第4章 海陸の結節点として機能する港湾運送
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<コラム> 産業立地競争力 | |
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最近、1995年4月をピークとする超円高期を前後して、日本企業の海外での現地生産が拡大したことから、「産業立地競争力」という表現で、それぞれの国、地方の税率、人件費を含むコスト等のほか、市場との距離を意識した輸送関連コストが問題とされる傾向がある。 しかしながら、企業の事業活動の拠点選択に当たって、これらが真の判断要素となっているか否かについて十分な検証が必要である。 そのいくつかの反証を以下に掲げてみると・・・ |
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(1) | 企業の海外事業展開等に関するアンケート調査結果を見ると、為替レートなどで大きく変動するコスト比較よりも、市場への密着度、将来の市場拡大余地への評価を重視する傾向が強い。(下図参照) |
(2) | コストを主眼とする立地選択では、為替レートの変動、各地の人件費をはじめとするコストの上昇に伴って、立地を転々とする必要が生じるが、現実にそうした活動を行う場合のリスクは大きいと考えられる。 |
(3) | 日本の海運企業をはじめとして輸送関連コストの低廉化には様々な努力が続けられてきているが、極東の島国たる日本の工業製品が遠くヨーロッパや北米市場で大きな市場シェアを獲得することができたことは輸送関連コストとの関連では説明できない。 |
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