運輸安全

メルマガ「運輸安全」第10号

□■□■□■□■□メルマガ「運輸安全」(H21.3.31 第10号)□■□■□■□■□
~~~(目次)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1.運輸安全に関する最近の動き
○平成20年度 年末年始の輸送等に関する安全総点検の実施結果をまとめました!
○貸切バス事業者の安全性等評価・認定制度の検討が進められています!
○運輸安全委員会がニュースレターを創刊!
2.安全の確保に関する取組みの参考事例紹介
   ~第4回 ヒューマンエラーに関わる安全上の報告について
3.現場だより
○安全・安心セミナー「運輸安全マネジメントのアプローチ」に向けて~安全最優先の意識改革
~近畿運輸局自動車監査指導部より~
○陸上部門における海上安全への取組み
~共栄運輸株式会社より~
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1.運輸安全に関する最近の動き
 
○平成20年度 年末年始の輸送等に関する安全総点検の実施結果をまとめました!
 
年末年始の輸送等に関する安全総点検は、大量の輸送需要が発生し、輸送機関等に人流・物流が集中する年末年始は、ひとたび事故等が発生した場合には大きな被害となることが予想されるため、陸・海・空にわたる輸送機関等について、経営トップを含む幹部の強いリーダーシップの下での自主点検等を通じ、安全性の向上を図ることを目的として、昭和42年度から実施している取り組みです。
この総点検は、運輸事業者が普段取組んでいる安全に対する取組の姿勢について、関係者が一斉に自主点検を行うとともに、地方支分部局も可能な限り現地で確認させていただくことを通じて、年に一度、改めて安全に対する意識を引き締める貴重な機会といえます。
平成20年12月10日から平成21年1月10日までの間に実施した「平成20年度年末年始の輸送等に関する安全総点検」の結果概要は次のとおりです。
期間中、運輸事業者等が飲酒運転防止、テロ防止といった本年度の重点点検項目等を踏まえて自主点検を行い、過去の監査等を踏まえて抽出した1,332事業者等による自主点検の取り組み状況について、地方支分部局等において現地確認を実施しました。
この結果、378件の指摘・助言事項があり、そのうち各種書類の不備など法令違反にあたるものが51件でしたが、すみやかに是正措置を講じるよう指導しました。
鉄軌道交通、自動車交通、海上交通、航空交通、宿泊施設・旅行業ごとの実施結果を以下のHPで公表していますので、是非ご覧下さい。
URL:http://www.mlit.go.jp/report/press/sogo04_hh_000003.html
 
○貸切バス事業者の安全性等評価・認定制度の検討が進められています!
 
貸切バスは、観光バスとしてのサービスのほか、団体輸送、イベント輸送等様々なニーズに対応する輸送サービスとして国民に広く利用され、また、近年では、都市間の輸送分野においてもいわゆるツアーバスが急速に進展するなど、利用者ニーズに対応したサービスの提供が今後とも期待されています。一方、平成19年2月に大阪府吹田市で貸切バスによる重大事故が発生するなど、安全性の確保が大きな課題となっています。
このような中、平成19年10月にとりまとめられた「貸切バスに関する安全等対策検討会」報告においては、貸切バスにおける安全性の確保・質の向上に向けた方策の一つとして、利用者が貸切バス事業者を選択できる仕組みの構築(事業者評価の実施)について提言が行われました。
このため、昨年9月に学識経験者、消費者代表、貸切バス事業者、旅行会社、両業界団体、労働組合、国土交通省をメンバーとする「貸切バス事業者の安全性等評価・認定制度検討委員会」を設置し、これまで5回にわたり検討が行われ、3月13日に最終の検討委員会が開催されました。
今後、委員からの意見を最終的に報告書として年度内にとりまとめます。また、来年度は、本評価・認定制度の実施へ向けて、実施主体を決定するとともに、実施主体を中心にして評価制度の細部を具体的に検討し、早期に、実現を図っていくこととしています。
 ※検討委員会の資料等は以下に掲載しておりますので、是非ご覧ください。
URL:http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000019.html
 
○運輸安全委員会がニュースレターを創刊!
