リレートーク

Facebook Share Twitter Share

鹿庭 弘百(一般社団法人 街角に音楽を@香川 代表理事)

鹿庭 弘百

世界的な文化感幸都市へ

高松丸亀町商店街に育った子供のころの記憶には商店街のざわめきや時折高松港から吹いてくる風が肌をなでる感覚があります。城内(じょうない)中学校の教室の窓からは玉藻公園やその向こうに穏やかな瀬戸内海が見えていました。
次男だった私はその後高校から上京し大学卒業後も東京で就職、レコード会社、テレビ局などのメディアでの仕事のかたわら、自らドラムの演奏で週末には都内ライブハウスを回っていました。しかし結婚し次女が生まれた時に大きな転機が訪れました。

実家の鞄店を継いでいた兄が亡くなり40歳直前に高松に戻る事となったのです。突然の運命で当初は夢に東京での日々が現れるほどでした。

その頃から社会の風景もインターネットの発展や核家族化など大きく変化していきました。2007年、丸亀町商店街の再開発で壱番街ドームが出来たとき浮かんだのが「街角に音楽を」というコンセプトでした。

生の音楽や大道芸などのパフォーマンスによって人々が笑顔や感動を共有できるような機会を創り街に新しい豊かさや楽しさを生み出せないか?

そしてそれが子供たちの安心の原風景となればと考えたのです。

仲間と「一般社団法人街角に音楽を@香川」を立ち上げ「瀬戸内国際芸術祭2010」の105日間のにぎわい創出に参画したのは大きな出来事でした。その時に音楽や表現がその土地で新たな魅力を生むことをイメージして作ったコンセプト「MUSIC BLUE 瀬戸内の青に響く」と高松港への思い「マザーポート」は、その後も私たちの活動のテーマとなりました。

おかげさまで私たちはそれからも音楽や大道芸、パフォーマンス、食などを通じて各所に多くの風景を創ってくることができ、2019年には香川県文化芸術選奨や四国新聞文化賞などもいただけました。

今高松での日々を振り返って私が心から思うのは大都市ではなく、この故郷の風景にこそ新しい物語を作れたことが大きな喜びであったこと、そして思いを共有できた多くの仲間に出会えたことの幸せです。

以前、招聘した世界中で活躍するフランスのパフォーマンスチームは瀬戸内海を背景としたサンポート高松の風景をホームページのTOPにしました。

私は香川・高松は自然の横糸と文化の縦糸が織りなす独自の魅力を必ず創っていける、人々が文化を楽しむ「感幸」が真の光を発して「観光」となる世界的な「文化感幸都市」になれると確信しています。ご縁があったこの故郷の未来に大いなる夢を描いています。

写真

Share