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「国土と環境を考える委員会」提言

環境面から見て望ましい国土づくりの基本的な方向

4.建設省(国土交通省)に求められる視点・姿勢
 国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の整合的な整備を任務とする建設省(国土交通省)においては、環境面から望ましい地域や国土を全国的な立場から考え、実現していくことが期待される。
 建設省においては、平成6年に環境政策大綱を策定し、「環境の内部目的化」を打ち出して、それにもとづき各般の環境施策を展開し一定の成果が得られてきたところであるが、所管の施設を整備・管理する立場の視点からの取組みに止まっている側面がある。
 一方で、地球環境問題をはじめとする環境問題は一段と深刻化し、既に述べたように環境面から見て総合的に望ましい地域づくりや国土形成、さらには、国民の環境意識の醸成や人材の育成・確保といった環境文化の育成への貢献を各主体の役割分担の下に協働して行うことが求められており、所管事業の視点からの取組みでは根本的な問題の解決に至らない状況に直面している。
 このため、今後の環境施策の展開にあたっては、これまでの建設省の視点、姿勢を以下のように転換していくことが極めて重要である。
(1) 地域や国土全体の望ましい姿から考える視点
 建設省(国土交通省)が施設を整備・管理する立場からの視点を持つことは当然であるが、それに加えて、地域や国土全体という面的な広がりの中で総合的にどのような環境の実現が求められているのか、その中でどのような役割が果たせるのかという視点から考えていく。
(2) トータルとしての環境負荷削減の観点から住宅・社会資本の整備・活用のあり方を考える視点
 環境面から望ましい地域や国土の姿から必要な住宅・社会資本の整備等を考えるに際して、長期的な社会経済情勢や国民ニーズの変化も踏まえ、持続可能な社会を形成する観点から、どうすればトータルとして環境負荷の小さい形で国民が必要なサービスを享受できるかを常に念頭に置いて、既存ストックの有効活用や長寿命の新規施設整備など、整備・活用のあり方を考えていく。
(3) 多様な主体と協働して取り組む姿勢
 地域や国土全体の望ましい環境の実現に向けて、住宅・社会資本整備によるハード面での取組みのみでなく、住民等との協働、誘導、規制等のソフト面での施策のあり方も含めて考える。特に、適切な役割分担の下、住民、NPO、専門家、企業、地方自治体等の多様な主体との協働による取組みを推進する。
(4) 国民や企業の環境意識を醸成し行動を促すための基盤づくり
 3.に述べたような方策により国民や企業の環境意識を醸成し行動を促すための基盤づくりを検討し、推進する。
(5) モデル地域における先導的取組み
 理念や計画を議論するだけでなく、以下の目的から、環境面から見て望ましい地域づくりについて既に各主体との協働による取組みが具体的に行われている地域などにおいて、社会実験等の先導的な取組みを推進する。

1 特定の地域について、一定の期間で、環境がどれだけ改善されたかということを具体的に示すことにより、環境改善の取組みに対する国民の理解を得やすくする。

2 地域づくりにおける協働の取組みの仕組みやノウハウを全国に広める。 (モデル地域における先導的取組みについての具体的な例は、「協働・連携の取組み事例」のとおり)

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