リレートーク

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平田 景子(香川日仏協会 事務局長、高松市国際交流推進協議会 副会長)

平田 景子

香川に居ながら国際交流

Bonjour! みなさん、こんにちは。香川県を拠点に、国際交流を通してまちづくりに励む人たちをサポートし続け、30年余りが経ちました。特にここ数年は、香川日仏協会の事務局長としてフランスと香川県をつなぐ取り組みに尽力する一方で、アメリカ・ロサンゼルスにある南カリフォルニア香川県人会との長年のご縁で、カリフォルニアと香川県をつなぐ取組みにも協力しています。このトークリレーで、私なりの香川の魅力を発信させていただけるチャンスをいただき、とても嬉しく、わくわくしています。

香川県庁旧本庁舎、東館1階のロビーギャラリー 香川県庁旧本庁舎、
東館1階のロビーギャラリー

私は1965年に、日本で一番面積が小さい香川県の中でも一番小さい宇多津町で生まれ育ちました。しかし幼い頃は、県庁から徒歩数分にある母の実家で過ごすことが多く、高松での思い出はたくさんあります。

中でも私の最大のパワースポットとして存在し続けている思い出深い場所は、かつての香川県本庁舎だった東館です。夕方になると祖母と一緒にお散歩しながら県庁に行き、県庁職員だった祖父の帰りをロビーで待つのが楽しみでした。
その建物が世界的建築家 丹下健三氏の手によるものであり、ロビーギャラリーの壁画「和敬清寂」が、パリやニューヨークで制作活動経験のある猪熊弦一郎画伯の作品だということは、後々知らされるのですが、子どもの頃は知る由もなく、お気に入りの丸っこくてかわいいスツールにちょこんと座って、色鮮やかな壁画を眺めながら、ただただ静かに祖父を待つ、そんな幼少期を過ごしました。
やがて世界中の建築愛好家から注目されるようになり、ニューヨークタイムズ紙の記事「戦後建築で最も重要な25の作品」(The New York Times Style Magazine「The 25 Most Significant Works of Postwar Architecture」)において日本で唯一選出されたこと、そして2022年には国の重要文化財に指定されたことは、我々県民の誇りであり、建物にまつわる歴史や物語も含めて、これからも香川の魅力の発信源として、未来永劫存在し続けて欲しいと願っております。

在日フランス総領事が姉妹商店街記念碑を視察(2022.11) 在日フランス総領事が
姉妹商店街記念碑を視察

ところで、私が所属している香川日仏協会は、パリのカプシーヌ通りと姉妹商店街提携をして今年で35周年を迎える高松丸亀町商店街に拠点を置き、日本とフランスの文化交流を推進し続けて40年目を迎えます。これまで、恒例のパリ祭や文化講座「フランスを知る」、フランス語講座等々、様々な取り組みを行ってきました。今年は四国四県の日仏協会と連携し、「フランスと四国をつなぐ~新たなチャレンジに向けて~」というサミット応援フォーラムを開催し、G7をもっと身近に感じていただく取り組みを計画しています。

丸亀町レッツホールでのイベント準備。商店街を行ったり来たり。 丸亀町レッツホールでのイベント準備。
商店街を行ったり来たり。

開催地となる高松市は、フランスのトゥール市やアメリカのセント・ピーターズバーグ市と姉妹都市となり、長きにわたり交流を続けており、高松城跡玉藻公園は、フランス・ロワールの古城の一つであるヴィランドリー城と連携協定を結び、庭園の管理などの知識や技術を学び合い、温故知新の友好を温めています。当協会も市が行う行事を側面からバックアップし、国際交流の担い手として支援しています。

南カリフォルニア香川県人会の青年たちに「金毘羅船々」を伝授(2019.11) 南カリフォルニア香川県人会の青年たちに
「金毘羅船々」を伝授

また、アメリカには1916年にロサンゼルスで設立され107年目を迎える南カリフォルニア香川県人会があります。香川に縁(ゆかり)ある人たちが時折集まり、郷土香川への想いを語り合い、発展を楽しみにしてくれています。
1932年のロサンゼルス・オリンピックにて現地カメラマンとして記録写真を撮影し、写真家として成功をおさめたToyo Miyatake(本名:宮武東洋男) も、同県人会のメンバーでした。太平洋戦争中に日系人収容所にて、当時の様子を写真記録で残したことでも知られています。彼が故郷、善通寺市からアメリカに渡ったのは、今から114年前、まだ中学生の時でした。
2028年にはロサンゼルスで3度目のオリンピックが開催されることが決まりましたが、彼が遺した五輪選手の写真が再び注目され、激動の時代にたくましく生き抜いたToyo Miyatakeの生きざまが、今の時代の私たちに、夢と希望を与えてくれると信じています。

栗林公園と姉妹庭園のハンティントン財団の代表者らと "栗林公園と姉妹庭園の
ハンティントン財団の代表者らと

ロサンゼルス市近郊には、2015年に栗林公園と姉妹庭園提携をしたハンティントン財団が所有する日本庭園があり、それぞれで育てた盆栽の交換や、互いの関係者が訪問し合う等、今後ますますの交流発展が期待されています。
また同財団が購入して日本庭園に移築建築された築300年余りの丸亀の武家屋敷も完成し、年内にも一般公開される予定です。つい先日には、香川の伝統工芸・和三盆糖の「菓子木型」を使って、和三盆体験のワークショップが開催される等、コロナ禍が収束しつつある中、民間交流も活発になってきました。

こうして、人やモノ、コト、カタチを通して、小さいながらもキラッと光る香川県の魅力が、世界中に拡がり育っていくことは、とても素晴らしいことですし、今後の発展にとても重要な役割を果たすでしょう。
香川に居ながら国際交流。この度のG7香川・高松都市大臣会合開催を、香川県が世界に向けて更に飛躍できるチャンスと捉え、成功を祈って、皆さんと共に応援し、できることから始めませんか。

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