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下水道

第三次環境基本計画

1)概要

平成18年4月7日に第3次となる環境基本計画が閣議決定された。本計画では、今後の環境政策の展開の方向として、「環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上」「環境保全上の観点からの持続可能な国土・自然の形成」「技術開発・研究の充実と不確実性を踏まえた取組」「国、地方公共団体、国民の新たな役割と参画・協働の推進」「国際的な戦略を持った取組の強化」「長期的な視野からの政策形成」の6つの方向性が掲げられた。この方向に沿って、「地球温暖化問題に対する取組」「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」等、10の重点分野の政策プログラムをはじめとした施策が示された。また、国、地方公共団体、事業者、国民など各主体に期待される役割が重点分野ごとに明示された。

2)下水道に関連する主な記述
○地球温暖化問題に関する取組
  • 省エネ機器の開発・普及、エネルギー利用効率の改善、技術開発の一層の加速化、環境意識の向上に加え、広範な社会経済システムの転換を伴う地球温暖化対策を大胆に実行する。また、省エネルギー、未利用エネルギーの利用等の技術革新を加速し、効率的な機器や先進的なシステムの普及を図る。
○物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組
  • 化石燃料や鉱物資源等、自然界での再生が不可能な資源の使用量を最小化し、再生資源や再生可能な生物由来の有機性資源であるバイオマスの利活用を促進する。
  • 資源採集、生産、流通、消費、廃棄等の社会経済活動の全段階を通じて、資源やエネルギー利用の一層の循環と効率化を進め、資源消費の少ない、エネルギー効率の高い社会経済システムづくりを推進する。
○環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
ア)流域に共通する施策
  • 下水処理水の再利用等による生活用水の効率的利用、雨水の生活用水としての利用等を進め、水源への負担を軽減するとともに、必要に応じて、未活用水の有効活用を図り、水質や水生生物の保全等の観点から流量確保のための様々な施策を行う。
イ)農村・都市郊外部
  • 生活排水処理を進めるにあたって、農村部においては、地域の実情に応じて、小規模分散型の下水道、農業集落排水施設・浄化槽を活用することなどにより、水資源の循環利用を促進する。
ウ)都市部
  • 都市計画における整備、開発及び保全の方針等の都市計画制度の活用により、地下水涵養機能の増進や都市における貴重な貯留・涵養能力を持つ空間である公園緑地の保全と創出を推進するとともに、都市内の水路等の創出・保全を図る。また、住民参加による都市内の水路の保全を支援する。さらに、地下水涵養を促進するため、雨水浸透施設の整備、流出抑制型下水道の整備、透水性舗装の促進等を推進する。また、雨水や下水処理水等の生活用水としての利用等を進めるとともに、貯水池の弾力的な運用や下水の高度処理水等の河川還元等による流量の確保等の取組を推進する。さらに、親水性の向上、ヒートアイランド対策等への有効活用が必要な地域では、都市内河川や地下湧水、下水の高度処理水等の利用を環境影響に配慮しつつ推進する。
エ)閉鎖性水域
  • 湖沼、内湾等の閉鎖性水域においては、流域からの負荷が流入・滞留しやすく、内部生産や底質からの溶出と相まって、水質の改善がなかなか見られず、水域によっては水生生物等の生育・生息に障害を生じていることから、流域全体を視野に入れて、山間部、農村・都市郊外部、都市部における環境基本計画記載の施策の総合的、重点的な推進を図る。
オ)国の取組
  • 国は、流域の地方公共団体等による環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の作成・実行を促進・支援する。さらに、関係省庁の連携を一層強化するとともに、事例や関連施策等の情報の収集・整理・提供により、進捗状況の把握、課題の整理・抽出等を行い、必要な場合は、関連施策の調整及び地方公共団体等の関係者間の調整を行う。我が国における環境保全上健全な水循環に関する取組を国際的に発信し、世界の水環境問題の解決に貢献する。また、節水意識、汚濁負荷の排出の抑制、水の循環利用等に対する国民の意識を向上させるための取組を推進する。
○化学物質の環境リスクの低減に向けた取組
  • 環境リスク低減対策の基礎として、科学的な環境リスク評価を進める。このため、我が国独自のデータを取得することを含め、化学物質の有害性に関するデータの収集、化学物質の製造量、用途、排出量、排出経路、廃棄方法等の基礎情報の整備、環境残留状況の把握等に積極的に取り組む。
  • 科学的なリスク評価、化学物質が国民生活に与える利益及び予防的取組方法の考え方を考慮した上で、化学物質のライフサイクルにわたる環境リスクを最小化し、人の健康及び生態系への被害を未然防止するための取組を進める。重大な環境リスクが見逃されることのないよう、国内外の新たな知見ないし情報に常に注意を払いながら、多様な問題に応じた様々な対策手法を組み合わせた取組を推進する。
  • 科学的な環境リスク評価の推進にあたっては、重要な環境への排出源、排出経路が見落とされないよう、2020年までに、主要な化学物質の製造・輸入から使用・消費・廃棄に至るまでのトータルな流れを把握する。
  • リスク評価を進めるための手法の開発を行う。まず、化学物質による生態系への影響について、水域のみならず、陸域等も含めた生態系の望しい保全の在り方について検討を進め、天然由来の化学物質も考慮して、評価方法を開発する。
  • 効果的・効率的なリスク管理の推進にあたっては、人の健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれのある物質について、製造、使用、排出の制限や自主管理、公的主体による社会資本整備等、多様な手法を駆使したベストミックスによる対策を推進する。
  • PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量登録)データ等を用いた化学物質の環境への排出状況は、環境リスク低減のための指標として有意義に活用することができる。現状では、PRTR制度によりすべての排出源からの排出量や排出経路が正確に把握できているとは言えない状況にあり、また多種類の物質の排出量を総合化する手法等、指標化の手法も確立されていない。PRTR対象物質のうち、環境基準・指針値が設定されている物質等の環境への排出量を指標とするとともに、今後、PRTRデータ等を用いた排出インベントリの構築及び総合的な政策指標の検討に取り組む。
○市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり
  • 経済的手法については、各方面において検討が行われ、国や地方公共団体でその導入や実証的な試みも進んでいる。経済的手法については、当該手法の効果、国民経済への影響を踏まえつつ、国民、事業者など関係主体の理解と協力を得るよう努めながら、こうした検討や導入の成果も踏まえ、その適切な活用について総合的に検討する。