「国土と環境を考える委員会」提言HOME
「国土と環境を考える委員会」提言

環境問題に対する基本認識

1.環境に対する認識

 「環境」とは、われわれの日常生活を取り巻くすべてのものであり、その主体や対象によって様々な区分が可能であるが、ここでは「地球環境」、「自然環境」、「生活環境」について述べることとする。

[ 地球環境 ]
 現在、地球温暖化や、生物多様性の減少、酸性雨等にみられるように、その影響が国内だけにとどまらない地球規模の環境問題が進行しつつあり、特に地球温暖化については、10年前に科学者が予想したよりも極めて深刻であると認識されつつある。
 地球環境問題がこのまま推移していくと将来の人類の生存を脅かす重大な制約条件となることを深く認識し、考えられる対策について国内外での取組みを講じていく必要がある。

[ 自然環境 ]
 地球上には、山地、丘陵、平野、海岸線等様々な地形があり、人類のほかにも、多種多様な生物が生息・生育している。
 これまでの文明の発展の過程において、経済成長に重点が置かれた結果、自然の地形の改変が行われ、かつて生活域で普通にみられた種が絶滅の危機にさらされているなど自然に生息・生育していた生物が急減してきており、このまま推移すれば将来世代に対して負の遺産となるような問題が少なからず存在している。
 自然に生息・生育している生物などによって構成される生態系は、我々人類にとっての生存基盤でもあり、我々はそこから多くの恵みを享受してきた。今後も人類が健康で文化的な生活を営むためには、積極的に自然環境の保全・回復を行い、人類を含めた健全な生態系を維持していかなければならない。

[ 生活環境 ]
 大気、水など日常生活を取り巻く環境に、人間活動による負荷が加わった結果、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等人間の健康を脅かす問題が数多く発生してきている。さらに今日、化学物質等により多くの人間が一日の大半を過ごす屋内の環境においても健康が脅かされているなど、新たな環境問題が発生している状況にある。
 また、生活環境を考える上では、今までの経済効率優先のまちづくりではなく、それぞれの地域において、アメニティー空間を確保し景観を生かしたゆとりや個性のあるまちづくりを進めるとともに、災害に脅かされない安全な生活ができるようにすることが重要である。
 21世紀においては、人間の健康・安全といった「安心」とアメニティー空間や景観・文化といった「ゆとり」や「個性」を実現することにより、生活の質を高めていくことが重要である。

<< 戻る | 目次へ | | 総合政策局TOPページへ | 次へ >>