資料5−2
京浜臨海部再編整備に向けた取り組みについて
〜京浜臨海部再編整備協議会の取り組みを中心に〜
神奈川県商工労働部京浜臨海部対策課
1.概況
(1)経緯
再 編 整 備 に 関 わ る 主 な 動 き
昭和57年2月 「工業制限諸制度研究協議会」設置(県、横浜市、川崎市) 昭和58年1月 工業等制限法の見直し要望(知事、横浜市長、川崎市長の三首長要望)
→以降、県は毎年要望昭和59年10月 「工業制限諸制度研究協議会」を改組し、「県・横浜・川崎大都市産業問題研究協議会」設置 平成2〜3年度 「東京湾南西地域総合再生計画調査」(国土庁、通商産業省、運輸省、建設省) 平成4〜5年度 「京浜臨海部再編整備構想調査」(国土庁、県、横浜市、川崎市) 平成8年4月 京浜臨海部担当部長及び京浜臨海部対策課設置(県) 5月 「県・横浜・川崎大都市産業問題研究協議会」を改組し、「京浜臨海部再編整備協議会」設置 5月 「かながわ産業活性化計画」策定(県)
→地域の活力を生かした産業の展開として「京浜臨海部の産業再活性化」を位置づけ11月 「京浜臨海部の再編整備に関する基本方針」策定(三団体) 11月 「川崎臨海部再編整備の基本方針」策定(川崎市) 平成9年2月 「京浜臨海部再編整備マスタープラン」策定(横浜市) 3月 「かながわ新総合計画21」策定(県)
→5つの県土構想の一つに「京浜臨海部再編整備構想」を位置づけ11月 「東海道貨物支線試乗会」実施(京浜臨海部再編整備協議会)
→以降、毎年実施12月 「京浜臨海部における産業・土地利用の誘導方向」合意 (県、横浜市、川崎市) 平成9〜10年度 「東京湾沿岸域における再編整備計画調査」(国土庁、通商産業省、運輸省、建設省) 平成10年2月 地域産業集積活性化法に基づく「基盤的技術産業集積の活性化に関する計画(広域京浜地域)」承認 4月 シンポジウム「京浜地域の再生と21世紀の臨海部」開催(京浜臨海部再編整備協議会) 7月 「東海道貨物支線貨客併用化推進協議会」設置(県、横浜市、川崎市、東京都等) 平成11年3月 工業等制限法の政令改正
→京浜臨海部の工業用埋立地の大部分が工業等制限区域から除外等
基本方向
「安全で快適な環境のもと、21世紀の国際社会に貢献する産業創造地域」の形成
5つの基本方針
8つの検討課題
@産業に関する基本方針
企業間の連携、生産機能、研究開発機能、市場開発
機能の連携による創造的事業活動の促進@企業間の連携・交流、産・学・公の連携・交流などを視野に入れた産業支援策
A創造的事業活動を促進するための諸規制の見直しA土地利用に関する基本方針
市街地に隣接した地域の計画的土地利用転換B市街地に隣接した地域の計画的土地利用転換を誘導する仕組みづくり B都市基盤整備に関する基本方針
産業活動を支える交通・情報基盤の整備C東海道貨物支線の貨客併用化や広域幹線道路網の整備など広域的交通基盤整備の推進 C環境・防災に関する基本方針
臨海部第1層の重点的整備による防災機能の強化D拠点緑地の整備など地域緑化の推進
E耐震強化岸壁の整備と防災拠点形成の推進D市民との共生に関する基本方針
市民活動と産業活動が調和する魅力ある地域の創造
F市民活動と生産活動、物流活動との調和のための条件整備 G再編整備を先導する拠点地域の整備
海側の港湾物流機能、生産機能を活かしながら、内陸の都市的土地利用との融合や隣接する市街地の防災性の向上を図り、市街地と隣接する地域(主に臨海部第1層)で、創造的事業活動を促進・支援する業務管理、研究開発、商業、対事業所サービス等の新しい機能を立地させるため、複合的土地利用転換を図る。この場合、発生した用途転換用地を中心に一定規模のまとまりを持たせ、既存産業の活動との調和を図りつつ、暫定的な土地利用も考慮した計画的な土地利用転換を進める。