 
 昨年10月に発足した運輸安全委員会は、運輸安全の向上に少しでも役立てて頂くため、公表した報告書の概要や分析結果の解説などを掲載した、「運輸安全委員会ニュースレター」を本年1月に創刊しました。
 当レターは、運輸安全委員会ホームページに掲載しており、希望者にはメール配信サービスも行っていますので、興味を持たれた方は、ぜひ以下のホームページアドレスにアクセスしてみてください。
URL: http://www.mlit.go.jp/jtsb/bunseki-kankoubutu/jtsbnewsletter/jtsbnewsletter_new.html
(添付:運輸安全委員会ニュースレター創刊号)
 
 
2.安全の確保に関する取組みの参考事例紹介
 
~第4回 ヒューマンエラーに関わる安全報告について~
 
 近年の航空事故の70%以上がヒューマンエラーに起因していることが明らかになっていますが、このヒューマンエラーは誰しもが起こしうるもので、根絶することは人間工学的にも不可能とされています。このため、航空の安全性を向上させるためには、事故、重大インシデント、安全上のトラブル(航空法に基づく義務報告事案+事業者が設定した不安全事案)の再発防止策に加えて、ヒヤリ・ハット、事故の芽情報等を収集・分析し、危険要素の排除、低減など予防措置的な対策が有効とされています。つまり、ヒヤリ・ハット等の情報を収集し、それら事象の発生の背後要因を分析し、それら背後要因に対する対策を検討・実施し、もって事故の未然防止につなげることが重要です。そのためには、各輸送現場からヒヤリ・ハット情報等の報告がしやすい環境づくりが大切です。全日本空輸グループにおいては、それら環境づくりの一環として、ヒューマンエラーに起因する事象につき、以下のような取組みを推進しています。
 
・ヒヤリ・ハットを中心とした自発報告に関しては、従来から関係者の保護はもとより不利益な取り扱いを行っていないが、今般(正式な取り扱いの開始は、4/1予定)、義務報告事象についても「ヒューマンエラーに起因する事象は、個人の責任追及や不利益処分をしないこと」(ただし、故意、怠慢行為や無謀な違反などは除く。)を会社の方針として明確に打ち出し、社内安全啓発誌、イントラネット、ミーティングなどを通じて社内に周知。
・ヒューマンエラーに起因した事象か否かの判断は、業務の専門性を考慮しつつ、安全担当者を含めた複数の関係者により当該事象の詳細な把握に努め、不公平な取扱いとならないよう慎重に運用。
・安全上のトラブルが発生するなど、安全に関する報告があった場合、正確な状況把握と原因分析の結果、再発防止・未然防止のため、必要に応じ関係者に対する再教育・訓練を実施。これは、責任を追及しているわけでも罰則を与えているわけでもなく、再発防止・未然防止対策に必要なプロセスであることを強調して説明。 なお、ヒヤリ・ハットは自発報告の範疇であり、関係者の保護が前提であることから、処分はもちろん個人に対する教育・訓練などの措置も実施しない。
・この取組みは、処罰をするかしないかの区分けを表明したものでなく「人間は必ずエラーを起こす」との前提に立って、個人の責任追及でなく事象発生の真の原因を突き止め、より適切で効果的な対策を講じるため「報告することを当たり前とする文化」を醸成することがねらい。
 
このような取組みは、会社と社員との信頼関係の下、顕在化した事象や潜在的な危険要素について、責任追及でなく、背景要因も含めた原因究明を行い、事故、トラブルの再発防止・未然防止が重要視される会社の安全風土づくりを目指すものです。このような安全風土の構築は、運輸安全マネジメント制度のねらいの一つでもあります。自分のちょっとしたミス、気づきの事象などは、職場の雰囲気、報告が面倒、報告者のプライドや技量不足に起因するという理由などから、なかなか積極的には報告されにくい面があるかと思います。また、このような取り扱いを導入したからといって、すぐにヒヤリ・ハット情報等が集まるものでもないですが、時間をかけて社内に安全意識を浸透させ、安全風土を構築することが大切です。なお、上記の「故意や怠慢行為など」は、いわゆる「不安全行動」(ルール違反)と呼ばれるもので、安全意識の徹底などを図りルール違反を許さない社風づくりをすることが、対策として最も有効です。
