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船舶で発生した海洋プラスチックごみ対策

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海洋プラスチックごみ問題

 現在、世界全体で年間数百万トンを超えるプラスチックごみが海洋に流出していると推計されています。海洋プラスチックごみの大半は陸上由来であるものの、船舶からの海洋プラスチックごみも一部存在するものと推定されています。
 海洋に流出したプラスチックごみ(海洋プラスチックごみ)による環境汚染は、G20や国連をはじめとする様々な国際会議において重要かつ喫緊の課題として議論が行われています。一例として、2019年6月に開催されたG20では、議長国である我が国主導のもと、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」が策定されています。
 また、国内においても関係各省の連携のもと、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」(2019年5月、海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議)の策定をはじめとする海洋プラスチックごみの削減に向けた様々な取り組みが進められています。

船舶で発生した海洋プラスチックごみ対策

船舶からのプラスチックごみに対する規制およびガイドライン

 船舶からのプラスチックごみの海洋投棄は、海洋汚染防止条約附属書V第3 規則及び同規則を担保する海洋汚染等防止法第10 条により禁止されています。他のごみについては例外的に排出が認められる場合がありますが、プラスチックを含むごみの海洋への排出は一切認められていません。
 また、国際海事機関(IMO)では、船主・船舶運航者・船員・荷主及び機器製造者が海洋汚染防止条約附属書V及び関連する国内法の規定を適切かつ効果的に遵守するためのガイドラインを策定しています。
 船舶からの海洋プラスチックごみの削減には、船主・船舶運行者・船員・港湾管理者等の関係者が協力して対応することが不可欠です。上記の規制やガイドラインを踏まえ、船上のプラスチックごみの適切な取り扱いを実施していただきますようご協力をお願いいたします。


船上のプラスチックごみの取扱・削減に関する主な規制や推奨事項(ガイドライン抜粋)

(1)発生するごみの最小化
  •  補給品や糧食の手配を行う際に、バルク包装されているものを使用し、再利用・リサイクル可能なプラスチックが使用されている場合を除きプラスチックで包装されたものを避ける
  • 使い捨てのカップや食器等の日用品の使用を可能な限り避ける
  • 貨物の保管、風雨からの保護材料として、使い捨てのプラスチックシート等の代わりに、何度も再使用が可能なカバーを使う
  • ダンネージやライニングを再使用するための保管システムを使用する

(2)ごみの管理 •船舶発生廃棄物汚染防止規程に従い、ごみを適切に回収・処理・保管・排出する

(3)プラスチックごみの回収・分別 •回収とリサイクル促進のため、発生したプラスチックごみの分別を行う
  • 海洋のあらゆる種類のプラスチック排出は禁止 (他のごみとプラスチックが混ざった場合はプラスチックとして扱い、排出禁止)
  • 食物くずを粉砕する場合は、混入したプラスチックを除去したうえで粉砕する

(4)プラスチックごみの焼却 •プラスチックごみを含む廃棄物を焼却する際は、技術基準に適合した焼却施設を使用する
  • 大量のプラスチックごみを含む廃物の焼却の際には特別な設定を行う(大量の酸素注入、 高温(850~1200℃)での燃焼)
  • 特定の種類のプラスチックを焼却する際には、副産物による環境影響等に注意する

(5) 訓練・教育・情報提供
  • 船上で発生したごみの適切な分別・処理のため、マルポール条約附属書V第10.1 規則にあるプラカードを、ごみ箱の付近等の適切な場所に設置する
  • 船上発生ごみの適切な取扱いの能力確保のため、船員の教育訓練プログラムを構築する

船舶からのプラスチックごみの一層の削減に向けた国際動向

 船舶からの海洋プラスチックごみの海洋投棄は海洋汚染防止条約等で禁止されていますが、同規制の実効性を一層強化するため、国際海事機関(IMO)の第73回海洋環境保護委員会(MEPC 73)(2018年10月)において、「船舶からの海洋プラスチックごみ削減に向けた行動計画(本文仮訳)」が策定されました。(MEPC73の結果概要はこちら
 当計画では、既存の政策および規制の枠組みに基づき、これらの実効性を強化し支援するための対策案を挙げており、それぞれの対策案に関する実施方策や実施スケジュールについて、持続可能な開発目標の目標14(海の豊かさを守ろう)のターゲットに沿って2025年までに完了することを目指し検討していくこととされています。
 国土交通省では、実現可能かつ合理的・効果的な対策がとられるよう、関係者のご意見等を踏まえつつIMOでの議論に参画していくこととしています。

国土交通省からのお願い ~船舶で発生するプラスチックごみの適正な処理について~

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