平成17年6月2日 |
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土地・水資源局土地政策課 |
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TEL:03-5253-8111(代表)
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6月1日午後14時より、国土交通省3号館特別会議室(11F)において、第13回国土審議会土地政策分科会企画部会が開催された。議事の概要は以下のとおり。
○ 事務局より、資料1「土地政策からみた収益不動産市場の現状について」についての説明を行い、これをもとに、今後の宅地政策の方向性についての議論を行った。主な意見等は以下の通り。
- Jリートの創設は、これまでの政府の資産デフレ対策の中で、非常に効果的な施策のひとつとして評価できる。Jリートなど証券化が普及したことにより、仮に不動産価格が下がろうとも、買い手が存在する市場となった。
- 不動産市場においては建築時の検査済証がなかったり、土地の境界線がはっきりしないなど一種の瑕疵がある物件が多い。その辺の条件整備を国には進めていって欲しい。
- 個人投資家にとっては、不動産証券化市場は、不透明で、リスクがあり、まだまだ投資のしにくい世界と認識されているようだが、これからはそうした個人投資家に対する教育や啓蒙活動が必要なのではないか。
- 不動産が金融的な枠組みの中で流動化するのは結構なことだが、不動産市場は長期的には需給動向に依拠している。今後少子化等による社会構造の変化が考えられるが、その辺を想定して政策を立てるべきではないか。
- 収益不動産市場を発展させていくというためには、制度的インフラ整備として、取引価格やレントも含めた市場情報の開示というのが重要ではないか。
- 短期的なキャッシュフローの最大化を目的とする収益不動産投資はまちづくりに悪影響を与えるという見方もあるが、きちんと情報開示などの市場が整備されれば、長期的には解決できるのではないか。
- 土地の境界の問題について、現在政府は不動産登記法の改正、都市再生街区基本調査等により、解決に向けて取り組んでいることは承知している。ただし、制度的な改善の余地や予算面での課題もあり、まだまだ不十分と言わざる得ない。
- 不動産証券化市場の整備に伴う個別の法律の問題に関しては、それぞれの法律で個別の法体系論理があり、その論理と適合した形で考えていくべきではないか。
- 最近Jリートで、例えば地方銀行のお金が大都市に多く流れている。地方再生という視点からは、きちんと議論していく必要があるのではないか。
○ 事務局より、資料2「企画部会取りまとめ「今後の土地政策のあり方」(概要案)」についての説明を行い、これをもとに、企画部会の取りまとめの方向性について議論がなされた。主な意見等は次のとおり。
- 概要案の中で「サステイナブル」という言葉を用いているが、前企画部会での議論もあったように、人間社会自体を支えている自然環境自体のサステイナビリティーという視点を取り込むとか、何か国民がこれからの土地政策の変化をよく理解できるような表現を盛り込み、ひとつの柱として示してはどうか?
- 「サステイナブルな都市社会の基盤となる適正な土地利用の実現」を基本目標として示すに当たっては、それが一体何なのかを明確にする必要があるのではないか。また、その中では、地域社会の持続可能性ということを意識した方がいいのではないか。
- 土地の属性情報として生態系、水、緑といったものを盛り込んでいってはどうか。
- 土地利用を考えるにあたっては、建物を切り離して議論することはできない。建物と一体的であるとの視点が必要なのではないか。
- 個別施策の基本的方針のところで、「不動産投資環境の整備」と「取引価格情報の整備」を分けて項目立てしていることを評価したい。両者は密接な係わりがあるが、情報は投資のためだけのものではない。
- 適正な土地利用の推進のための施策を考えるに当たっては、定期借地権制度など所有と利用の分離に係る仕組みの検証が必要なのではないか。
- とりまとめ(概要案)を読んでいると、施策が東京中心のものに見える。地方の問題をきちんと視野に入れるべき。
- 地域における個性あるまちづくりや地域づくりの支援といった、地方を意識した施策を位置づけてはどうか。
- 地方都市においても、的確な価格情報開示等により、適正な地価を実現し、NPO等の地域づくりの担い手が、土地を取得し、様々な土地利用を行うことが可能となるのではないか。
- 不動産インデックスに関しては、全国一律の指標だけでなく、地方独自のものがあっていいのではないか。

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