○「新たな規制緩和推進三か年計画」(平成10年3月閣議決定) 「海上運送法に基づく海運カルテル(外航)については、適用除外制度に係る手続規定を整備することとし、改正法案を平成11年の通常国会に提出する」 |
具体的には、現在、海上運送法上、外航海運事業者が相互に協定の締結や共同行為を行おうとする場合には、事前に運輸大臣に当該協定等を届け出れば足りることとされているが、今後は、届け出られた協定等が利用者の利益を不当に害するものではないかなどについて事前に審査をし、問題のある協定等の実施を未然に防止できるようチェック機能を強化する方向で、審査に係る手続規定を整備していくこととなる。
このため、運輸省においては、関係者からの意見を聴取しつつ、改正法案の策定作業を行っていくこととしている。
我が国外航海運企業において、人件費の安価な外国人船員の配乗等によるコスト削減の観点から、日本籍船を海外に移籍する、いわゆるフラッギングアウトが進んでいることはすでに述べた通りである。こうした流れに歯止めをかけるためには、日本籍船にも相応のコスト競争力を持たせることが必要であり、そのための方策として我が国では、いわゆるマルシップ方式による日本人船員と外国人船員の混乗等を行ってきた。
しかしながら、こうしたコスト削減方策も、それを上回る国際競争の激化や円高の進行により、結果として日本籍船減少に歯止めをかけるには至らなかった。
このため、日本籍船についてさらなるコスト競争力の強化を図るため、先の海造審報告書では、安定的な国際海上輸送の確保上重要な一定の日本籍船である「国際船舶」の配乗体制については、国際競争力を確保していくとともに、船内管理、輸送の質等を考慮し、基幹職員である船長及び機関長は日本人船員であることを原則とする混乗体制で運航できるようにすることとし、船長及び機関長以外の職についての外国人船員に対する
海技資格
の付与等の実施に向けて、検討を進めることとされた。
これを受け、運輸省では、外国人船員に対する海技資格の付与等の方策について検討を進め、船舶職員法一部改正法案を国会に提出し、本年5月同法案が可決したことにより、
STCW条約
締約国の発給した資格証明書を受有している者であって、運輸大臣の承認を受けたものは、海技従事者の免許を有しなくても船舶職員として日本籍船に乗り組むことができるとする制度が創設された。
今後はその施行に先立ち、承認の具体的な方法等について詳細な検討を進めていくこととしている。
(2)教育訓練スキームの確立
すでに述べたとおり、日本人外航船員は、日本商船隊を船舶の安全、円滑かつ高いサービス水準等といった運航面及び船舶管理面から支える重要な役割を担っており、また一方で、こうした大きな役割を担う日本人外航船員は、一朝一夕に養成することは困難であることから、将来を見据えた確保・養成が不可欠である。特に、今後、国際船舶における日本人船長・機関長2名配乗体制が導入されることにより、日本人船長・機関長には高い指揮監督や業務遂行等の能力が従来にも増して必要となってくる。さらに、我が国外航船員は、高齢者層の占める割合が高く、将来にわたって貿易物資の安定輸送の確保等を図るため、これまでの船員養成に比し、より実践的な能力を有した船員を早期に養成するスキーム作りが求められている。
このため、運輸省では、今後船長・機関長の職を担うことになる若年船員等を対象に、実践的な教育訓練を行う教育訓練スキームである「若年船員養成プロジェクト」を平成10年度より実施することとした(図表2-1-45)。