3.線引き制度及び開発許可制度の見直し
(現行制度)
・都市計画区域は、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、市街化区域と市街化調整区域に区分(線引き)することを原則としつつ、都市計画法の附則で、大都市圏等以外の都市計画区域では、当分の間、線引きの規定を適用しないこととしている(未線引き都市計画区域)。
・市街化区域は「既に市街地を形成している区域及び概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」であり、少なくとも用途地域、道路、公園、下水道等の都市計画が定められる。開発許可については、1000u以上の開発行為に限り、良好な市街地形成のための技術的基準(法第33条)により審査される。
・市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」であり、原則として用途地域は定められず、市街地開発事業など市街化を促進するための都市計画も定められない。開発許可については、市街化を促進することのない開発行為のみ許容する趣旨から、規模の限定なく、技術的基準及び立地基準(法第34条)に基づき審査される。
・未線引き都市計画区域は、線引きをするまでの暫定的な位置付けであるため、必要最小限の規制として、3000u以上の開発行為に限り、技術的基準により審査される。
(今後の制度のあり方)
T.見直しに当たっての基本的考え方
線引き制度は、都市の無秩序な市街化を防止し、計画的な整備を進める上で大きな役割を果たしてきており、地方公共団体の都市計画行政に定着していること、昭和40年代に見られた激しい都市化現象はおさまっているものの大都市を中心に市街化圧力は依然存在することを踏まえれば、その骨格は引き続き維持することが必要ではないか。
しかし一方、市街化調整区域において、全国一律の開発許可基準を適用していることから、地域によっては規制が活性化の阻害要因になっている場合が見られるなど弊害が指摘されているため、市街化調整区域の中であっても、地域の実情に応じて段階的に必要かつ十分な開発規制が行えるよう、制度面での対応を図る必要があるのではないか。
また、開発許可制度においては、一定の宅地水準の確保のため、法令で定める技術的基準を適用しているが、まちづくりに対する考え方が多様化しており、また、開発許可に係る事務が地方公共団体の自治事務になることなどを踏まえ、最低基準は担保しつつ、地域特性を反映し、基準を強化又は付加できることとするなど、地域の実情に応じた運用が可能となる制度にする必要があるのではないか。
U.制度構成の考え方
@線引き制度の弾力的な適用
○線引き制度は、基本的には維持することが必要であるが、地域の実情に応じて適用しうるよう、線引きをするか否かは、予め法令で定めるのではなく、都道府県が、当該都市計画区域の市街化の状況や見通し等を踏まえて定め得ることとすることが必要ではないか。
○三大都市圏の既成市街地など一定の都市計画区域については、今後とも、相当の市街化圧力が続くことが予想されることから、引き続き線引きを義務付けることが必要ではないか。
○市街化調整区域内すべてについて、一律の基準で、開発を抑制するのではなく、区域内の状況に応じて開発許可の基準を変えることができることとする必要があるのではないか。その際、どの地域でどのような開発が許容されるかは、予め開発許可権者が条例で明示する等、透明な運用を行い得るような制度的手当が必要ではないか。
A「非」線引き都市計画区域における規制のあり方
○線引きをしなかった「非」線引き都市計画区域は、市街化圧力が弱く、一定地域の市街化を特に促進するとの位置付けを持たない区域であることから、必要に応じ用途地域や地区計画、あるいは保全系の地域地区を定められることとするほかは、一般的に開発を抑制するような厳しい立地規制は適用しないこととするべきではないか。
B開発許可の技術的基準における地域特性の反映
○一定の宅地水準の確保のため、開発許可の技術的基準は現行どおり法令で定めつつ、地方公共団体が条例で基準を強化又は付加することなどを可能とすることが必要ではないか。
A都市計画区域外における開発行為及び建築行為についての考え方