「国土と環境を考える委員会」提言HOME
「国土と環境を考える委員会」提言

自然と共存しうる循環型国土の形成に向けて
 II 章に述べたように、建設省(国土交通省)は、環境面から見た地域や国土全体の望ましい姿から考え、社会資本の整備・管理等を行う方向に視点を転換することが必要であるが、自然と共存しうる循環型国土の具体的な姿のイメージやその構築に当たって留意すべき点は、以下のとおりである。

1.自然と共存しうる循環型国土の形成に向けた地域のとらえ方
  〜行政区画にとらわれない地理的・自然的条件によるまとまり
 これまでの国土づくり・地域づくりは基本的に行政区画に基づいて行われてきたが、近年は必ずしも行政区画にとらわれることなく、例えば、地方生活圏等の生活圏域を単位とした地域づくりの取組みなども行われている。
 しかし、21世紀の環境危機に対応していくためには、このような取組みに加えて、自然環境の保全・回復を考えていくに際してまとまりのある流域、丘陵、海岸線等の具体のランドスケープによる単位を重視して、良好な生活環境や自然環境を備え、地球環境への負荷の小さい地域づくりを行っていくことが重要である。例えば、流域は、このような自然の地形により形成される地域の代表的な単位である。
 その際、現在の物質の移動や循環が経済システムや人間活動としての合理性に基づく大きな規模で行われているが、土砂や栄養塩など生態系に影響のある物質については、なるべく自然の物質循環の規模に近づけることが生態学的に環境への負荷が小さくなるという視点が重要である。

<< 戻る | 目次へ | | 総合政策局TOPページへ | 次へ >>