運輸安全

メルマガ「運輸安全」第9号

□■□■□■□■□メルマガ「運輸安全」(H21.1.26 第9号)□■□■□■□■□
~~~(目次)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1.新春のご挨拶 谷山運輸安全政策審議官
2.運輸安全に関する最近の動き
○平成20年度年末年始の輸送等に関する安全総点検を実施しました!
~事故防止対策とテロ防止対策の総点検~
○「事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会」を開催しました!
○運輸安全マネジメントセミナーに「事故等に関する情報の報告等(リスク管理)を理解していただくためのセミナー」が新設されました!
3.運輸安全マネジメント制度についての解説
   ~第6回 内部監査について(後編)~
4.現場だより
○幼稚園児にアニメ等で踏切事故防止をPR!~より安全で安心な鉄道輸送をめざして
~中国運輸局鉄道部より~
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1.新春のご挨拶 谷山運輸安全政策審議官
 
 新年あけましておめでとうございます。
 運輸の安全の確保のために新たに創設された「運輸安全マネジメント制度」も3年目に入り、制度としてかなり定着、浸透してきたと感じています。
 ご承知のとおり、私共が行うマネジメント評価については、評価を行う側と受ける側が対立する関係ではなく、共に考えていくという思想で成り立っています。
 私も、昨年7月の就任以来、多くの経営陣の方々から、評価等の場を通じて、安全に対する思い、哲学、悩みなどをお聞きしてまいりました。大変示唆に富むお話が多かったと思います。
 私が今安全に関して一番感じていることは、「マンネリこそが安全の最大の敵」はないかということです。「当たり前のことを当たり前に行うことの難しさ」と言っても良いかも知れません。「安全風土」とはそれができる風土だと思います。
 私共も、マンネリに陥ることなく、しっかりした評価を実施していきたいと思いますので、宜しくお願い致します。
 国土交通省大臣官房運輸安全政策審議官 谷山 將
 
 
2.運輸安全に関する最近の動き
 
○平成20年度年末年始の輸送等に関する安全総点検を実施しました!
~事故防止対策とテロ防止対策の総点検~
 <概要>
 大量の輸送需要が発生し、輸送機関などに人流・物流が集中する年末年始は、ひとたび事故などが発生した場合には大きな被害となることが予想されます。
 また、平成13年9月の米国同時多発テロ事件以降、輸送機関などにおいてはテロ対策が図られているところですが、平成17年7月のロンドン同時爆発テロ事件、平成18年8月の英国から米国行きの複数の旅客機爆破未遂事件並びに平成19年6月の英国車爆弾テロ未遂及び空港施設へのテロ事件などテロの脅威が依然存在している厳しい情勢となっています。
このため、国土交通省では、陸・海・空にわたる輸送機関などについて、運輸安全一括法の趣旨を踏まえた経営トップを含む幹部の強いリーダーシップの下での自主点検などを通じ、安全性の向上を図るとともに、輸送機関などのテロ対策の実施状況についても併せて点検を実施し万全を期するため、今年度も平成20年12月10日(水)から平成21年1月10日(土)の間、「年末年始の輸送等に関する安全総点検」を実施しました。
<点検の内容と実施体制について>
陸・海・空の輸送機関、宿泊施設などについて、施設等の点検整備状況、運行(航)管理の実施状況、関係法令の遵守状況などを点検しました。今年度の総点検においては、以下の6点に特に留意して実施しました。
(1) 自然災害等発生時に乗客等の安全を確保するための体制整備状況
(2) 気象情報(特に交通障害を生じる恐れのあるもの)の収集・伝達体制の整備状況
(3) 飲酒運転を防止するための体制整備状況
(4) 危険物輸送を管理するための体制整備状況
(5) 安全管理体制の構築状況(事故・重大インシデント情報を早期に把握できる体制を含む。)
(6) テロ防止のための警戒体制の整備状況並びにテロ発生時の通報・連絡・指示体制の整備状況、特に、近年新たに講じるとしたテロ対策の体制の整備状況
 また、国土交通省では、総点検が所期の目的を達成することができるよう、輸送機関、宿泊施設などに適切な点検を行うよう指導したほか、国土交通省職員による現地確認を実施しました。
(添付:総点検のポスター)
 
○「事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会」を開催しました!