なお、日本航空グループにおいても、ほぼ同様な取組みが既に実施されています。
以上、ヒヤリ・ハット情報等の収集に関する航空モードの取組み事例を紹介しましたが、他モードの事業者さんにとって参考となることがあれば、一度試行してみてはいかがでしょうか。
 
 
3.現場だより
 
○安全・安心セミナー「運輸安全マネジメントのアプローチ」に向けて~安全最優先の意識改革
~近畿運輸局自動車監査指導部より~
 
 平成21年1月27日、大阪府立女性総合センター「ドーンセンターホール」において、”「運輸安全マネジメントのアプローチ」に向けて”をテーマに安全・安心セミナーを開催しました。近畿管内のバス、タクシー、トラックの運輸事業者163社を中心に社長をはじめとする安全統括管理者など経営幹部約370名の参加をいただきました。   
 本セミナーは、平成18年10月の運輸安全一括法の施行により、全ての運輸事業者に対して運輸安全マネジメントの導入が義務づけされて、安全最優先の意識を経営トップから運転者まで浸透・定着させ企業全体の安全性の向上を高めることが強く求められているなか、施行から2年を経過し、運輸安全マネジメントの適切な実施等について、学識者、行政、自動車運輸事業者による運輸安全マネジメント実施後の課題等を抽出し、今後の採るべき方策と方向性を見いだし、実効性のある運輸安全マネジメントシステムの構築に役立てていただくことを目的としたもので、昨年のシンポジウム「『運輸安全マネジメント体制の構築』へ向けて」に続いての開催となりました。
 講演に先立ち主催者代表として河合近畿運輸局次長が挨拶を行い、自動車交通事故の状況は「第8次交通安全基本計画」の目標を2年前倒しで達成したが、負傷者数、事故件数は依然として懸念すべき状況で、未然の事故防止が重要な課題となっており、事故防止対策を進めることが重要である。ドライバーの過失を責めるのでなく、ミスの背景について検証、改善対策を図り、事故・トラブルの情報を活かして未然防止に努めることが重要で、本セミナーで今後の採るべき方策と方向性を見いだし、実効性のある運輸安全マネジメントシステムの構築に役立てていただきたいなどを発言しました。
 第1部では、国土交通省大臣官房 野中運輸安全監理官から『運輸安全マネジメント制度の現状と課題』について基調報告として、運輸安全マネジメント評価の評価対象事業者数は全国で5,101社、10月末で延べ990社の評価を実施したところ、基本的な安全管理のための体制や関連規程類の整備等の枠組みについては概ね構築されているが、取組み内容については、充分でない部分や事業者間・モード間で差があり、自動車分野は総じて運輸安全マネジメント制度の浸透度が比較的低く、安全管理を現場に委ねている傾向が強く、経営トップ主導のもと、現場まで一丸となった安全管理体制を構築させることが重要であり、模範的な取組み、様々な事業者の特徴的な取組みの事例、運輸安全マネジメント制度の利点、評価を受けた事業者から高い評価を得ている等の報告をいただきました。
 第2部の基調講演では、『運輸安全マネジメントの効果と規定因』として、関西大学社会学部 高木教授から調査事例を交えて、「職務行動へのネガティブ・フィードバック、フェィス脅威度、及び職場の組織風土等に着目して」学術的・専門家の立場から講演していただき、セミナーの後半ではバス、タクシー、トラックの各事業分野の具体的な取組み事例として、阪急バス(株)平田専務から『安全輸送の取組み』、相互タクシー(株)北村参与から『運輸安全マネジメント評価システムによる輸送の安全確保の取組みについて』、(株)合通田中執行役員から『運輸安全マネジメントへの取組みとして』、それぞれの取組みの紹介をいただきました。(※ 各社とも安全統括管理者)
