第3回 JAPANコンストラクション国際賞

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建設プロジェクト部門

ウォータービュー高速道路プロジェクト[ニュージーランド]

プロジェクトの概要

  • ニュージーランドの中心都市オークランドで未完となっていた高速道路区間を延長2400mのシールドトンネル(2本)により接続する同国最大規模の交通インフラプロジェクト。一日6万台以上が利用し、市内の交通渋滞緩和と空港アクセスの向上に貢献。
  • 日本からの技術移転によりニュージーランド初の大断面シールド・トンネル(掘削径14.5m)を採用し、コスト低減と第三者交通への影響回避を実現。
  • 同国で一般的な発注者、設計者、施工者がアライアンスを形成してプロジェクトを遂行するアライアンス契約に基づき、大林組が全オペレーションの重要決定事項の検討および決裁とシールドトンネルの設計、施工計画、施工管理、リスク管理に参画。

データ

工期:2011年11月~2017年6月
発注者:ニュージーランド交通局(NZTA)
応募者:株式会社大林組
関係企業:設計者:Parsons Brinckerhoff(現WSP)、BECA、Tonkin & Taylor
施工者:株式会社大林組、Fletcher Construction、McConnell Dowell

評価のポイント

  • 設計施工に加えて供用後10年の維持管理業務の金額も含めたライフサイクルコストも評価される入札方式において、落札。落札者がオプションとしてそのまま維持管理を受託できる契約で引き続き維持管理に参画しており、日本の質の高いインフラを体現すると共に出遅れている官民連携事業での実績を積み上げた。
  • 原住民遺構の保存、原住民の芸術要素の坑口デザインへの取り入れ、歩道橋デザインでの住民の声の吸い上げ、住民還元施設整備などのコミュニティへの配慮を行い、発注者から表彰された。
  • 当初山岳トンネル工法で設計されていたところ、日本企業の提案でシールド・トンネル工法を採用した。重量2500tのシールドマシンは1本目掘削完了時に解体・再組立せずそのままUターンさせて2本目を掘進することで工期短縮・コスト削減を実現した。

オスマン・ガーズィ橋(イズミット湾横断橋)プロジェクト[トルコ]

プロジェクトの概要

  • トルコ初の橋梁を含む道路BOT事業であるイスタンブールとトルコ第三の都市イズミールを結ぶ高速道路中、イズミット湾を跨ぐ区間の橋梁工事。
  • 本橋梁により、フェリーで1 時間、湾岸の陸路で約1.5 時間かかっていた区間の所要時間を6 分に短縮し、420km の高速道路建設による移動時間の短縮(9 時間→4 時間半)に大きく貢献、トルコ南西部の発展に大きく寄与した。
  • 全長2682m、世界第4位の中央径間長1550mを誇る吊橋を48か月の短工期で完成させ、長大吊橋としては世界第1位の施工速度を記録。

データ

工期:2013年1月~2016年6月
発注者:NOMAYG JV(PPP事業参画企業による建設施工監理企業体)
応募者:株式会社IHI インフラシステム
関係企業:設計・施工者:株式会社IHIインフラシステム

評価のポイント

  • 橋梁除湿設備、電気防食設備、飛沫部へのステンレス鋼の採用や供用後の遠隔監視システムによる常時モニタリングを利用した早期異常把握等によりライフ・サイクルコストを低減。求められる性能にあった独自設計基準の策定によってコストミニマムを実現。
  • 地震対策として、吊橋主塔には世界初の免震構造を採用。厳しい施工管理によって本構造を実現。風対策として、吊橋の供用下でアクティブ制振装置を世界で初めて採用。
  • 短工期・ライフサイクルでの低コストに加えて高速道路BOT事業者の入札準備段階から協力したことで、事業権落札後のEPC契約受注競争を有利に進め、競合国に競り勝って受注。

シンズリ道路(第3工区第2期建設工事・第2工区斜面対策工事)[ネパール]

プロジェクトの概要

  • ネパールの首都カトマンズからインド国境への既存道路の代替路として、我が国無償資金協力により整備された全長約160kmの山岳道路のうち、川沿いの難関区間である最終工区の建設及び豪雨による斜面崩壊部の斜面補強工事。
  • 政治的混乱等により約1箇月の工事遅延が生じていたが、工事エリアの分割化によって工事妨害による中断の影響を局限化する努力や機材・人員の追加投入も行い最終的には繰上げ全線開通を達成。
  • 国土の8割が山岳地帯のネパールで日本企業が優位性を持つ道路防災技術を活用・移転。

データ

工期:2012年7月~2015年3月
発注者:ネパール国公共インフラ交通省 道路局
応募者:株式会社安藤・間
関係企業:設計者:日本工営株式会社
施工者:株式会社安藤・間

評価のポイント

  • 2015 年4 月25 日に発生したマグニチュード7.8 の「ゴルカ地震」ではネパール各地の幹線道路の多くが不通となったが、シンズリ道路は脆弱な地質条件下でも自然災害に対する高い強靱性を構築していたことから、通行を維持し救援物資運搬の一大経路として評価された。
  • 住民からの要求活動への対応や住民移転問題において、政治的・社会的混乱の中でも政官と連携して最大限の社会配慮を行った。また工事の影響を受ける住民も未経験ながら土木作業員として雇用しきめ細かな安全管理を実施。
  • 建設時に導入された各種の斜面安定工・擁壁工技術は、「今後の道路建設に生かしていくべき技術」とのネパール政府担当官からの評価を受けている。

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