 
 交通事故の発生については、交通事故全体でみると、平成16年をピークに事故件数が年々減少し、死者数についても近年着実に減少しています。
 しかしながら、事業用自動車については、事故件数・死者数ともに、自家用自動車に比べて減少の歩みが鈍い状況です。また、酒酔い運転等の社会的影響の大きな事案についても、自家用自動車に比べて減少幅が小さいなど、憂慮すべき状況となっています。
事業用自動車の安全対策については、これまで国土交通省としても、運輸安全マネジメント制度の導入、スピードリミッターの装着義務化等の施策を講じてきましたが、このような事故発生状況を踏まえれば、これまでの取組み手法を検証しつつ、より実効性の高い措置を講じる必要があると考えています。このため、昨年11月に「事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会」を設置し、ソフト・ハード双方の幅広い観点から、総合的な安全対策について検討を行い、安全・安心で、国民の皆様からの信頼を得られる自動車運送事業の実現を目指すことといたしました。
 この委員会においては、学識経験者、業界団体、消費者団体、労働組合の代表者の方々など、自動車運送事業に知見を有している方々に委員としてご参加いただき、本年度において4回程度開催し、主に次の事項について検討を行い、3月末までを目途に今後の事業用自動車の総合的な安全対策を取りまとめる予定です。
<主な検討事項>
○事業用自動車に係る事故削減目標の設定
○運輸安全マネジメント制度の浸透方策(評価対象事業者の拡大等)
○事後チェック機能の強化(監査・処分の厳格化等)
○IT・ASV等の先進技術の活用方策
○事故の再発防止を図るための事故情報の活用方策
 これまで、昨年11月25日に第1回を、本年1月23日に第2回をそれぞれ開催しており、委員の方々から事業用自動車の総合的な安全対策について幅広い観点からご議論を賜っているところです。
第3回の検討委員会は、2月17日に開催を予定しております。
(検討委員会の資料等は以下に掲載しております)
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000001.html
 
○運輸安全マネジメントセミナーに「事故等に関する情報の報告等(リスク管理)を理解していただくためのセミナー」が新設されました!
 
 皆様からのご要望にお応えし、『リスク管理』のセミナーが新設されました。
 このセミナーでは、リスク管理に取り組む必要性、事故やヒヤリ・ハット情報の集め方、集めた情報を分類・分析し、どのように有効な対策に結びつけるかを、できるだけわかりやすく解説することを目指しています。
 本セミナーにより皆様の安全管理体制の構築・改善がより一層図られることを期待しております。
 なお、セミナーの受講を希望される方は、運輸安全セミナーホームページ(http://www.mlit.go.jp/unyuanzen/unyuanzen_seminar.html)をご覧ください。
 
 
3.運輸安全マネジメント制度についての解説
~第6回 内部監査について(後編)~
 第7号に引き続き、運輸安全マネジメントにおける内部監査のコンセプトそのものを理解していただくための解説を行います。  
(なお本記事の内容は、当室で定期的に開催している「運輸安全マネジメント制度のコンセプトを理解して頂くためのセミナー」の内容から抜粋しておりますので、ガイドラインの他の項目のコンセプトについても興味のある方は、別途お申込みください。)
 
 内部監査において理解していただきたい主要なコンセプトは3点ですが、今号では残りの2点(「経営陣への監査の必要性」「経営トップによる内部監査への支援」)について解説いたします。
 
<内部監査のコンセプト2/3>
「安全管理体制に係る内部監査の対象には、経営トップなどの経営陣も含まれる」 
 
(解説)
 本コンセプトは、「経営トップをはじめとする経営陣への内部監査は必要か否か」という話ですが、結論から言うと必要になります。
その理由として、経営トップを例にとって説明いたします。まず経営トップには、安全管理体制における役割として2つの側面があると考えられます。一つが、「安全管理体制に関して最終報告を受ける立場」で、当然内部監査の結果報告も受けることになります。しかしそれと同時に経営トップは、「安全管理体制における一つの極めて重要な歯車」という側面もあるわけですから、その歯車の動きについては客観的に監査を受ける必要があります。つまり、安全管理体制の実施状況について報告を受けると同時に、自らが安全管理体制という仕組みに組み込まれた上で、コミットメントや責務を果たす必要があるわけで、いわば野球で言うプレイングマネージャーのようなものです。
 同様に、安全管理体制においては、安全統括管理者やその他の安全担当役員もプレイヤーであって、単に報告をさせるだけの傍観者ではありません。よって、そのような方々へも内部監査が必要となるわけです。
なお、国が安全マネジメント評価において行うようなインタビュー形式を経営陣に対して取らなければならないと誤解している方が多いのですが、そんなことはありません。
 コミットメントや責務を果たしていることが客観的にわかればよいのですから、例えば「経営会議の議事録の中で、経営陣の安全に関する発言を確認する」等、内部監査の手法はインタビューに限らず沢山あります。
 またどうしても従業員が経営陣の監査をするのはおこがましいというのであれば、監査役の方に安全管理規程やガイドラインのコンセプトを教育してもらい、「役員以上は監査役が実施、部長以下は事務局が実施」というような、二本立ての監査をしていただいても結構です。
 
