信託受益権の制度が並行しており、複雑になっている。金商法の施行後は投資運用業の運用対象資産に信託受益権が加わり、信託受益権への投資にも投資運用業の登録が必要となる。しかし、実物の場合は不動産投資顧問業登録規程は任意登録制である。年金基金の不動産投資の需要が高まる中で、不動産投資顧問業登録規程を法的に位置づけ、実物不動産投資を可能とすればこれまでとは異なる機能を発揮できる。
(2)専門的な能力を担保する仕組みとしての不動産投資顧問業登録規程の活用について
- 不動産運用の専門の一任業者を信託銀行以外にも広げる方向は良いことだと思う。金融商品取引業者(投資運用業)は、信託受益権も扱えるようになるが、投資家保護の観点から不動産運用の能力を求めるべきである。投資運用業者に不動産投資顧問業登録規程の登録を促し、国土交通省と金融庁との共管として、実物不動産運用の適正化を図るべきである。その際、金融商品取引法の枠組みの中で健全性を図ることが必要であり、金融商品取引法とのすり合わせが必要である。
- 証券会社には宅建主任者がいないが証券会社の扱う不動産ファンドに問題は生じていない。宅建主任者やARESの資格をバックにして不動産運用の適格性を担保するのは二重規制となるおそれがある。
- 不動産運用の中でも、商業施設や倉庫のように事業性が高いものとオフィスビルのように物の管理という性質が強いものとがある。事業性が高いものについては、専門業者に、事業性を判断できる能力が求められる。
(3)行政関与よりも市場機能を活用することについて
- 利益相反行為防止を法制度でチェックできるのか。マーケットの中で、委託者が専門業者を選択するときに、当該専門業者に利益相反行為がないと判断できる仕組みが有効なのではないか。
- 利益相反行為を行政的に禁止するという枠組みの中では、仮に宅建業者には利益相反行為を行っている者が多いとすれば、宅建業者以外の者しか投資顧問業を行えないという仕組みになってしまう。
- 米国では、特別な規制があって利益相反行為が防止されるのか、マーケットによって防止されているのか、調べる必要がある。
- 自分の聞いている範囲では、米国では利益相反行為が起こりそうな場合について市場判断をベースにして解決している。例えば、オリジネーターが自らエクイティを取得して仮に投資家が損をする場合には自分も損をする仕組みを作って市場の信頼を得る工夫をしている。
- 米国では利益相反行為防止を訴訟対策として捉えているが、日本では実質的に考えている。リートの場合は、物件をスポンサーの私募ファンドから取得したり、テナントがスポンサー関連企業であったりなど利益相反行為の固まりのようなところがある。リートの場合は、このような問題があることを前提としながら、市場の判断に任せているところがある。したがって、不動産投資顧問業の場合も市場の判断を前提とした上で、市場の判断が及ばないところについてはコンサルティングを重視することによって利益相反行為を解消することが考えられる
。
- 単に一任サービス型の投資顧問業制度を整備することによって不動産投資が増えるのか。その前に検討すべきことが2つあると思われる。一つは、投資の位置づけがオルタナティブ投資であることや年金基金には規模が小さいものが多いことから、合同運用の検討が必要である。もう一つは、受託するファンドの評価者が重要であるから、評価者の位置付けを検討する必要がある。
(4)有価証券売買とは異なる不動産取引における利益相反行為禁止の規範及びその差異について
1)過度なあるいは画一的な規制の排除
- 有価証券の運用と不動産の運用とは異なるため、過度な規制とならないようにすべきである。利益相反行為を画一的に規定・運用することによって混乱を招かないようにする必要がある。
- リスク判断可能なプロの間での取引では過度な規制とならないようにするなどプロ・アマ区分に応じた規制が必要である。
- 不動産投資顧問業を法制化するにしても、金融商品取引法と並びにするのではなく、不必要な規制はせず、一方で問題となる利益相反行為を有効にチェックできるようにすべきである。その際、宅建業法上のルールの見直しと合わせて法制化の必要があるか否か検討すべきである。
- 不動産には同一物がなく、ケースバイケースで判断していくこととなる。過度に類型化すると画一的な規制となる危険性がある。
- スキャルピングと利益相反は違う。スキャルピングは顧問業者の意図を調べてはじめて禁止行為になる。その意図がない場合には許される共同投資であり、そのような共同投資を過剰に規制すべきではない。
2)任意登録制の実効性
- 任意の登録制である登録規程はどれだけ機能しているのか。利益相反行為は現在の任意の登録規程の中でどれだけ捉えることができるのか。
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「プロパティマネジメント業者の能力評価の基準」、「投資家支援サービスのあり方」について
- 不動産管理についていえば、投資マーケットから不動産の瑕疵について厳しく言われるようになっている。しかし、コーポレートファイナンス時代とは異なる、アセットバックファイナンス時代における、建築基準法や消防法など物の特性に対する規制の運用の仕方を検討する必要がある。
- 年明け後の「プロパティマネジメント業者の能力評価の基準」や「投資家支援サービスのあり方」の議論の際は、商業施設・ホテル・ 倉庫と単純なビルの売買とは違うことに留意すべきである。
- その他
- 一任業と助言業との類型をどう分けるのかが問題である。現行のYKTKスキームにおいても、AMが勝手に判断しているわけではないのにそのように捉えられているなどはっきりしないところがある。
- 年金基金からの不動産市場への投資が急激に拡大すると市場が混乱するおそれがある。
- 取引一任代理制度創設時の4つの法定ビークルの規定はこれまで改正されていないか。
- 不動産投資市場の活性化の一つの論点として不動産投資顧問業について話し合ってきたが、不動産投資市場の拡大のためのもう少し幅広い論点に一度戻ってみたらどうか。米国の例だけを調べるだけで良いか。
(注)議事録については、後日、ホームページ上で公開されます。
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