高度成長期に定着した大量生産・大量消費型の経済活動は、現在、成熟型の経済活動へ移行しつつある。今後、行政は、以下のような取組で自由な発想を柔軟に受け止め、多様な経済活動をきめ細かく支援することが重要である。
1 ストック活用等による柔軟性の増大
今後も、住宅・社会資本の整備を進め、良好なストックを形成していく必要があることはいうまでもないが、現在既にあるストックをいかに上手に利用していくかはストックの蓄積が進むとともにますます重要な問題となっていく。今後、既存ストックが、多様化する需要に柔軟に対応するためには、
などの様々な工夫が必要となる。
例えば、集合住宅の骨組み部分となる躯体を高耐久のものとし、これと住戸部分を構造的に完全に分離することが考えられる。これにより、住戸部分のみを更新することが容易になるため、建物全体としての長期使用と各住戸の自由なリフォームが達成できる。また、ダムの弾力的管理により、従来に比べダムに新たな水量を確保し、清流回復や流況改善に活用する試みもなされている。
さらに、外気温に比べて夏期は低く冬期は高い下水熱の特徴を利用して、全国各地で、地域冷暖房やバス停のヒーティングなどが行われている。
ダムの弾力的管理概念図
下水道をロードヒーティングに利用した例
2 自由な企業機会の提供
経済活動の多様な可能性を引き出していくための取組としては、官民の役割分担の見直しや社会経済情勢の変化に伴う規制の見直しが行われている。
官民の役割分担の見直しによる企業機会の提供としては、民間活力を利用した社会資本整備手法としてのPFI、建築基準法の改正による建築確認等の民間開放があげられる。また、規制の見直しによる企業機会の提供の例としては、高速自動車国道法等の改正による道路空間を利用した民間事業機会の創出や建築基準の性能規定化による設計の自由度の拡大があげられる。