また、京浜臨海部の魅力や快適性の向上のため、周辺環境の状況を考慮して、レクリエーション機能などを導入したアメニティ豊かな空間の適切な配置を検討する。
2.京浜臨海部における新たな産業・土地利用の例
[関係図はこちら]
(1)京浜臨海部研究開発拠点(横浜市鶴見区末広町地区)
京浜臨海部再編整備を先導するプロジェクトとして国際的な研究開発拠点の形成を目指し、県・横浜市協調のもとに整備中。
産学交流ゾーン(約3ヘクタール)
・産学共同研究センター
実験棟(11年8月完成)大規模な空間を持つ実験スペースの貸出
研究棟(13年開設予定)研究室、交流サロン等
・技術開発支援センター(12年度実施計画策定)
・ファクトリーパーク(12年組合設立)
総合研究ゾーン(約5ヘクタール)
・理化学研究所ゲノム科学総合研究センター(12年秋開設予定)
・横浜市大連携大学院(13年度春開校予定)
*ミレニアム・プロジェクトの一つである[生命科学に関する新しい研究機関」の誘致を県・市共同で進めている。
(2)TVP(横浜市神奈川区守屋町地区)
TVP=テクノロジービレッジパートナーシップ
アメリカの自動車部品メーカーによる企業グループ(8社)
米企業の共同事業場を設けることにより、コスト削減と企業間連携による相乗効果を高め、日本での販路拡大を図るための対日進出拠点。
平成7年 日米構造協議を受け、日本開発銀行・JETROによる説明会 8年 横浜を含む5都市が候補となる 9年 横浜立地決定 11年 オープニングセレモニー(1月)
面 積 敷地面積 5,600平方m(工業専用地域)、延べ床面積 約8,000平方m
施設概要 1階:研究開発、検査・保管、加工組み立て
2〜3階:オフィス
(3)ゼロ・エミッション工業団地(川崎市川崎区水江町地区
団地内企業の取り組みにより、廃棄物等の相互利用・削減を図り省エネルギー・省資源化を実現することで、コストダウンと環境との調和を目指す新しい工業団地。
(中小企業によるゼロ・エミッション工業団地としては世界初)
全体開発面積は約8ha
環境事業団の建設譲渡事業による
平成10年12月事業共同組合設立(14社)
平成11年2月同組合と環境事業団の間で譲渡契約締結
平成13年供用開始予定
参考:関連する県の取り組み
- 京浜臨海部立地計画策定支援事業
神奈川県では、平成10年度から京浜臨海部に進出を希望する企業が立地計画を策定するための調査費の補助を行う事業を開始。
補助の上限は1社100万円、必要経費の1/3以内。
・10年度は2社に補助を実施し、1社が立地を決定。
・11年度は4社に補助を行っている。
- 出前相談
上記に加え、京浜臨海部への立地に関心を寄せている企業に直接職員が訪問し、土地利用規制・立地条件などの京浜臨海部の状況説明や相談に対応する仕組みを11年9月からスタート。
(4)川崎港郵便局(川崎市川崎区南渡田地区)
船便の国際郵便を扱う拠点施設(東日本全体をカバーする唯一の拠点)として建設され、東京国際郵便局と横浜港郵便局の国際郵便業務を移管して集中。
正規職員420人とパート300人が勤務。
構造・規模:鉄筋コンクリート3階建て、述べ面積 約3万5千平方メートル
敷地面積:約3万平方メートル(NKK工場跡地を利用)
施設内には地域住民が利用できる会議室、体育施設等も設置
3.最近の取り組み
(1)京浜臨海部に関する企業意向等のアンケート調査結果概要
ア.京浜臨海部への立地動向に関するアンケート調査
(ア)実施時期
平成11年6月〜7月
(イ)調査対象・回収状況
全国2492社(上場・店頭公開企業2199社、ベンチャー企業293社)に送付、519社が回答(回答率20.8%)
