(概要資料−1)        

 

「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」及び

建設省行動計画の実施状況とりまとめの概要

 

 

 政府における「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」及びこれに基づく建設省の「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」は、平成9年4月4日に策定され公表されました。

 平成11年度は行動指針に基づく3年間の取り組みの最終年度となっており、今般、平成9年度から11年度までの3年間の取り組みの実施状況をとりまとめました

 

 

1.行動指針・行動計画の概要

 

 「厳しい財政事情の下、限られた財源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて、社会資本整備を着実に進め、本格的な高齢化社会到来に備えるには、早急に有効な諸施策を実施し、公共工事コストの一層の縮減を推進していく必要がある」との認識の下、地方、民間の主体的取り組みを含めて、各省庁が一致協力して、総合的にこの課題に取り組んでいくため、行動指針等を策定しました。

 

平成6年12月1日 建設省は公共工事の建設費縮減に関する行動計画を策定

平成9年1月17日 公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議設置を閣議了解

平成9年4月4日 閣僚会議において行動指針を決定

行動指針を踏まえ、建設省を始め16省庁が行動計画を策定

平成9年5月30日 建設省関係9公団等行動計画策定

平成9年7月10日 建設省8地方建設局行動計画策定

平成10年4月24日 平成9年度の成果を発表

平成11年4月27日 平成10年度の成果を発表

平成12年9月1日 平成9年度から11年度の取り組みの成果を発表

 

 

2.行動指針・行動計画に登録された諸施策の進捗状況


設計方法の見直し、技術基準の改定、民間のコスト縮減技術の提案を受け付ける入札・契約方式の試行など、本行動指針に登録された19施策、148項目について、各省庁がそれぞれ計画に従い実施しました。
・当初に予定した
全ての施策について着手し、約80%を3ヶ年内で予定どおり完了しました。
・また、
実施した施策の約50%については、基準の改定、施策の制度化等により、施策の定着が図られました。コスト縮減効果の維持・拡大のためには、未定着の施策の継続実施が必要です。
 

注)行動指針においては、コスト縮減のための19施策に対応して各省庁が取り組むべき具体的施 策項目が、付表の形で登録されています。

3.公共工事コスト縮減の取り組みの成果

 (1)これまでの取り組みの成果


政府の取組体制の整備
・各省庁が連携し、一致協力してコスト縮減に積極的に取り組む体制が構築され幅広い施策が実施されました。
関係者の創意工夫の強化
・コスト縮減施策の浸透に伴い、公共工事担当職員など関係者においても、「より安くてよいモノ」を提供することを重視して創意工夫する姿勢が強化されるなど、意識の改革が進みました。
公共工事執行システムの改革
・工事の計画・設計等の見直し、工事発注の効率化等、資材、建設機械等の工事構成要素のコスト縮減、工事実施段階での合理化・規制緩和等の公共工事執行システムの中で価格に影響を及ぼす様々な要因について改革が進みました。
 

 

 (2)平成11年度コスト縮減実績


・行動指針の最終年度である
平成11年度のコスト縮減実績は、建設省・関係公団合計で9.8%、政府全体(全省庁・公団)で9.6%となりました。
・今後、施策効果の拡大が期待されることから、3年間の施策の効果により、公共工事コストを少なくとも10%以上縮減することを目指すという目標は、概ね達成されました。
直接的施策については、目標数値6%を超えました
間接的施策について、施策の実施から効果発現までに時間を要することもあり目標数値4%を下回りました

諸施策の効果については、設計方法の見直し、技術開発の推進、技術基準等の見直し、計画手法の見直しで約6%の縮減効果が得られており、計画・設計段階での取り組みの占める割合が大きくなっています
なお、これらの縮減額は、行動指針の本来の目的に準拠し、社会資本整備の推進に充当し、公共事業全体の進捗を図っています。
 

  
建設省、関係公団等の平成11年度実績             

            平成11年度縮減率 平成11年度縮減額  目標値 

   直接的施策    7.7%    4,102億円    6%以上 

   間接的施策    2.1%    1,096億円    4%以上 

   合   計   9.8%    5,198億円   10%以上 

                                  

