都道府県下水道担当部長
指定都市下水道担当局長 殿
建設省都市局下水道部長
コンピュータ・プログラムが2000年以降の日付に対応していない場合に
システムが正常に機能しないという西暦2000年問題(以下「2000年問題」という。)については、
平成10年9月11日付けで高度情報通信社会推進本部(本部長:小渕恵三内閣総理大臣)にて決定された
「コンピュータ西暦2000年問題に関する行動計画」により、 対応が必要な各領域において官民を挙げた具体的な行動の徹底が求められており、
建設省においては、これを受けて平成10年10月1日に建設省コンピュータ西暦2000年問題対応推進本部を設置し、
その対応を進めているところである。
下水道については、社会活動を支える基幹的施設であり、その機能が停止することは、
避けなくてはならないものである。 万一、下水の排除機能が停止すると、浸水や汚水の滞留等の問題が発生する可能性があり、
また、処理場の機能が停止すると、未処理下水の河川等への流出による下流への悪影響、
汚泥焼却炉からの未処理の排煙等の発生、処理場内の可燃物及び危険物管理への支障等、
国民生活に多大なる影響が生じる可能性がある。
建設省が平成11年3月に行った下水道管理者の2000年問題への対応状況調査の結果では、
施設、設備等の制御に用いるシステム(以下「制御システム」という。) を使用している下水処理場等において2000年問題の有無についてメーカー等に確認した処理場等の比率が
全体の95.7%であり、このうち、支障なしとの返答を得ているとしたものが69.3%であった。
支障ありとしたもののうち、未だ対応が終了していないものが57.5%、 更に危機管理計画に至っては84.8%の処理場等について策定予定なしとの状況であり、
2000年問題について適切な認識のもとに適切な対応がとられているとは言い難い状況にある。
このため、下記1から3までに留意し、2000年問題への迅速な対応の徹底を図るとともに、
貴管内市町村(指定都市を除く。)に対し、対応の徹底方よろしくご指導お願いしたい。
また、今後四半期毎に、対応状況の把握を行うこととしているので、 その際には下記4から5の要領で協力方お願いする。
記
1.2000年問題への取組に係る基本的考え方
- 2000年問題は、あらかじめ発生を予想することが可能な問題であること。
- したがって、下水の排除及び処理機能の停止といった最悪の事態を回避するために
第一に必要なことは、問題の所在の確認、プログラムの修正、機器の取替、 模擬テストの実施等事前の対応であること。
- また、以下の理由等により、危機管理計画の策定は、 コンピュータを使用する事業のみではなく、全ての事業において必要とされるものであること。
- 2000年問題を有するシステム及び機器について全て修正等を行うことを目標としても、
見落としあるいは修正ミスが残る可能性は否定できないこと。
- 2000年問題については、下水道事業等のみに限られたものではなく、 下水道を取り巻く様々な部門においても、同様の問題を抱えている可能性があり、
下水道事業がこれら外部の影響を受けることも想定する必要があること。
2.2000年問題への対応とその時期
全ての下水道管理者において、次の(1)から(9)までの取組を図ること。
なお、(6)、(7)については、2000年問題があると確認された事業に限る。
- (1)責任体制の明確化
- (2)点検対象分野の分類及び分野ごとの責任者の明確化
- (3)職員への啓発
- (4)点検対象の特定
- ポンプ場及び処理場のメインフレーム、ワークステーション等のコンピュータのほか、
小規模下水道施設における小型コンピュータ、水位計、流量計、水質計測装置等の計装設備、
揚排水設備、水処理設備、汚泥焼却設備、受変電・自家発電設備等に関係する装置・
機器に組込まれているマイコンチップ等の点検対象の特定を行うこと。
- (5)点検等の実施
- システム開発業者又は設備・機器の納入業者等への確認を、 別添1下水道事業コンピュータシステム等総点検実施指針にそって
2000年問題の有無の確認等を可及的速やかに行うこと。
今後2000年に向けてシステム及び機器の修正等の需要が大幅に増すことも想定され、
早急に修正等の依頼を行わないと、最悪の場合、 本年内に修正等が完了しない事態を生ずる可能性もあることから、
この点(6)示す修正作業等と併せ、特に留意されたい。
- (6)プログラム等の修正及びマイコンチップの取替作業
- メインフレーム、ワークステーション等のコンピュータについてはプログラムの修正、
組込式マイコンチップについては取替え、 取替えが不可能な場合には手動運転を可能とする措置等について原則として6月までに実施のこと。
- (7)模擬テストの実施
- 処理場の機能の停止につながるコンピュータ及びマイコンチップについて 模擬テストを原則として6月までに実施のこと。
実施の具体的方法については、別添1下水道事業コンピュータシステム等総点検実施指針の
「3模擬テストの実施」を参照のこと。
- (8)危機管理計画の策定
- 不測の事態に備え、全ての事業で9月までに策定のこと。
- (9)危機管理計画にもとづく実地訓練
- 不測の事態に備え、危機管理計画に従い全ての事業で12月中までに実施のこと。
3.2000年問題への対応状況に関する情報公開等
各下水道管理者において、自らの対応の状況について情報を公開すること。
なお、建設省においては、広く国民への情報の提供に努めることが必要であることから、
対応の進捗状況を一覧にして建設省ホームページに掲載することを予定している。
4.2000年問題への対応に関する調査及びその報告
- 建設省では、おおむね四半期ごとに (6月1日、9月1日、11月1日時点の状況について)上記2の(5)の結果及び
2(6)〜(9)の対応状況について調査を行う予定である。
- このため、各都道府県においては、 政令指定都市を除く管内の全ての下水道管理者へ別添1から5までを送付し、
6月1日、9月1日、11月1日の時点の状況について、 各下水道管理者から別添2、3、5により報告を求めた上で、
とりまとめ表(別添6)に結果をとりまとめ、 別添2、3、5、6を下記5の期限までに提出のこと。
- 別添4については、各下水道管理者が点検する際に活用するものとし、 各下水道管理者において管理・活用されたい。
5.提出期限
上記4の調査について、6月1日時点での調査結果については6月20日、
9月1日時点での調査結果については9月20日、 11月1日時点での調査結果については11月20日までに提出されたい。
6.その他
現在、危機管理計画策定マニュアルを作成中であり、 作成次第通知することとしているので申し添える。
7.問合せ先
都市局下水道部下水道管理指導室 平岡、竹内
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