 阪急バスでは、経営トップから運転手まで「安全はすべてに優先する」安全宣言を徹底し、1007両の車両数、1日当たり26万人の輸送人員で重大事故発生件数、飲酒・酒気帯び運転ゼロ、有責発生件数対前年10件減少を達成、相互タクシーでは、「かも知れない運転」から「絶対・・運転」への取組みとしてヒヤリ・ハット情報を分析し、「[1]バイクは絶対飛び出す、[2]自転車は絶対飛び出す、[3]青信号でも絶対目視確認」を徹底するとともにセーフティLED全車搭載により自転車・バイクによる事故の比率を減少させた、合通では、近畿運輸局の運輸安全マネジメント評価での評価項目、指摘項目に基づき労使一体となって運輸安全マネジメントの効果的・継続的な活動を推進しており、安全目標「車輌事故発生率1/10,000以下達成」の方針ブックを全従業員に配布し、周知徹底と意識の啓蒙を図っている等の発表がありました。
 当日は、天候にも恵まれ月末近くにもかかわらず多数の入場者があり、運輸安全マネジメント制度への取組みの熱意を感じつつ、セミナーは盛況のうちに幕を閉じました。
 セミナーで講演された内容が、自動車運輸事業者への実効性のある運輸安全マネジメントシステムの構築・定着に役立たせていただき、結果として事故が減少し、運輸の安全の確保に寄与されることを祈念しています。
(添付:会場の様子)
  
 
○陸上部門における海上安全への取り組み
~共栄運輸株式会社より~
 
弊社所在地であります函館市の港としての歴史は、安政6年(1859年)、横浜、長崎とともにわが国最初の「貿易港」として開港指定された歴史ある港です。本年は開港から数えて 150周年にあたる節目の年で、多くの市民が参画する中で、様々なイベントが盛大に開催される予定です。また、函館港の地理的環境は、国際海峡である津軽海峡を前面に臨み、対岸本州との物流の拠点港として、古くから重責を担ってきた重要な港です。
弊社は大正12年4月に創業以来、物流事業を主として 昭和45年9月自動車航送事業を開始、青函フェリーの名称で本州と北海道を結ぶ国道的フェリーとして「安全・安心を第一」に、海陸一体で安全運航に取り組んでいます。毎月月初め、午前10時より社内で執り行われる安全祈願祭は、北海道で最古の歴史ある船魂神社の宮司様にお願いし、兵頭社長以下役職員全員が無事故・無災害を祈願しています。この取り組みは10年以上続けられ海上職員同様に、陸上職員においても海上安全への願いを共有し社内に安全文化を構築する、大事な毎月の行事です。また、社内の情報伝達・コミュニケーション確保には、年末・年始の安全訓示の外、社内メールが有効に活用されています。職員一同が楽しみと大きな期待を込めている ボーナス支給日には、社長より全職員に対し、メール配信により 会社の現況・安全への姿勢等が伝えられ、事故の芽をつみとるべく風通しの良い環境が築かれています。
今後も、「安全・安心を第一」に、海陸一体で安全運航に取り組んでいきます。
(添付:安全祈願祭の様子)
 
~~~~~【メルマガ「運輸安全」】~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
発行  国土交通省大臣官房運輸安全監理官室
電話       03-5253-8111 (内線 22-053)
FAX 03-5253-1531
メールアドレス g_MST_UAK@mlit.go.jp
運輸安全ホームページ  http://www.mlit.go.jp/unyuanzen/
メルマガ「運輸安全」バックナンバー http://www.mlit.go.jp/unyuanzen/mailmg.html
(添付の写真等付きのメルマガを掲載しておりますので、あわせてご覧いただければ幸いです。)
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お気軽に上記問い合わせ先までご連絡ください。お待ちしております!
また、運輸安全について積極的に取り組まれている事例がございましたら、お近くの運輸局等にご連絡ください。
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