平成11年度公共工事コスト縮減実績(建設省・関係公団等)

建設省・関係公団等合計の縮減額と縮減率    (金額単位:百万円)

 

 

直接的施策
(直接1
 +直接2)

間接的施策
(間接3)

合  計

発注工事費

建設省合計

縮減額

204,216

42,794

247,010

2,338,804

 

縮減率

7.90%

1.65%

9.55%

 

関係公団等合計

縮減額

206,018

3,396

209,414

2,484,670

 

縮減率

7.65%

0.13%

7.77%

 

建設省・関係公団等

縮減額

410,234

46,190

456,424

4,823,474

合計

縮減率

7.77%

0.87%

8.64%

 

 

      8.6%

+

1.2%

9.8%

〔建設省・関係公団等合計の縮減率〕

 

〔間接〕

 

〔全体の縮減率〕

 

   注)施策の効果算定方法区分

    直接1:個別工事毎に直接的に金額ベースで把握した縮減効果

    直接2:直接的施策についてマクロ的なモデルにより把握した縮減効果

    間接1:物価変動をベースにしたマクロ的算定方法による縮減効果

    間接2:間接1に含まれない間接的縮減効果

    間接3:間接的施策のうち個別工事毎に金額ベースで把握した縮減効果


建設省・関係公団等別の縮減額と縮減率
        (金額単位:百万円)

 

縮   減   額

11 年 度
発注工事費

(5)

縮 減 率


(4)/((4)+(5))

直接1
(1)

直接2
(2)

間接3
(3)

合計(4)
(1)+(2)+(3)

治水事業

59,323

13,437

17,065

89,825

832,650

9.74%

道路整備事業

90,190

17,428

23,776

131,394

1,200,543

9.86%

官庁営繕事業

20,264

1,805

1,694

23,763

289,185

7.59%

都市公園事業

948

821

259

2,028

16,426

10.99%

合   計

170,725

33,491

42,794

247,010

2,338,804

9.55%

日本道路公団

79,968

23,954

1,801

105,723

1,302,611

7.51%

首都高速道路公団

9,290

1,178

269

10,737

123,552

8.00%

阪神高速道路公団

8,209

396

107

8,712

97,603

8.19%

本州四国連絡橋公団

624

36

0

660

8,130

7.51%

水資源開発公団

4,904

1,010

699

6,613

71,119

8.51%

地域振興整備公団

982

477

390

1,849

18,662

9.01%

都市基盤整備公団

22,001

17,776

92

39,869

506,277

7.30%

日本下水道事業団

26,663

7,452

0

34,115

344,054

9.02%

環境事業団

1,098

0

38

1,136

12,662

8.23%

合   計

153,739

52,279

3,396

209,414

2,484,670

7.77%

総   計

324,464

85,770

46,190

456,424

4,823,474

8.64%




公共工事コスト縮減施策別内訳(建設省・関係公団等)

施      策

 

縮減率

間接的施策
2.1%

物価変動をベースにしたマクロ的算出方法による縮減効果

1.2%

その他の間接的施策※2

0.1%

P建設副産物対策

0.8%

直接的施策7.7%

その他の直接的施策※1

0.1%

F適正な発注ロットの設定

0.3%

D積算の合理化

1.3%

C技術開発の推進

1.4%

B設計方法の見直し

3.0%

A技術基準等の見直し

1.0%

@計画手法の見直し

0.6%

合   計

 

9.8%

※1 その他の直接的施策による縮減率  G入札・契約制度検討 H諸手続の電子化  
※2 その他の間接的施策による縮減率  I資材の生産・流通の合理化・効率化 J資材調達のための諸環境の整備 L建設機械の有効利用 N交通安全対策 Q埋蔵文化財調査

 

全省庁、全公団等の平成11年度実績              

            平成11年度縮減率 平成11年度縮減額   目標値 

     直接的施策    7.6%     6,080億円    6%以上 

     間接的施策    2.0%     1,597億円    4%以上 

     合   計    9.6%     7,677億円   10%以上 

 