(ウ)調査結果概要
工業等制限法見直しについて
「知らなかった」272社(52.4%)、「見直されたことは知っていたが、詳しい内容は知らなかった」182社(35.1%)
京浜臨海部の魅力
「首都圏市場を抱えている」392社(75.5%)、「港湾が近接」219社(42.2%)、[情報が得やすい」217社(41.8%)、[高速道路が充実」147社(28.3%)、「人材が得やすい」133社(25.6%)
京浜臨海部で可能性のある分野
[流通・物流」85社(16.4%)、[新製造技術」66社(12.7%)、[情報通信」53社(10.2%)
京浜臨海部への立地可能性があると回答した企業
47社(うち製造業12社)
立地支援策について
122社が県・市の両施策に興味を持っていると回答。
京浜浜臨海部の問題点
「地価が高い」353社(68.0%)、「工業地帯としてのイメージ定着」210社(40.5%)、「(大気・水質などの)環境の悪さ」192社(37.0%)
必要な情報支援について
「行政施策・関連規制情報」251社(48.4%)、「人材・労働力情報」134社(25.8%)、「研究情報」116社(22.4%)
イ.京浜臨海部での事業展開等に関するアンケート調査
(ア)実施時期
平成11年8月〜9月
(イ)調査対象・回収状況
横浜・川崎両市臨海部に立地する工場立地法上の特定工場に該当する133製造業事業所に送付、108事業所が回答(回答率81.2%)
(ウ)調査結果概要
工業等制限法の見直しについて
「ある程度満足」62社(57.4%)、「十分満足」19社(17.6%)、「やや不満」12社(11.1%)
工業等制限法の見直しの効果について
「ある程度期待できる」56社(51.9%)、「あまり期待できない」19社(17.6%)
具体的な効果について
「基準面積の拡大による生産効率の増大」36社(33.3%)、「京浜臨海部での工場の拡張」30社(27.8%)、「操業環境の安定化」28社(25.9%)
具体的な不満点
「見直しのタイミングが遅かった」11社(10.2%)、「除外区域が限定的」6社(5.6%)工業等制限法見直しにより制限区域から除外された区域はこちら
(2)国への要望状況
(ア)平成12年度国の施策・制度・予算に関する要望(11年7月)
「大都市産業の活性化と京浜臨海部再編整備の推進」
工場立地の推進
京浜臨海部における大規模な遊休・低未利用地の有効利用
大都市産業政策の確立と企業活動に対する規制の適正化 等
(イ)東海道貨物支線貨客併用化推進協議会による要望(11年8月)
「東海道貨物支線貨客併用化(京浜臨海線)に関する要望書」
〜運輸省関係局長あて〜
(ウ)第25回三首長懇談会の協議結果に基づく共同要望(11年11月)
「東海道貨物支線貨客併用化の推進に関する要望書」
<三首長と横浜・川崎商工会議所会頭の共同要望>
〜運輸大臣・運輸政策審議会会長・同地域交通部会部会長あて〜
「京浜臨海部の再編整備の推進に関する要望書」
<三首長の共同要望>
大都市地域の産業再生に向けた京浜臨海部の位置付けと施策の具体化
〜通商産業大臣あて〜
・工業再配置法に基づく移転促進地域の指定解除
・京浜地域の製造業の再編整備拠点としての整備促進
・京浜臨海部で推進中の産業系プロジェクトへの支援の継続・強化
既存ストックや工場跡地の有効活用促進によるまちづくり手法の充実・整備
〜運輸大臣・建設大臣等あて〜
・既存ストックの有効活用促進施策の充実・整備
・工場跡地の有効活用促進施策の充実・整備
(エ)生命科学に関する新しい研究機関の京浜臨海部への立地について要望(11年11月)
<県・横浜市の共同要望>〜科学技術庁長官あて〜
参考