<内部監査のコンセプト3/3>
 「経営トップは、各部門に対し内部監査の重要性、内部監査要員に対する協力指示(包み隠さず現在の取組み状況を当該要員に提示するなどを行うよう呼びかける)など、必要な支援を行うことが重要である。」
 
(解説)
 実際に監査を担当された方は経験あるかもしれませんが、監査担当者が社内で憎まれ役になってしまうケースがままあります。そのような危険を防ぐために、例えば経営トップが「監査担当者の発言は、私の発言と同等のものだと重く受け止めて欲しい」等のメッセージを社内に発信して、内部監査のスムーズな進行が達成しやすい環境を作るということが、このコンセプトの内容です。
 また、人間は誰しも指摘されるといい気分にはならないものですが、これまた経営トップが「内部監査は、我が社にとっての健康診断であるから、包み隠さずありのままをさらけだして、監査担当者が問題点を見つけやすいよう協力しなさい」などのいわゆる後方支援をすることが必要です。
 
 
4.現場だより
○幼稚園児にアニメ等で踏切事故防止をPR!~より安全で安心な鉄道輸送をめざして
~中国運輸局鉄道部より~
 
 平成19年度の中国運輸局管内における鉄道の運転事故は、68件発生していますが、そのうち39件が踏切事故であり、全体の約6割を占めています。
 また、踏切事故の約8割が自動車・歩行者の直前横断が原因となっており、まさに「自動車・歩行者の直前横断」を無くすことが、踏切事故を減少させ、併せて運転事故を減少させる一番効果的な方法となります。
 
 中国運輸局では、平成2年から管内の鉄道事業者と「踏切事故防止キャンペーン(11月1日~10日)」を展開し、踏切道において、ビラ・グッズ等を配布しながら「踏切の安全なわたり方」等について通行者に啓発活動等を実施してきました。
 また、平成15年からは職員手作りの「紙芝居」により、これまで中国管内の鉄道沿線にある18の幼稚園に出かけて行き、子どもたちや父兄(延べ約1,000人)に対して「踏切の安全なわたり方」等について周知してきました。
(紙芝居は中国運輸局のホームページ、鉄道部の「鉄道アラカルト」に掲載しています。http://www.infochugoku.ne.jp/~mlit-cgt/tetsudou/kamishibai.html)
 
 今年度、中国運輸局のプロジェクトで、「てっちゃん」と「みっちー」が主人公の「踏切の安全なわたり方」等を紹介した「子ども向けのアニメ」(約10分間のDVD)と「親子向けの冊子」(パンフレット)を作成しました。
 平成20年11月5日(水)、広島市佐伯区にある楽々園ルンビニ幼稚園において、「アニメ」と「冊子」を使って54名の園児(年長さん)とそのお母さん方を対象に踏切の安全なわたり方と電車の上手な乗り方等の勉強会を行いました。
元幼稚園の先生であるお姉さんの進行でアニメを上映し、鉄道部の新しい仲間である「てっちゃん」と「みっちー」が、園児に対して踏切の安全について問いかけると園児達から返事やさまざまな意見などが飛び出し、目がキラキラと輝いていました。
 また、応援に駆けつけた「ストッピーくん」と「電車くん」も力強い味方となりました。
 その後、楽々園駅から広電宮島口駅までバリフリ対応の低床電車であるグリーン・ムーバに親子で乗車してもらい、車内で鉄道に関するクイズをしながら移動し、広電宮島口駅では踏切保安設備や踏切の安全なわたり方、券売機等の駅設備の説明をしてもらいました。
(添付:てっちゃん(左)とみっちー(右)、幼稚園児に対するアニメの放映)
 
 
 今年度は、広島市内の3箇所の幼稚園において「アニメ」を使って勉強会を行いましたが、どこの幼稚園でも先生や父兄から「踏切の安全について再認識をした。子どもと一緒にいい勉強になった。」等のうれしい話がありました。また、この「アニメ」は管内の鉄軌道事業者に配布していますので、事業者における啓発活動にも活用していただきたいと思います。 
 来年度以降の「踏切事故防止キャンペーン」では、この「アニメ」「冊子」「紙芝居」を有効に活用しながら、中国地方5県においてさらなる効果的な取組みができないか検討していきます。
 
 
~~~~~【メルマガ「運輸安全」】~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
発行  国土交通省大臣官房運輸安全監理官室
電話       03-5253-8111 (内線 22-053)
FAX 03-5253-1531
メールアドレス g_MST_UAK@mlit.go.jp
運輸安全ホームページ  http://www.mlit.go.jp/unyuanzen/
メルマガ「運輸安全」バックナンバー http://www.mlit.go.jp/unyuanzen/mailmg.html
(添付の写真等付きのメルマガを掲載しておりますので、あわせてご覧いただければ幸いです。)
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メルマガの読者の方からの運輸安全マネジメント制度に関する相談をお受けしております。
お気軽に上記問い合わせ先までご連絡ください。お待ちしております!
また、運輸安全について積極的に取り組まれている事例がございましたら、お近くの運輸局等にご連絡ください。
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