平成11年度公共工事コスト縮減実績(全省庁・全公団等)

全省庁、全公団等合計の縮減額と縮減率   (金額単位:百万円)

 

 

直接的施策
(直接1
 +直接2)

間接的施策
(間接3)

合  計

発注工事費

全省庁合計

縮減額

363,950

59,904

423,854

4,402,601

 

縮減率

7.54%

1.24%

8.78%

 

全公団等合計

縮減額

244,061

3,936

247,997

2,914,906

 

縮減率

7.72%

0.12%

7.84%

 

総合計

縮減額

608,011

63,840

671,851

7,317,507

 

縮減率

7.61%

0.80%

8.41%

 

 

      8.4%

+

1.2%

9.6%

〔全省庁・全公団等合計の縮減率〕

 

〔間接〕

 

〔全体の縮減率〕

 

省庁別の縮減額と縮減率           
 (金額単位:百万円) 

省庁名

縮   減   額

11 年 度
発注工事費

(5)

縮 減 率


(4)/((4)+(5))

直接1
(1)

直接2
(2)

間接3
(3)

合計(4)
(1)+(2)+(3)

総理府

───

───

───

───

───

───

法務省

1,916

268

0

2,184

33,543

6.11%

大蔵省

0

560

0

560

8,145

6.43%

文部省

12,700

1,672

598

14,970

221,279

6.34%

厚生省

10,084

2,838

0

12,922

202,156

6.01%

農林省

21,479

5,710

570

27,759

284,770

8.88%

通産省

───

───

───

───

───

───

運輸省

19,285

932

5,346

25,563

261,487

8.91%

郵政省

6,848

128

76

7,052

92,076

7.11%

労働省

───

───

───

───

───

───

建設省

170,725

33,491

42,794

247,010

2,338,804

9.55%

警察庁

───

───

───

───

───

───

総務庁

───

───

───

───

───

───

北海庁

44,033

6,579

9,134

59,746

605,800

8.98%

防衛庁

10,097

6,420

611

17,128

256,300

6.26%

科技庁

1,266

0

0

1,266

10,320

10.93%

環境庁

223

0

0

223

3,271

6.38%

沖縄庁

5,579

1,117

775

7,471

84,650

8.11%

各省庁合計

304,235

59,715

59,904

423,854

4,402,601

8.78%

 注)表中「―――」は、支出委任工事を別途委任先省庁に計上したこと等による。 


公団等別の縮減額と縮減率
    (金額単位:百万円)

公 団 等 名

縮   減   額

11 年 度
発注工事費

(5)

縮 減 率


(4)/((4)+(5))

直接1
(1)

直接2
(2)

間接3
(3)

合計(4)
(1)+(2)+(3)

簡易保険福祉事業団

1,350

9

4

1,363

16,569

7.60%

労働福祉事業団

982

68

35

1,085

19,453

5.28%

日本鉄道建設公団

18,150

3,348

33

21,531

238,314

8.29%

帝都高速度交通営団

3,477

130

155

3,762

26,715

12.34%

関西国際空港株式会社

231

0

10

241

2,737

8.09%

新東京国際空港公団

1,714

0

279

1,993

22,826

8.03%

日本道路公団

79,968

23,954

1,801

105,723

1,302,611

7.51%

首都高速道路公団

9,290

1,178

269

10,737

123,552

8.00%

阪神高速道路公団

8,209

396

107

8,712

97,603

8.19%

本州四国連絡橋公団

624

36

0

660

8,130

7.51%

水資源開発公団

4,904

1,010

699

6,613

71,119

8.51%

地域振興整備公団

982

477

390

1,849

18,662

9.01%

都市基盤整備公団

22,001

17,776

92

39,869

506,277

7.30%

日本下水道事業団

26,663

7,452

0

34,115

344,054

9.02%

環境事業団

1,098

0

38

1,136

12,662

8.23%

緑資源公団

3,465

1,533

24

5,022

51,669

8.86%

科学技術振興事業団

1,016

287

0

1,303

19,928

6.14%

海洋科学技術センター

454

0

0

454

6,889

6.18%

宇宙開発事業団

178

0

0

178

2,053

7.98%

核燃料サイクル開発機構

166

281

0

447

5,993

6.94%

日本原子力研究所

405

0

0

405

5,632

6.71%

理化学研究所

571

228

0

799

11,458

6.52%

公団等合計

185,898

58,163

3,936

247,997

2,914,906

7.84%

 

