海洋

海洋基本法令(参考)

1.背景・経緯

 我が国は、はるか昔から様々な分野において海と深く関わってきており、その恩恵を受けてきました。一方、我が国の海洋を巡っては、安全や防災、環境、開発・利用等多くの課題がありますが、今後の我が国の発展のためにも、関連する施策を総合的に進めていくことが必要となっています。
 世界的には、1992年のアジェンダ21の採択や1994年の国連海洋法条約の発効以降、各国が海洋の持続可能な開発を推進する一方で自国の権益を確保するための取組を強めており、これらが相まって総合的な海洋政策の策定等の取組が積極的に進められ、さらに、海洋汚染の防止、テロの防止等に係る多国間連携が進展しつつあります。
 一方、我が国は、世界第6位ともいわれる広大な排他的経済水域を管轄しているにもかかわらず、海洋に関する基本法や海洋について総合的に所管する行政組織もないことから、海洋に関する施策を総合的に推進する体制を整備することが必要であるとの声が高まっていました。
 このような状況の中、2006年4月、超党派の国会議員や有識者からなる「海洋基本法研究会」が設置され、海洋基本法の検討が開始され、同年12月には、同研究会として、基本理念、海洋基本計画の策定、海洋政策を総合的に推進するための行政組織の整備等について定める海洋基本法を制定すべきということを盛り込んだ「海洋政策大綱」がとりまとめられました。
 以降、自民党、公明党、民主党において海洋基本法案についての検討が進められ、2007年4月3日、衆議院国土交通委員会において同法案が委員長提案され、全会一致で可決、同日の衆議院本会議においても賛成多数で可決されました。また、同年4月19日の参議院国土交通委員会でも同法案を審議し、賛成多数で可決、翌20日の参議院本会議においても賛成多数で可決され、成立しました。
 その後、海洋基本法は、同年4月27日に法律第33号として公布されました。

2.概要

 海洋基本法は、海洋が人類等の生命を維持する上で不可欠な要素であるとともに、海洋法条約等に基づく国際的協調の下、新たな海洋立国を実現することが重要であることにかんがみ、海洋に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにし、海洋基本計画の策定その他海洋に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、総合海洋政策本部を設置することにより、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としています。
 この目的を実現するため、[1]海洋の開発及び利用と海洋環境の保全との調和、[2]海洋の安全の確保、[3]科学的知見の充実、[4]海洋産業の健全な発展、[5]海洋の総合的管理、[6]国際的協調の6項目を基本理念として掲げ、その理念の下で国が行うべき12の基本的施策を提示した上で、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、政府は海洋基本計画を定めなければならないと規定しています。
 また、海洋政策を集中的かつ総合的に推進するため、内閣に、総合海洋政策本部を置き、本部長である内閣総理大臣を助けるため、副本部長として海洋政策担当大臣を置くこととしています。

3.施行・その他

 海洋基本法の施行期日については、同法附則の中で、「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日」とされているところ、2007年7月6日に公布された「海洋基本法の施行期日を定める政令」により、同法は同年7月20日に施行することとなりました。
 この7月20日という日は、1876(明治9)年に明治天皇が東北巡航の帰路、海路により横浜港に御安着された日であり、海洋国日本の幕開けにふさわしいということから、1941(昭和16)年から「海の記念日」とされ、1996年から国民の祝日に関する法律に基づく「海の日」とされてきました(なお、現在はいわゆるハッピーマンデー制度により、「海の日」は7月の第3月曜日とされています)。また、1996年の同日は国連海洋法条約が我が国に対して効力を有した日でもあり、我が国において海と深い関係がある日です。
 海洋基本法の施行に伴い、内閣に、内閣総理大臣を本部長とし、内閣官房長官及び海洋政策担当大臣を副本部長としたすべての国務大臣からなる総合海洋政策本部が設置され、現在、海洋基本計画の策定を始めとして、関係各府省と連携し集中的かつ総合的な海洋政策の推進に取り組んでいます。
 また、この政令の公布と同じ日に、総合海洋政策本部に学識経験者等からなる参与会議を置くこと等を定めた政令である「総合海洋政策本部令」も公布され、海洋基本法の施行と同じ日に施行されました。

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