公共工事コスト縮減施策別内訳(全省庁・全公団等)

施      策

 

縮減率

間接的施策
2.0%

物価変動をベースにしたマクロ的算出方法による縮減効果

1.2%

その他の間接的施策※2

0.1%

P建設副産物対策

0.7%

直接的施策7.6%

その他の直接的施策※1

0.1%

F適正な発注ロットの設定

0.2%

D積算の合理化

1.2%

C技術開発の推進

1.3%

B設計方法の見直し

3.2%

A技術基準等の見直し

0.9%

@計画手法の見直し

0.7%

合   計

 

9.6%

※1 その他の直接的施策による縮減率     G入札・契約制度検討     H諸手続の電子化  
※2 その他の間接的施策による縮減率     I資材の生産・流通の合理化・効率化     J資材調達のための諸環境の整備     L建設機械の有効利用     N交通安全対策     Q埋蔵文化財調査

                            

注)コスト縮減実績は、全省庁が共通の考え方で算定作業を実施しており、平成8年度における標準的な公共工事のコストと比較しています。

 

4.今後の課題









 


これまでの取り組みの成果等を踏まえ、今後に向けての課題を以下のとおり、とりまとめました。
・厳しい経済情勢を背景とした弊害の指摘を踏まえての対応が必要
・品質の向上によるライフサイクルコスト縮減や、環境対策、安全対策等の推進が必要
・引き続き、一層の技術開発の推進、諸手続の電子化の推進、規制緩和等の推進が必要
 

 

・「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」実施状況とりまとめ(全文)

・行動指針・行動計画に登録された諸施策の進捗状況(PDF)

・平成11年度に実施した主な事例

・「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」実施状況とりまとめ(資料編)

 

 

 

<参考>

建設物価等の推移(対平成8年度)

 

平成9年度

平成10年度

平成11年度

摘 要
 

消費者物価指数(全国総合)
卸売物価指数(国内)

2.0%
△0.9%

2.2%
△3.0%

1.7%
△4.0%

 

建設物価
 

建設資材
建設機械

△1.2%
△2.4%

△4.2%
△7.0%

△5.6%
△8.8%

 

卸売物価
指数下落
除きの
建設物価

 

建設資材
建設機械

△0.3%
△1.5%

△1.2%
△4.0%

△1.6%
△4.8%

 

加重平均

△0.3%

△0.9%

△1.2%

 

注)最下段の数値が、「間接1」の実績(コスト縮減対策の対象となっていない労務単価
の低減及び物価変動要因(卸売物価指数の変動)を除いて推測したもの)

 

 

公共工事コスト縮減の数値目標


   施策分野


  数値目標


1)工事の計画・設計等の
 見直し



 公共工事コストを少なくとも6%以
 上縮減することを目途に各省庁の行
 動計画に定める
 


2)工事発注の効率化等
   


3)工事構成要素のコスト
 縮減



 公共工事コストを少なくとも4%以
 上縮減することを目指す(努力目標)


 


4)工事実施段階での合理化
 ・規制緩和等
 

                                   
公共工事コスト縮減率の3ヶ年の実績                                


 


  平成9年度


  平成10年度


  平成11年度


直接的施策
 


 (2.4%)
  
2.7%


 (4.8%)
  
5.1%


 (7.6%)
  
7.7%


間接的施策
 


 (0.6%)
  
0.6%


 (0.9%)
  
0.9%


 (2.0%)
  
2.1%



合   計

 



 (3.0%)
 
3.3%
 



 (5.7%)
 
6.0%
 



 (9.6%)
 
9.8%
 

注1)上段(カッコ書き): 政府全体                  

    下段: 建設省・関係公団等             

    注2)縮減率は、平成8年度比                 

 

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